[完結]飲食店のオーナーはかく戦えり! そして下した決断は?

藤堂慎人

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 次の日、昨日の話通り、私は昼間、いろいろ考え、夜を待っていた。美津子も仕事の合間にいろいろ考えていると期待し、夜の話し合いを待っている自分がいることに気付いた。
 私も昨日は具体的なことはあまり考えておらず、最近の自分のことを前提に、多少ネガティブな感情も入りつつ考えていたように思っていた。自分なりに整理し、今晩はそれなりにロジカルに話せたらと思いつつ、美津子の帰宅を待っていた。
 「ただいま」
 美津子がいつもの時間に帰ってきた。私はゆっくり休息が取れていたので、美津子の帰宅に合わせ、冷蔵庫からビールを取り出し、軽食を用意していた。美津子が店から何かしら持ち帰ることは分かっていたので、次の日に回しても良いようなものだった。念のためお腹の様子を尋ねたが、今日はお茶漬けのようなものが食べたいと言ったのでそれを準備し、リビングのテーブルまで運んだ。私も同じメニューで軽く食事した。食事中はいつものように店のことが話題の中心になったが、今晩の話のメインは昨夜の続きだ。
「ところで昨日の話の続きなんだけど・・・」
 私の方から話を切り出した。
「私も昨日、あなたがあんなことを言い出したから仕事の合間にいろいろ考えたんだけど、何を言いたいのか、どうしたいのかが分からない。おそらく、最近の自分の体調不良が原因でいろいろ考えたのでしょうけど、私たちは今、居酒屋という商売をやり、生活している。でも、新型感染症の問題が壁になり、思ったように商売がうまく回せなくなっている。だからこそ、これまでみんなでいろいろなアイデアを練り、やれることをやってきた。まだ結果が出たというところまでは行かないけれど、何か見えてきたような気もしていた。だからこそ、あなたの昨日の話、ちょっと見えないのよ」
 美津子は真剣な表情で、はっきり言った。確かに、私の話は唐突だったかもしれない。でも、体調を崩した経験というのは私にとっては重要で、その上で知ったのが健康の有難さだった。そしてそのおかげで日々の生活が成り立っている、ということにも改めて気付いた。私はそのことを美津子にも理解してほしかった。
「美津子が言うこともよく分かるよ。俺もずっと健康で、同じことを言われたら多分美津子と同じように返したと思う。でも、新型感染症ではないかと思った時、最悪のことも含めて考えた。ギックリ腰の時には2回目ということもあり、もしかすると立てなくなるかも、という恐怖に近い思いが頭の中を支配した。俺も強い人間じゃない。普通の精神力しかないどこにでもいる人間だ。だからこそ、今回のような身体に関係することが続き、いつもの状態とは全く異なることを経験すると、いろいろ考えるんだ。もしかすると、今は新型ウイルスが流行り、世の中全体がネガティブな思考に走っているということも関係しているかもしれない。そんな中で、今やっている仕事のやりがいということを意識するようになったんだ」
 私も真剣に美津子の目を見て、今の気持ちをきちんと話そうとしていた。
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