元アンティーク修復家の異世界転生 - 人質として帝国に差し出された俺がチート能力【アイテム転生】で、皇女と釣り合う男に成り上がるまで -

ふつうのにーちゃん

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・【無窮のスコップ】と【無限のポーチ】で超高速トンネル掘削 1/2

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 一通りの話を聞き終えると父上は応接間の席を立った。

「若い頃の僕も大概でしたが、君もやりますね」

「いえ、父上には遠くおよびません!」

 憧れの父上に褒めていただけて嬉しかった。

「そんなことはありません。平民の血しか流れていない僕が、伯爵令嬢マルサを皇太子ベルナディオと奪い合ったの大概でしたが、今の君にはおよびません」

「…………え?」

 けれどそれは武勇や功績を称えるものではなかった。

「ご主人様ったらかわいいんですよ、王様♪ 催しで大好きなソーミャ皇女に会えるとわかると、暗い表情がパァァーッと華やぐんです♪」

「嘘……!? 絶対そんな顔してませんよ、俺っっ!?」

「ほぅ、それは微笑ましい一方で、親として少し嫉妬してしまいますね……」

 父上は話の続きを求めてまた着席してしまった。

「ええ、ええわかります、わかりますそのお気持ち!」

「君はとても話上手ですね。ではもう少し詳しく、うちの子について根ほり葉ほりと、うかがってもよろしいですか?」

「はい王様、喜んで!」

 今が非常事態なのをこの人たちは理解しているのだろうか。

「俺、トンネル工事に入りますから、終わったら父上を呼びに戻りますね」

「おっと、そうでした。申し訳ないエマさん、プアン皇后を牢獄でお待たせしているのを忘れていました」

「ふふふっ、王様は面白い方ですねっ」

「後で時間を作ります。その時にぜひ、この子の恋路から日常生活まで、全て僕に教えて下さい」

 父上にあきれ果てた俺は応接間を出て、早足でエントランスを抜けて庭園のトンネルの中に移動した。
 父上は年に一度しか会えない息子と会えて、だいぶ舞い上がっているようだった。

 計算によるとロメイン邸までの距離は約195歩。他のお屋敷に2階層の地下室があると仮定して、まずはこのスロープ路を地下三階の深さまで螺旋の道にする。

「それじゃ、工事再開だ。両名ともどうかよろしく」

 【無窮のスコップ】と【無限のポーチ】をそれぞれ撫でて工事に入った。
 そのスコップは岩であろうとなんだろうと『硬さ』を無視して真っ二つに穿うがち、ポーチは大粒の岩塊であろうと大口を開いて飲み込んでいった。

『オラフはお主が心配なんじゃろう。若い頃の自分を見ているような気になるんじゃろうて』

「貴方はその頃の父上の服だったんですよね? 俺たちそんなに似ていますか?」

『似てはおらんの。オラフは当時やさぐれておってのぅ、手のかかる子じゃった……』

「へぇ、父上、本当に不良だったんですか……」

 やさぐれた父上。今のやさしい人物像を知っていると想像すらできない。

『じゃがやっていることはだいたい同じじゃな』

「そうなのですか?」

『うむ、オラフは身分違いの恋に情熱を燃やし、恋敵にして親友ベルナディオの護衛のため危険に身を投じた。人質の王子という身分でじゃ。面白い男じゃろ? だからワシは――ウップッッ!?』

「え、ちょっと、どうかしたんですか……!?」

 土砂の吸引が止まった。もしやと思って魔法のタブレットを開くと、【無限のポーチ】が容量オーバーになっていた。

――――――――――――
【無限のポーチ】
容量:806/777L
状態:容量オーバー
内容物のリスト:
 赤土:608L
  水:124L
 粘土: 31L 
 古木: 11L
 石英:  9L
 硝石:  5L
 その他人工物
   : 18L
――――――――――――

『う、うぷっ……調子に乗って食い過ぎたわい……っ』

『だらしねー爺さんですぜ、こんちくしょーっ! おい孫っ、吐かれたらオダブツですぜ、おめーっ!』

『す、すまぬ……吐きそうじゃ……』

「ちょっ、ちょっダメッ、待って待って待って待ってっ、ここで吐いたらダメだよ、お爺ちゃんっっ!!」

 全力疾走で地上へと駆けた。
 夢中になっているうちに長大な直線路となっていた地下トンネルを瞬発力倍加の力で一直線で抜けて、はいずるように螺旋の道を駆け上がった。

「うっ、まぶし……っっ。【無限のポーチ】よっ、水を30L吐き出してっっ!!」

 そう命じると、ポーチは俺の腰から離れて頭上へと飛び上がり、そして冷たい地下水を噴水のように天高く放散させた。
 空高く打ち上げられたそれは拡散して、大粒の雨となって一帯に降り注いだ。

『キャハハハッ、おもしれーじゃねーですか、爺さん! おらもっと吐くですよーっ!』

「それはダメです、ご近所さんにご迷惑が――」

『うっ、うぼぼぼぼっっ?! す、すまぬ、止まらぬぅぅぅ……っっ!!』

「え、ええええーーっっ?!」

 そのポーチは貴族街の一角に局所的豪雨をもたらした。帝国が陰謀の暗雲に包まれているというのに雲のない青空から天気雨が降り注ぎ、拡散した水滴が大きな虹を描き出した。

 当然ながらご近所は騒然。うちの屋敷から天高くそびえ立つ水柱も目撃されたことだろう。
 土に含まれていた124Lもの地下水は、2分も続く大粒の雨となって辺りそこ中を水浸しにしていった。
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