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第二章 アーディル十歳
実はバレている…
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寝室の奥にあるドアを開けると、広い部屋が控えているが、そこに家具はまだない。
なぜなら、そこは夫婦のための寝室となるのだが、未だ幼い二人には必要無いからである。
入ってきた自室のドアのちょうど真向かいにあるドアに手を置くと、アーディルは長い溜息を吐き出した。
「この向こうにフィルが……」
アーディルの社交界デビューは、王族として十三歳で行われることになっている。
そして、フィルディアはその婚約者であるため、十二歳で共にデビューするのだ。
本来ならば、十五歳であることを考えれば、どちらも早めのデビューである。
王族ではないフィルディアが何故合わせてデビューすることになったかと言えば、ひとえにその血筋が原因とも言えよう。
〖スキルの見本市〗と一部から呼ばれている現グランディバルカス侯爵にして、騎士団長であるエヴァン・マリウス・ルクセン・グランディバルカスを父に。
神々と対話可能な《神託》を持ち、伝説級の神獣達の加護までも持つ。魔王国国王バスティンの玄孫にして、各国の重要人物からも可愛がられているアリスティリア・リン・グランディバルカスを母に。
そして、フィルディア本人も、四体の神獣達からそれぞれの加護を与えられているのである。
七人いる侯爵家の娘達の中で、唯一の神獣四体からの加護持ち。さらには見目も麗しく、性格も穏やかで人当たりも良いと噂のフィルディアを早々にデビューさせ、アーディルとの仲睦まじい姿を見せつけようということなのだ。
だって、婚約破棄の権限は、フィルだけにあるのだから、王家も色々必死なのだ。
「…頑張って、フィルに私だけを見て貰えるようにならなければっ!」
扉の向こうにいるはずの婚約者への想いを胸に、己の決意をこうして毎晩、ドアの前で誓っている一途なアーディルであった。
※※※※※※※※
また、向こうに来られてますわね……。
宮で暮らすようになってから、フィルディアは寝室の奥のドアの向こうから、アーディルの気配を感じていた。
『………』
ドアの向こうで、毎晩何かを呟くアーディル。《地獄耳》というスキルを取得しているフィルディアには、聞こうと思えばその内容を知るのは簡単だった。
「……気にしたら負けですわ……」
アーディルは自分を間違いなく好いてくれている。それを疑ったことは無い。
ただ、そんなに思われるようことをしてない自覚があるので、むしろ何故こんなにも好かれているのか不思議である。
ついでに言うと、クッキーの一件以来、アーディルの事が以前よりも気になっているのは確かなのだ。
「…つくづく経験がない事が悔やまれます……」
前世の記憶を持つフィルディアは、前世では色恋沙汰にまったく縁もなく興味もなかった。なまじ前世の記憶があるだけに、自分の想いを正直に把握することが難しかった。
「………」
ポスンと後ろに倒れ込み、ベッドの上でボーッとする。
「…別にアーディ様と結婚するのは嫌ではありませんのよ。政略結婚と言えど、好きになってはいけないということもありませんし…って、ワタクシ何を言ってますの!」
フィルディアは自分の発言にジタバタと悶えた。ひとしきり悶えると、コホンと小さな咳を一つして、さっきまで気にしていたドアに背を向け、目を閉じて眠りについたーーーー。
そんな二人の行動は、『護衛メイド』として控えていたステリナには、筒抜けであったのだが、
「……平和ですわねぇ……」
毎晩のお約束に、遠い目をしながらそう呟くのであったーーーー。
なぜなら、そこは夫婦のための寝室となるのだが、未だ幼い二人には必要無いからである。
入ってきた自室のドアのちょうど真向かいにあるドアに手を置くと、アーディルは長い溜息を吐き出した。
「この向こうにフィルが……」
アーディルの社交界デビューは、王族として十三歳で行われることになっている。
そして、フィルディアはその婚約者であるため、十二歳で共にデビューするのだ。
本来ならば、十五歳であることを考えれば、どちらも早めのデビューである。
王族ではないフィルディアが何故合わせてデビューすることになったかと言えば、ひとえにその血筋が原因とも言えよう。
〖スキルの見本市〗と一部から呼ばれている現グランディバルカス侯爵にして、騎士団長であるエヴァン・マリウス・ルクセン・グランディバルカスを父に。
神々と対話可能な《神託》を持ち、伝説級の神獣達の加護までも持つ。魔王国国王バスティンの玄孫にして、各国の重要人物からも可愛がられているアリスティリア・リン・グランディバルカスを母に。
そして、フィルディア本人も、四体の神獣達からそれぞれの加護を与えられているのである。
七人いる侯爵家の娘達の中で、唯一の神獣四体からの加護持ち。さらには見目も麗しく、性格も穏やかで人当たりも良いと噂のフィルディアを早々にデビューさせ、アーディルとの仲睦まじい姿を見せつけようということなのだ。
だって、婚約破棄の権限は、フィルだけにあるのだから、王家も色々必死なのだ。
「…頑張って、フィルに私だけを見て貰えるようにならなければっ!」
扉の向こうにいるはずの婚約者への想いを胸に、己の決意をこうして毎晩、ドアの前で誓っている一途なアーディルであった。
※※※※※※※※
また、向こうに来られてますわね……。
宮で暮らすようになってから、フィルディアは寝室の奥のドアの向こうから、アーディルの気配を感じていた。
『………』
ドアの向こうで、毎晩何かを呟くアーディル。《地獄耳》というスキルを取得しているフィルディアには、聞こうと思えばその内容を知るのは簡単だった。
「……気にしたら負けですわ……」
アーディルは自分を間違いなく好いてくれている。それを疑ったことは無い。
ただ、そんなに思われるようことをしてない自覚があるので、むしろ何故こんなにも好かれているのか不思議である。
ついでに言うと、クッキーの一件以来、アーディルの事が以前よりも気になっているのは確かなのだ。
「…つくづく経験がない事が悔やまれます……」
前世の記憶を持つフィルディアは、前世では色恋沙汰にまったく縁もなく興味もなかった。なまじ前世の記憶があるだけに、自分の想いを正直に把握することが難しかった。
「………」
ポスンと後ろに倒れ込み、ベッドの上でボーッとする。
「…別にアーディ様と結婚するのは嫌ではありませんのよ。政略結婚と言えど、好きになってはいけないということもありませんし…って、ワタクシ何を言ってますの!」
フィルディアは自分の発言にジタバタと悶えた。ひとしきり悶えると、コホンと小さな咳を一つして、さっきまで気にしていたドアに背を向け、目を閉じて眠りについたーーーー。
そんな二人の行動は、『護衛メイド』として控えていたステリナには、筒抜けであったのだが、
「……平和ですわねぇ……」
毎晩のお約束に、遠い目をしながらそう呟くのであったーーーー。
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