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ざまぁされちゃった王子の回想録
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社交の場での嫌がらせに大した効果がないと学習し、侯爵家の娘はさらに悪辣な手段に訴えることになる。ある日、彼女がとある伯爵夫人と話している場面を目撃してしまった。この伯爵夫人は、ミミの養家の長女だ。
侯爵家の娘の、キンキンとした不快な声が聞こえる。
「家族仲がよろしくて、うらやましいわ。次はいつお会いになるの?」
「今度の木曜日に、母と義理の妹が会いに来てくれます」
「まあ、そうなの。楽しみね」
「はい」
この会話の後、伯爵夫人のもとから離れた侯爵家の娘は、醜悪な笑みを浮かべた。見るからに何やら悪事を画策していそうだ。もう、嫌な予感しかない。私はすぐさま会場内にいたミミの養父である男爵を捕まえて、警告をした。確証はないが、次にミミと養母が外出するときには、くれぐれも身の安全を図るように、と。
男爵は、適切に手を打ってくれた。外出の日時に合わせて、憲兵隊の実地訓練を組んだのだ。おかげでミミたち二人は、ならず者の襲撃は受けたものの無事だった。
事件の翌日、ミミたちの無事な姿を確認してから、父のもとに向かった。侯爵家の娘を糾弾するためだ。しかし父に会う前に、宮殿内で弟に出くわした。
「そんなに青い顔をして、いかがなさいましたか、兄上」
「すまないが、先を急いでいる」
「ああ、兄上の大事な妖精姫が襲われた件ですか?」
図星をつかれた私は、足をとめた。
「父上に掛け合って罰していただこうというお考えでしょうが、それではいたちごっこですよ。今回は無事でしたが、次はどうでしょうね」
どういうことかと眉をひそめる私に、弟はしたり顔でとうとうと説明した。
王太子妃の座を狙う者たちにとって、ミミの存在は目の上のたんこぶだ。侯爵家の娘を処分したところで、今後も似たようなことを考える者は後を絶たないであろう。本当に心からミミを大事に思うのであれば、彼女を諦めるか、王太子の地位を捨てるしかない。
「王太子の座を捨てる覚悟がおありなら、僕に一任してください。彼女の身の安全を確保した上で、兄上と一緒になれるよう取り計らいますよ」
世間知らずで愚かな私は、ここで決定的に間違った判断を下した。弟の提案に乗ってしまったのだ。騙されたと気づいたのは、すべてが片付いた後のことだった。
確かに私は王太子の地位を剥奪されるのと引き換えに、ミミと一緒になることができた。ただし「侯爵家の娘を陥れるために、狂言を演じた」という、根も葉もない汚名を着せられて。
侯爵家の娘の、キンキンとした不快な声が聞こえる。
「家族仲がよろしくて、うらやましいわ。次はいつお会いになるの?」
「今度の木曜日に、母と義理の妹が会いに来てくれます」
「まあ、そうなの。楽しみね」
「はい」
この会話の後、伯爵夫人のもとから離れた侯爵家の娘は、醜悪な笑みを浮かべた。見るからに何やら悪事を画策していそうだ。もう、嫌な予感しかない。私はすぐさま会場内にいたミミの養父である男爵を捕まえて、警告をした。確証はないが、次にミミと養母が外出するときには、くれぐれも身の安全を図るように、と。
男爵は、適切に手を打ってくれた。外出の日時に合わせて、憲兵隊の実地訓練を組んだのだ。おかげでミミたち二人は、ならず者の襲撃は受けたものの無事だった。
事件の翌日、ミミたちの無事な姿を確認してから、父のもとに向かった。侯爵家の娘を糾弾するためだ。しかし父に会う前に、宮殿内で弟に出くわした。
「そんなに青い顔をして、いかがなさいましたか、兄上」
「すまないが、先を急いでいる」
「ああ、兄上の大事な妖精姫が襲われた件ですか?」
図星をつかれた私は、足をとめた。
「父上に掛け合って罰していただこうというお考えでしょうが、それではいたちごっこですよ。今回は無事でしたが、次はどうでしょうね」
どういうことかと眉をひそめる私に、弟はしたり顔でとうとうと説明した。
王太子妃の座を狙う者たちにとって、ミミの存在は目の上のたんこぶだ。侯爵家の娘を処分したところで、今後も似たようなことを考える者は後を絶たないであろう。本当に心からミミを大事に思うのであれば、彼女を諦めるか、王太子の地位を捨てるしかない。
「王太子の座を捨てる覚悟がおありなら、僕に一任してください。彼女の身の安全を確保した上で、兄上と一緒になれるよう取り計らいますよ」
世間知らずで愚かな私は、ここで決定的に間違った判断を下した。弟の提案に乗ってしまったのだ。騙されたと気づいたのは、すべてが片付いた後のことだった。
確かに私は王太子の地位を剥奪されるのと引き換えに、ミミと一緒になることができた。ただし「侯爵家の娘を陥れるために、狂言を演じた」という、根も葉もない汚名を着せられて。
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