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第1章
第1話
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俺のクラスメイト、叶恵 なき は多分普通ではない。
彼女は成績優秀だったが、口数の少ない、所謂ぼっち少女だった。
そういう奴は一般的に、窓側で本でも読んでいそうだが彼女は違う。教科書を開いては、じっと見つめてメロンパンをかじっていた。HR中でも授業中でもお構い無しに、ずっとそう。だが、周りはともかく、先生すら彼女を怒らなかった。まるでそこに居ないかのように。無視とかそういうのではない。知らないのだ、彼女がメロンパンを食べていることを。
彼女は当たり前のように居る。確かに存在するのに、誰一人として気付けない。だから彼女は先生に当てられることはほぼないし、途中で居なくなってもほぼ気が付かれない。まぁ、大切なのは『ほぼ』という所だ。
彼女からアピールすることができたら、周りは彼女を捉えるとこができた。大きな音を出したり、肩を叩いたり、そういうようなアピール。
だから周りは、出席確認の時に叶恵が出す、『はい』という大きな張り切った声と、叫び声のような『ここにいますよ』という声しか聞いた事がないと思う。
だが、俺は彼女を捉えるとこができた。当たり前のように見えるようになった。初めからそうではなかったと思う。今となっては、それが『当たり前』過ぎて、彼女が俺にとって何だったのかなど分からないが、多分、ここに居る30何人と同じように捉えられてはいなかったのだと思う。
思い返してみると、叶恵とは同じ中学校だったような気がする。名簿で何度か見た事があるような記憶がある。気がするだけかもしれないが。卒業アルバムなど遠に捨てたんだ、中学の思い出など無いに等しい。だから、自分から答えは見つからないし、俺に友達など居ないから、聞くことなど出来るはずがない。聞く勇気などない。そんなちっぽけな人間が俺だった。
そんな俺が彼女を捉えられるようになったのは、今から2週間くらい前。突然当たり前のようにメロンパンを取り出し、1限目からモグモグと幸せそうに食べる彼女を見て、「こんな奴、同じクラスに居たか?」と心底不思議に思ったのを思い出す。
だが、確かにそこの席は毎日埋まっていたような気がするし、不登校だっていなかったと思う。名前を覚えられない。いやまぁ、覚えるつもりもないのだが。そんな俺だって、流石にクラスメイトの顔くらい何となく覚えてるはずだ。なのに、確かに初めて見た顔。
その日から俺は、彼女の事が気になって仕方がなくなってしまった。
彼女は成績優秀だったが、口数の少ない、所謂ぼっち少女だった。
そういう奴は一般的に、窓側で本でも読んでいそうだが彼女は違う。教科書を開いては、じっと見つめてメロンパンをかじっていた。HR中でも授業中でもお構い無しに、ずっとそう。だが、周りはともかく、先生すら彼女を怒らなかった。まるでそこに居ないかのように。無視とかそういうのではない。知らないのだ、彼女がメロンパンを食べていることを。
彼女は当たり前のように居る。確かに存在するのに、誰一人として気付けない。だから彼女は先生に当てられることはほぼないし、途中で居なくなってもほぼ気が付かれない。まぁ、大切なのは『ほぼ』という所だ。
彼女からアピールすることができたら、周りは彼女を捉えるとこができた。大きな音を出したり、肩を叩いたり、そういうようなアピール。
だから周りは、出席確認の時に叶恵が出す、『はい』という大きな張り切った声と、叫び声のような『ここにいますよ』という声しか聞いた事がないと思う。
だが、俺は彼女を捉えるとこができた。当たり前のように見えるようになった。初めからそうではなかったと思う。今となっては、それが『当たり前』過ぎて、彼女が俺にとって何だったのかなど分からないが、多分、ここに居る30何人と同じように捉えられてはいなかったのだと思う。
思い返してみると、叶恵とは同じ中学校だったような気がする。名簿で何度か見た事があるような記憶がある。気がするだけかもしれないが。卒業アルバムなど遠に捨てたんだ、中学の思い出など無いに等しい。だから、自分から答えは見つからないし、俺に友達など居ないから、聞くことなど出来るはずがない。聞く勇気などない。そんなちっぽけな人間が俺だった。
そんな俺が彼女を捉えられるようになったのは、今から2週間くらい前。突然当たり前のようにメロンパンを取り出し、1限目からモグモグと幸せそうに食べる彼女を見て、「こんな奴、同じクラスに居たか?」と心底不思議に思ったのを思い出す。
だが、確かにそこの席は毎日埋まっていたような気がするし、不登校だっていなかったと思う。名前を覚えられない。いやまぁ、覚えるつもりもないのだが。そんな俺だって、流石にクラスメイトの顔くらい何となく覚えてるはずだ。なのに、確かに初めて見た顔。
その日から俺は、彼女の事が気になって仕方がなくなってしまった。
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