エッセイ①

しらたま

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「私」

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私には大切な人がいた。その人は才色兼備、品行方正、容姿端麗という言葉が当てはまるような女性だった。根暗で陰気な私とは不釣り合いなことぐらい分かっていた。でも、彼女は私を愛してくれた。無論、私も彼女を愛していた。
彼女との時間は幸せだった。でも、その幸せがいつまでも続くわけでもなく、いつしか彼女は私のもとからいなくなっていた。
こうなることは分かっていた、分かっていたけれどとても胸が苦しくなる。もうこのままいなくなってしまった方がいいと思ってしまう。
彼女は私にいろいろなものを与えてくれた。彼女に救われていた。
だが私は?私は彼女に何かしてあげただろうか、彼女のためになっていたのだろうか。
いや、何もしてあげれなかった、何のためにもならなかった。こうやって自責の念に駆られたところでどうなるわけでもなく、いっそ誰かの傀儡となって、奴隷となって暮らした方が人のためであり、私のためでもあるのではないか、と思うのだった。
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