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第1章
第3話
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「そうだよね。やっぱり見えてるよね!」
叶恵は少年のように目をキラキラさせて、俺の頬を両手で包み込むように潰した。それでも周りは叶恵が授業中に立ち歩いている事や、俺の頬を全力で潰していることを気が付かない。
そうなると、とても厄介だ。彼女に今、俺から話しかける。または返事をすると、俺が独り言を言っているように聞こえるんじゃないか。それはどうしても避けたい。ボッチと言われるのはもう仕方ない事だが、ボッチで独り言を言う奴は、流石に目も当てられない。頭のおかしい奴だ。
「ねぇ、無視しないでよ。お願い」
意識さえしていなかったが、叶恵の手は冷たく震えていた。
「え、あ、その」
彼女の事を口数の少ないボッチ少女と言ったが、それは俺も同じだ。いや、俺の方がタチが悪い。クラスで声を出したのも久しぶりだから、吃ってしまったが、俺にしては頑張った。頑張って立ち上がった。
「保健室、行ってきます」
俺の頬に触れていた手を剥がし、しっかり掴んで教室を出る。
「ねぇ、東峰くん、誰か連れていかなかった?」
後ろで女子が囁く声が聞こえた。
「え、1人だったと思うけど」
これが、叶恵と俺の出会い。
俺が初めて誰かの手を握った日。
「手、痛い、かも」
「あ、ごめん」
俺が初めて叶恵と話した日。
叶恵は少年のように目をキラキラさせて、俺の頬を両手で包み込むように潰した。それでも周りは叶恵が授業中に立ち歩いている事や、俺の頬を全力で潰していることを気が付かない。
そうなると、とても厄介だ。彼女に今、俺から話しかける。または返事をすると、俺が独り言を言っているように聞こえるんじゃないか。それはどうしても避けたい。ボッチと言われるのはもう仕方ない事だが、ボッチで独り言を言う奴は、流石に目も当てられない。頭のおかしい奴だ。
「ねぇ、無視しないでよ。お願い」
意識さえしていなかったが、叶恵の手は冷たく震えていた。
「え、あ、その」
彼女の事を口数の少ないボッチ少女と言ったが、それは俺も同じだ。いや、俺の方がタチが悪い。クラスで声を出したのも久しぶりだから、吃ってしまったが、俺にしては頑張った。頑張って立ち上がった。
「保健室、行ってきます」
俺の頬に触れていた手を剥がし、しっかり掴んで教室を出る。
「ねぇ、東峰くん、誰か連れていかなかった?」
後ろで女子が囁く声が聞こえた。
「え、1人だったと思うけど」
これが、叶恵と俺の出会い。
俺が初めて誰かの手を握った日。
「手、痛い、かも」
「あ、ごめん」
俺が初めて叶恵と話した日。
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