神スキル『イチャつくだけで最強バフ』 - 春の貞操観念逆転種族を添えて -

ふつうのにーちゃん

文字の大きさ
16 / 69
mission 1 レギンの剣作戦

・母、襲来

しおりを挟む
 ファフナさんが宿に帰ってきたら丘に誘おう。
 そう決めて夜遅くまで待ったけれど、結局彼女は帰ってこなかった。

「今日のところは寝なよ」

 宿屋コルヌコピアは夜になると酒場になる。
 この巨大宿を建設する際に、元からあった酒場施設を併合したそうだ。

 そのため夕方になると従業員が入れ替わる。

「すみません……」
「手伝い助かったよ。アンタは働き者だね」

 化粧と香水をしたお兄さんやお姉さんが増えて、お酒の匂いが立ち込めるようになる。

 店長ママは妖精族のミルラさん。
 小さいけど気の強い、面倒見のいい姐さんだ。

 どうしても起きてられないのでその日はおとなしく寝た。


 ・


 翌朝、シルバと散歩に行った。

「すまんな、大将。ここの香水と酒の匂いに、まだ慣れていなくてな」
「狼だからね」

「犬だ」
「何度言えばわかるんだ、君は狼だよ」

「そうだ、大将。今度オルヴァールを一周しないか?」
「無理言わないで。元引きこもりが13キロも歩いたら、死んじゃうよ……」

 オルヴァールは不思議だ。
 作り物の朝なのに、本物の朝のよりも気持ちがよかった。

 俺にとっては長めの、シルバにとっては短めの散歩を楽しんで宿に戻った。
 すると三女のアトロさんが『おかえり』と言ってくれて、シルバのために飲み水まで出してくれた。

 シルバはどこに行っても人気者だった。

「ファフナを探してると聞いたよ」
「あっ、貴方は昨日のお昼の……」

 労働の前に少し休ませてもらっていると、席の向かいに壮年の男性神族さんが座った。
 彼のお皿とジョッキは減りかけで、まだ朝だというのにかなり飲んでいた。

「ファフナなら宿に帰ってきてるよ」
「え、本当ですか?」

「夜明け前に私と一緒にな」
「えっ、そんな晩い時間に……?!」

「昨日の朝からずっと演習場にいたらしい。次の作戦を確実にするために、予行演習しては作戦を練り合わせていた。真面目な子だよ」

 それに付き合ったのだろうか。
 壮年の神族はかなり疲れた様子で顔を拭った。

「起きたら構ってやってくれ。ファフナは君の話ばかりをしていた」
「ありがとうございますっ、そうしますっ!」

「はぁ……」

 神族さんは辛そうに胸に手を当てた。
 その様子からして、彼は今度の作戦の内容を知っているようだった。

「パルヴァスくん、ファフナは乱暴だが悪い子ではないんだ。むしろ純粋だからこそ……はぁ……っ。ビールを頼む……」
「あ、朝からですか……っ?」

「ビールは酔い醒ましみたいなものだよ」

 注文を厨房のアトロさんに届けた。
 そしてそのまま働いた。
 
 あんな話を聞かされたら、働かずには居られなかった。
 働くことが一緒に戦うことになると信じて、料理を教わったり、夜中に荒れた宿の掃除をした。

「ちょいちょい、ちょっとー? 君がんばり過ぎだと思うんだけどなー?」
「少し、休憩されては……? それだとお昼のラッシュで、死んじゃいますよ……?」

 そうしているとラケシスさんとアトロさんが気づかってくれた。
 異種族なのに心配してくれるのが嬉しくて、俺は二人に笑い返した。

「それもそうかな……?」
「そうだよー。ここ、人足りてないんだよねー。王子様が頼りなんだからっ、休んだ、休んだー!」
「パルヴァス様のおかげで、信じられないくらい繁盛するようになりました……」

「それはごめん」
「全然! だって幸運をくれる王子様が現れてー、みんな明るくなったしー」
「前は、少し、ギスギスしてました……」

「ねーっ、心のゆとりができたよねーっ。幸運の女神様がいるから大丈夫だー、ってさ!」
「いや、男、なんですけど……」

 休憩を入れながら、今自分ができることをがんばっていった。


 ・


 宿屋コルヌコピアの忙しさはランチタイムがピーク。
 ランチさえ乗り切ってしまえば、その先にはゆとりのある麗らかな午後が待っている。

 俺はまだ慣れない業務に周囲へ迷惑をかけながらも、働き者の三姉妹と一緒に目まぐるしい混雑を今日も乗り切った。

 それからいくつかの失敗に自己嫌悪しながら一息をついていると、そこにミルディンさんがカツカツと早足でやってきた。

「ファフナは起きていますか……?」
「いやそれが、俺も朝からずっと待ってるんだけど、まだ寝てるみたいで……」

 少しでも幸運の加護に繋がるかなと、受付で休憩しながら、ここの宿帳を眺めていた時のことだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...