53 / 69
mission 2 オーリオーンの暗闇
・飛竜ファフナと第二次イチャラブデート - 二人で食べるアーモンドチョコレート -
しおりを挟む
研ぎ石、刀剣用の油、ガラスのショットグラス。
ファフナさんはなかなか渋い買い物をしていた。
中でもお気に入りはプレゼントされたランプのようで、今から使うのが楽しみでしょうがないって顔で舐めるように眺めていた。
「う……っ?!」
そんなファフナさんの隣でチョコレートの箱を開けると、鼻をつまんでこっちに振り返った。
「ぬあっ、く、食ったっ!?」
「お菓子だもん、そりゃ、食べるよ。ああ、美味しい……」
かび臭くなっていない、とても状態のいいチョコレートだった。
チョコレートの甘い香りと、ねっとりとした油脂分が強い甘みと混じり合って最高だった。
チョコレートって普段は個体だけど、人の体温でちょうどよく溶けるところがいいと思う。
「うう、まずそうだ……」
「美味しいのに」
中に入っている大粒のアーモンドがまたチョコレートに合った。
「ポリポリ聞こえるが、中に何か入っているのか……?」
「エイケ社のチョコレートといえば、アーモンド入りに決まっているじゃないか」
「ほぅ……」
あれだけ気持ち悪そうな顔をしていたのに、ファフナさんは無言でこちらに手のひらを突き出した。
「なぜそれを早く言わない。周りの黒いのはいらん、外側だけ舐め取ったらここに吐き出せ」
「ブッ……?!」
ムチャな要求にチョコレートを吹き出しかけた。
「用水路で洗って食べてやると言っているのだ!」
「いいけど……チョコレートも美味しいよ?」
「匂いが受けつけぬ、無理だ」
食べ終わったので、チョコレートをもう1つ口に入れた。
「むぅぅ…………まだか?」
「まだ口に入れたばっかりだよ……っ!」
なんか、すごく食べづらくなった……。
真隣から凝視が口元に突き刺さって、舌を噛んでしまいそうだった。
「まーだーかー?」
「そんなに見ないで、なんか、食べにくいよ……っ」
「早くしろー……じーー……。おお、パルヴァス、そなたこんなところに小さなホクロがあったかー」
「うっ、もう止めてよ……っ」
もう堪え切れない。
アーモンドを吐き出して、ファフナさんの手に置いた。
「おおっ、こんな大粒のアーモンドは初めて見るぞ! ぬふふっ、さ、次を出せ」
「それ一つじゃダメ……?」
「もっとだ!」
さっき『欲張るからこうなるのだ』と言っていた口で催促された。
俺はチョコレートをまた口に入れて、今度は歯でチョコを割ってアーモンドを取り出した。
「やればできるではないかっ、もう1つ頼むっ♪」
「そんなに一気に食べられないよ……っ!」
「ふむ……まあよい。ではいただくとしよう」
「水路で洗うんじゃなかったの……?」
「もう我慢できん!」
ファフナさんは渋皮のない白いアーモンドを口に放った。
「うっ……黒いのが、少し残っているではないか……!」
「急かすからだよ……」
チョコレートの美味しさを知ってもらいたいのもあるけど。
「おお……これは、なんと香ばしく味わい深い……」
「美味しい……?」
「美味い! 次はまだか?」
「わかったよ……」
ファフナさんはチョコが不味いとは一言も言わなかった。
俺はチョコを多めに残して舐め取って、アーモンドを手渡した。
今更だけどこれって、すごいことしているような……。
「食べないの……?」
「い、いや……少し冷静になってみると、我ら、とんでもないことをしておらんだろうか……?」
顔を赤くしてそう言われると、こっちまで恥ずかしくなる。
「してるかも……」
「う……っ、ううううっ、我に加護をっ、はむっ!」
ファフナさんは思い切りよく、チョコがだいぶ残ったアーモンドを口に押し込んだ。
「うぐ……っ?!」
「あ、やっぱりチョコレート、ダメだった……?」
「う、美味い……」
「本当? よかった……」
「勘違いするな、チョコレートとかいうやつも、ちょっとなら許せると言っているだけだ! さあ、次を舐め取れっ!」
「ごめん、もうギブ、チョコレートはこれ以上一気に食べられないよ」
「な、なんだと……」
ファフナさんは迷った。
俺が譲歩しないと見ると、迷い迷いにチョコレートの箱に手を伸ばす。
「せっかくのアーモンドを、こんな臭い物で台無しにしおってっ! まったくけしからん!」
そして結局、食べた。
それはもう美味しそうな、幸せいっぱいの笑顔で、アーモンドチョコレートをもりもり食べてくれた。
「ふんっ、変な匂いだが、味は認めてやる……」
「そうだね、匂いは独特だ」
「それとこういうのは、ミルディンが好きそうだ……。あいつに差し入れてやれ」
「ファフナさんって、お母さん想いなんだね」
「ふんっ、あんなお子ちゃまのどこが母だ! 我の方が乳も背も度量もでかいというのに、我の一部を構成するというだけで母親づらしおって!」
ファフナさんはもう新しいチョコレートに手を付けた。
そんなに一気に食べたら口の中がニチャニチャになるのに。
「母親代わりになってくれる人が近くに居るのって、幸せなことだと思うけれど」
「うるさいっ、デート中に母親の話をするなっ!」
「ごめん、言われてみたらその通りだね。って、ファフナさんが始めた話じゃないか!」
「我はミルディンをお母さんなどとっ、一度たりとも思ってなどおらぬわーっ!」
一説によると、チョコレートを食べると気分が高まるという。
ファフナさんは口をニチャニチャにしたまま、楽しそうにミルディンさんの話を続けてくれた。
本当はお母さんが大好きなんだね。
そう本音を口にしたらきっとすごく怒るだろうから、生温かく見守った。
その強い肉体に生まれなかったら、ファフナさんは普通のやさしい女の子に育っていたのかもしれない。
ファフナさんはなかなか渋い買い物をしていた。
中でもお気に入りはプレゼントされたランプのようで、今から使うのが楽しみでしょうがないって顔で舐めるように眺めていた。
「う……っ?!」
そんなファフナさんの隣でチョコレートの箱を開けると、鼻をつまんでこっちに振り返った。
「ぬあっ、く、食ったっ!?」
「お菓子だもん、そりゃ、食べるよ。ああ、美味しい……」
かび臭くなっていない、とても状態のいいチョコレートだった。
チョコレートの甘い香りと、ねっとりとした油脂分が強い甘みと混じり合って最高だった。
チョコレートって普段は個体だけど、人の体温でちょうどよく溶けるところがいいと思う。
「うう、まずそうだ……」
「美味しいのに」
中に入っている大粒のアーモンドがまたチョコレートに合った。
「ポリポリ聞こえるが、中に何か入っているのか……?」
「エイケ社のチョコレートといえば、アーモンド入りに決まっているじゃないか」
「ほぅ……」
あれだけ気持ち悪そうな顔をしていたのに、ファフナさんは無言でこちらに手のひらを突き出した。
「なぜそれを早く言わない。周りの黒いのはいらん、外側だけ舐め取ったらここに吐き出せ」
「ブッ……?!」
ムチャな要求にチョコレートを吹き出しかけた。
「用水路で洗って食べてやると言っているのだ!」
「いいけど……チョコレートも美味しいよ?」
「匂いが受けつけぬ、無理だ」
食べ終わったので、チョコレートをもう1つ口に入れた。
「むぅぅ…………まだか?」
「まだ口に入れたばっかりだよ……っ!」
なんか、すごく食べづらくなった……。
真隣から凝視が口元に突き刺さって、舌を噛んでしまいそうだった。
「まーだーかー?」
「そんなに見ないで、なんか、食べにくいよ……っ」
「早くしろー……じーー……。おお、パルヴァス、そなたこんなところに小さなホクロがあったかー」
「うっ、もう止めてよ……っ」
もう堪え切れない。
アーモンドを吐き出して、ファフナさんの手に置いた。
「おおっ、こんな大粒のアーモンドは初めて見るぞ! ぬふふっ、さ、次を出せ」
「それ一つじゃダメ……?」
「もっとだ!」
さっき『欲張るからこうなるのだ』と言っていた口で催促された。
俺はチョコレートをまた口に入れて、今度は歯でチョコを割ってアーモンドを取り出した。
「やればできるではないかっ、もう1つ頼むっ♪」
「そんなに一気に食べられないよ……っ!」
「ふむ……まあよい。ではいただくとしよう」
「水路で洗うんじゃなかったの……?」
「もう我慢できん!」
ファフナさんは渋皮のない白いアーモンドを口に放った。
「うっ……黒いのが、少し残っているではないか……!」
「急かすからだよ……」
チョコレートの美味しさを知ってもらいたいのもあるけど。
「おお……これは、なんと香ばしく味わい深い……」
「美味しい……?」
「美味い! 次はまだか?」
「わかったよ……」
ファフナさんはチョコが不味いとは一言も言わなかった。
俺はチョコを多めに残して舐め取って、アーモンドを手渡した。
今更だけどこれって、すごいことしているような……。
「食べないの……?」
「い、いや……少し冷静になってみると、我ら、とんでもないことをしておらんだろうか……?」
顔を赤くしてそう言われると、こっちまで恥ずかしくなる。
「してるかも……」
「う……っ、ううううっ、我に加護をっ、はむっ!」
ファフナさんは思い切りよく、チョコがだいぶ残ったアーモンドを口に押し込んだ。
「うぐ……っ?!」
「あ、やっぱりチョコレート、ダメだった……?」
「う、美味い……」
「本当? よかった……」
「勘違いするな、チョコレートとかいうやつも、ちょっとなら許せると言っているだけだ! さあ、次を舐め取れっ!」
「ごめん、もうギブ、チョコレートはこれ以上一気に食べられないよ」
「な、なんだと……」
ファフナさんは迷った。
俺が譲歩しないと見ると、迷い迷いにチョコレートの箱に手を伸ばす。
「せっかくのアーモンドを、こんな臭い物で台無しにしおってっ! まったくけしからん!」
そして結局、食べた。
それはもう美味しそうな、幸せいっぱいの笑顔で、アーモンドチョコレートをもりもり食べてくれた。
「ふんっ、変な匂いだが、味は認めてやる……」
「そうだね、匂いは独特だ」
「それとこういうのは、ミルディンが好きそうだ……。あいつに差し入れてやれ」
「ファフナさんって、お母さん想いなんだね」
「ふんっ、あんなお子ちゃまのどこが母だ! 我の方が乳も背も度量もでかいというのに、我の一部を構成するというだけで母親づらしおって!」
ファフナさんはもう新しいチョコレートに手を付けた。
そんなに一気に食べたら口の中がニチャニチャになるのに。
「母親代わりになってくれる人が近くに居るのって、幸せなことだと思うけれど」
「うるさいっ、デート中に母親の話をするなっ!」
「ごめん、言われてみたらその通りだね。って、ファフナさんが始めた話じゃないか!」
「我はミルディンをお母さんなどとっ、一度たりとも思ってなどおらぬわーっ!」
一説によると、チョコレートを食べると気分が高まるという。
ファフナさんは口をニチャニチャにしたまま、楽しそうにミルディンさんの話を続けてくれた。
本当はお母さんが大好きなんだね。
そう本音を口にしたらきっとすごく怒るだろうから、生温かく見守った。
その強い肉体に生まれなかったら、ファフナさんは普通のやさしい女の子に育っていたのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる