神スキル『イチャつくだけで最強バフ』 - 春の貞操観念逆転種族を添えて -

ふつうのにーちゃん

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mission 2 オーリオーンの暗闇

・パンタグリュエルの肩の上 - 巨人はサンドバッグ -

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 巨人の住処に到着した。
 そうそれは住処であり、家や館ではなかった。

 巨人の住処には屋根も壁もなかった。
 あるのは石の床と、岩山のテーブルと、石と藁のベッドだけだった。

「焦らすではないか、つがい殿」
「あ、ファフナさんも呼ばれたんだ」

「うむ、他でもないそなたは我が上に運んでやろう。そこのでかいやつとカリストは、ダッシュで上がってこい!」
「い、いいよっ! 止めて、怖いから止めて……っ!」

 翼を持つファフナさんが天高くそびえるテーブルの上まで俺は運んでくれた。
 生きた心地がしなかったけど、楽なことは楽だった……。

「うちの子がバカですみません……」
「バカとはなんだ、バカとは! 母親ぶるならせめて言葉を選べっ、グレるぞ!」
「だ、大丈夫……慣れて、きてるから……」

「そしてファフナ、私たちの幸運の女神を殺す気ですか?」
「わーっはっはっはっ、死なん死なん!」

 女神じゃないし死ぬよ……!
 ファフナさんは腰の抜けた俺を手を差し伸べて、軽々と助け起こしてくれた。

「繋いだその手を少しひねるだけで、貴女は相手の手首をねじ切れる存在なのです」

 その言葉は俺たちが手を離してから言ってほしかった。
 俺が手を繋いでいる相手は、ライオンよりも遙かに危険な猛獣だった。

「なんじゃその言い方は……。ちょっとじゃれただけではないか……」
「そ、そうだね……」

「ほれつがい殿もこう言っている。少しくらい乱暴にしても気にしないとな」
「気にするよっっ!!」

 抗議するとファフナさんが笑って手を離してくれた。

「お、おはようございます……」

 ファフナさんが離れると、今度はミルディンさんが寄ってきた。
 ミルディンさんの声はどことなく小さくて頼りなかった。

「おはよう、ミルディンさん」

 彼女は俺と目が合うと、震えるように後ずさった。
 さっきまで説教していたとは思えない様子だ。

「む……?」
「な、何か……っ?!」

「何か、変ではないか? おいミルディン、また徹夜か? 顔と目が赤いぞ?」
「そ、それは……そんなの余計なお世話です……っ!」

 ミルディンさんも昨日のことを気にしているみたいだ。
 俺も昨日のことを思い出すと、また気持ちと身体がソワソワとしてくる。

 恥ずかしがるミルディンさんが眺めているだけで、妙に気持ちが浮き立った。

「きた、ようだ……。さあ……この手に……」

 パンタグリュエルがやっと喋った。
 天高くそびえるテーブルに上ってもなお、その巨人は山のように大きかった。

 ミルディンさんは巨人の爪から小指、小指から手のひらに上って、ファフナさんはまた俺を抱えて運んでくれた。

 カリストくんは下に残り、続いてカチューシャさんが人間離れした跳躍力で飛び乗ってきた。
 巨人は俺たちを肩の上まで運んでくれた。

「すまんな、このでくの坊のお調子者は、こうでもせんと我らの声が聞こえんのだ」
「いて……止め、ろ……」

 ファフナさんが巨人の首に蹴りを入れると足下が揺れた。

「自分、巨人に蹴りを入れる人とか初めて見たっす……!」
「ファフナ、気持ちはわかりますが今はおとなしくなさい」

 と言ってミルディンさんまで足下の肩を踏みつけた。
 え、この巨人って、ザナームのリーダー、なんだよね……?

「いたい、いたい、やめて……」
「頭が痛いのはこっちです」
「見た目に騙されるではないぞ、そなたら! この巨人はろくでなしだ!」

 キックと踏み付けの連打が巨人の大地を揺らした。
 なんて迷惑な親子だろう……。

「さて、日頃の腹いせにはこの程度ではとても足りませんが、本題に入りましょうか」
「我は忘れてはおらぬからな。我のつがい殿に、あんなことを吹き込みおってっ、このっ!!」

 追い打ちの蹴りを入れると、ファフナさんが翼を羽ばたかせてこちらにきた。

「これよりレギンの剣作戦から続く第二段階【オーリオーンの闇計画】について解説いたします」
「これ以上揺らさないでくれるなら、なんだっていいっす」

 すごく同感……。

「この計画の実現には、私を含むこの四名の協力が不可欠です」
「おい待て、ミルディン。まさかそなた、また性懲りもなく外に出る気かっ!? 裏方は裏方らしくオルヴァールに引っ込んでおれっ!」

 口は悪いけどファフナさんはミルディンさんが心配なのだろう。
 ところがミルディンさんはわざわざファフナさんの前に立つと、胸を張った。

「なんじゃ? ない乳自慢か?」
「ふ、ふふふ……」

「なんじゃ気味が悪い……」
「昨晩、私も、ディバインシールドしていただきました……♪」

「なっ、なんじゃとぉぉぉぉっっ?!!」

 ファフナさんはミルディンさんの両肩をつかんで、頭から胸元までじっくりと観察した。
 嫉妬というより、なんか心配しているようにも見えた。

「でぃばいんしーるど、って、なんすかー?」
「はい、絶対無敵の魔法のバリアーです。ファフナ、これで母の魅力が貴女に負けていないことがわかったでしょう」

 外交のためと昨晩は言っていたのに、ミルディンさんは得意そうにファフナさんに笑う。勝ち誇る。娘に女の顔を見せた。

「つまらん見栄を張るな、恥ずかしい」
「後で昨晩のことを、事細かに貴女へ語って差し上げましょう……」
「それは止めてお願い!」

「ほぅ……?」

 エッチって気持ちがふわふわして幸せに気分になるけど、時々居心地が悪い……。
 なんでもこの親子はいつもいつも張り合うのだろう……。

「ふふ……貴方があんなに大胆だとは私、思いませんでした……。あ、それで作戦ですが」

 本題を思い出してくれて助かった。

「ほぉぉ……?」
「後でその話、自分も聞きたいっす! なんか面白そうっす!」

 いや助かったかわからないけど、とにかく本題に戻ろう。
 俺たちはオーリオーンの闇計画の詳細を、参謀ミルディンから聞かされた。
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