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第二章 アーディル十歳
これで、いいのか?
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[アイオン視点]
「それでは……始めっ!」
騎士団長のかけ声と共に、一歩を踏み出した殿下ですが、婚約者であるご令嬢に瞬殺されました。
うん。分かってた。ここにいる全員、この展開分かってたよな……。
「…………え?」
「勝者フィルディア!」
「ええーーっ!?」
地面に仰向けに倒れたまま、殿下は呆然としたまま叫ばれました。
ええ、何が起きたか分からないまま、一つ年下の少女に瞬殺です。男として、これは辛いです。
なまじ相手が惚れてる相手です。守って惚れられてナンボですよ、普通は……。
ですが、普通でないのが中央侯グランディバルカス家の皆様なのです。
怪しい姿の侯爵様は、〖スキルの見本市〗と《鑑定》持ちから畏れられる程の様々なスキルを所持した騎士団長ですし、可愛い系美人な奥方様は各国重鎮の皆様も真っ青の交友関係をお持ちの上、伝説の神獣様方をぶっ飛ばす【神器】まで装備されてます。
そんなお二人のお子様方が普通なわけがない!
侯爵家嫡男であるアルヴィン様は、九歳にして既に《剣士》レベルMAX。次の騎士団長と既に言われておいでです。
そして、双子の妹であり、次期王太子妃のフィルディア様は同年代のご令嬢とは雲泥の差の淑女っぷりと聡明さをお持ちで、殿下は顔合わせの時に一目惚れしてから、ずっと一途に想われてます。
…………が。
フィルディア嬢は王太子妃として不要な【職業スキル】をお持ちなのです。
そのスキルがあるからこそ、殿下は瞬殺されたのです。
開始と同時に一瞬で間合いをつめてからの、殿下への足払い。さらには倒れた際に怪我をしないようにと、衝撃の勢いを殺すように体を倒されてました。
正直、自分が恋人にあんなのされたら、凹みます。しばらく立ち直れません……。
ポカンと口を開け、ノロノロと上体を起こした殿下は、未だ状況が把握できてないご様子。
そんな殿下を心配されたのか、ご令嬢がすぐ隣に腰を下ろし、首を傾げながら顔を覗き込んでらっしゃいます。
「………フィルは私よりも、とても強かったのですね…」
殿下は大きく息を吐き出しながら、ご令嬢にそう仰いました。
とても、でなく、とんでもなく強かったんですよ、殿下……。
現在、ここにいる騎士達のほぼ全員。自分も含めてですが、ご令嬢に投げ飛ばされたり、蹴り飛ばされたり、斬り倒されてますから……。
「……嫌いになりまして?」
ご令嬢のその言葉を、全員が耳にした瞬間、お二人に視線が集まります。
「…いえ。ものすごく驚きましたけど……。フィルは本当に何でもできますね。私も負けないように頑張らなければっ!!」
もんのすごーく良い笑顔でそう返されてました。
殿下…。なんて前向きな……。
立ち上がり、ご令嬢に手を差し伸べて立たせた後は、騎士団長へ稽古を頼み込んでます。
殿下はそれ以降、時おりご令嬢相手に手合わせしては、瞬殺から秒殺くらいまでにはなられました。
ちなみにご令嬢の【職業スキル】《暗殺者》です。
………これ。ホントにいいのでしょうか?
「それでは……始めっ!」
騎士団長のかけ声と共に、一歩を踏み出した殿下ですが、婚約者であるご令嬢に瞬殺されました。
うん。分かってた。ここにいる全員、この展開分かってたよな……。
「…………え?」
「勝者フィルディア!」
「ええーーっ!?」
地面に仰向けに倒れたまま、殿下は呆然としたまま叫ばれました。
ええ、何が起きたか分からないまま、一つ年下の少女に瞬殺です。男として、これは辛いです。
なまじ相手が惚れてる相手です。守って惚れられてナンボですよ、普通は……。
ですが、普通でないのが中央侯グランディバルカス家の皆様なのです。
怪しい姿の侯爵様は、〖スキルの見本市〗と《鑑定》持ちから畏れられる程の様々なスキルを所持した騎士団長ですし、可愛い系美人な奥方様は各国重鎮の皆様も真っ青の交友関係をお持ちの上、伝説の神獣様方をぶっ飛ばす【神器】まで装備されてます。
そんなお二人のお子様方が普通なわけがない!
侯爵家嫡男であるアルヴィン様は、九歳にして既に《剣士》レベルMAX。次の騎士団長と既に言われておいでです。
そして、双子の妹であり、次期王太子妃のフィルディア様は同年代のご令嬢とは雲泥の差の淑女っぷりと聡明さをお持ちで、殿下は顔合わせの時に一目惚れしてから、ずっと一途に想われてます。
…………が。
フィルディア嬢は王太子妃として不要な【職業スキル】をお持ちなのです。
そのスキルがあるからこそ、殿下は瞬殺されたのです。
開始と同時に一瞬で間合いをつめてからの、殿下への足払い。さらには倒れた際に怪我をしないようにと、衝撃の勢いを殺すように体を倒されてました。
正直、自分が恋人にあんなのされたら、凹みます。しばらく立ち直れません……。
ポカンと口を開け、ノロノロと上体を起こした殿下は、未だ状況が把握できてないご様子。
そんな殿下を心配されたのか、ご令嬢がすぐ隣に腰を下ろし、首を傾げながら顔を覗き込んでらっしゃいます。
「………フィルは私よりも、とても強かったのですね…」
殿下は大きく息を吐き出しながら、ご令嬢にそう仰いました。
とても、でなく、とんでもなく強かったんですよ、殿下……。
現在、ここにいる騎士達のほぼ全員。自分も含めてですが、ご令嬢に投げ飛ばされたり、蹴り飛ばされたり、斬り倒されてますから……。
「……嫌いになりまして?」
ご令嬢のその言葉を、全員が耳にした瞬間、お二人に視線が集まります。
「…いえ。ものすごく驚きましたけど……。フィルは本当に何でもできますね。私も負けないように頑張らなければっ!!」
もんのすごーく良い笑顔でそう返されてました。
殿下…。なんて前向きな……。
立ち上がり、ご令嬢に手を差し伸べて立たせた後は、騎士団長へ稽古を頼み込んでます。
殿下はそれ以降、時おりご令嬢相手に手合わせしては、瞬殺から秒殺くらいまでにはなられました。
ちなみにご令嬢の【職業スキル】《暗殺者》です。
………これ。ホントにいいのでしょうか?
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