[完結]飲食店のオーナーはかく戦えり! そして下した決断は?

藤堂慎人

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癒しの世界 2

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 奥田は少し考えた様子で口を開いた。
「実は私が教わった先生は質にこだわる方で、学校という形式ではありますが、手続きさえすれば教われる、という感じではありませんでした。そこに求められるのは本物のやる気であり、卒業後、学校が何とかしてくれるといったところではありませんでした。でも、本気の方であればいろいろサポートしてくれる、といった雰囲気でした。私も複数の学校で説明を聞きましたが、説明は事務的で、美味しい話ばかりされました。私も社会人ですのでそういった甘い話は半分しか聞いていませんでしたし、やたら入学を進めてきます。そんな雰囲気が嫌でこんなものかといった感じでいました。そしてある時、本屋さんで整体関係の本を探していると1冊の本を見つけました。整体師になった成功話が書いてあるのは宣伝用の自費出版的な感じのものばかりでしたが、それはそういう類の本でありませんでした。整体術についての考え方を含め、それに基づいた技術的なことが書かれていました。複数の本を出されていますのでそれを読みますと、その先生は整体の他に武道をやられているようで、そこでの身体の読み方が技術にも活かされているとのことでした。この2つは全く別のように思いますが、それぞれ読んでいるとその考え方に共鳴しました。癒しとは対極である人の身体の壊し方の経験者ということで、そのギャップにも大変興味を持ちました。ただ、だからでしょうか、施術については心地良い中で結果を出すことが大切と説かれており、こういうところも私の考え方と合致しました。実は私もこの世界に入る前は腰痛持ちで、あちこち通いました。痛い思いをしたり何をやっているか分からないような施術に整体の世界はこんな感じか、と思うようになっていました。その考えがその先生に出会って変わったんです」
 奥田は珍しく嬉々として話していた。これまでのお付き合いの中では見たことが無いような感じだった。それだけ奥田にとってその先生との出会いが大きなターニングポイントになっていたのであろう。私も美津子もこの話には大変興味を持った。
「それでその先生と会われた時、どうだったんですか? 何か特別なことでも?」
 この質問が美津子の口から出た。先ほどは経営的なことに興味を持っていたようだが、話を聞く内に整体に対する興味や意識が変わってきたのだろう。もちろん、その整体についての興味が強くなったのは私も同様だったので、奥田の話の続きに興味津々だった。
「はい、本の後ろの方に連絡先などが書いてありましたが移転されたようなのでネットが調べ、電話を掛けました。ちょうど先生が出られましたので整体について興味があり、できれば仕事として考えたい、ということをお話ししました。もちろん初めてでしたが、先生はそれでも時間を取ってくれて、相談に伺いました。約束の時間に伺うと、ちょうどその時腰の調子が今一つだったので少し姿勢が悪かったようです。でも、私はそれに気付いていませんでした。先生はそれを見て腰の問題を指摘されました。それで予定外だったのですが、ベッドに横になるように言われ、その通りにすると下肢のツボを数ヶ所押されました。正直、腰以外のところを押されても、と思っていましたが、立ってみると腰が軽くなっていました。しかも、その時の感触は圧はしっかり浸透しているけれど、これまで経験したようなゴリゴリした感じではなく、自然に深く入っている、という感じでした。あとから聞くと通常はこういうことはしないけれど、あなたの場合、腰が曲がり、とてもその様子が気になったから、ということでした」
 私はいきなり初対面の人に施術するというのもすごいと思ったが、その後の流れも気になり、ついその続きに期待する顔になっていた。
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