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スタッフへの思い 1
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奥田の店から帰った時、私たちの気持ちは高揚していた。私の場合、もともと癒しの世界に関心が強くなっていたため当然ではあるが、意外に美津子の気持ちも高まっていたのだ。相談に行く前は、とりあえず一緒に行って話を聞くという感じだったが、奥田との話の際は思った以上に積極的に話に参加し、私が質問しようとする前に核心的なところについて尋ねている。
だからといって私の提案について美津子がどこまで理解し、考えようとしているかはまだ分からない。私たちはいつもの夜のようにリビングのテーブルの上にビールを置き、話をしようとしていた。でも、考えてみればまだ夕食を摂っていない。店に出ている時はちょっとした合間に何か食べ物を口にし、家に帰る時に残り物を持ち帰り、それをつまみにしてビールと一緒に食べるということでそれが夕食代わりになっていた。それが一般の家庭のように明確な夕食の時間を取っていない私たちの日常だが、さすがに何もお腹に入れていなければ悪酔いする可能性がある。
そこでビールが温くならないよう冷蔵庫に戻し、家にあるもので簡単に作り、それを夕食の代わりにしよう、ということになった。だが、奥田との話でお腹が一杯になったような感じもあり、本当におつまみ程度の内容になった。豆腐になめこを掛け、朝食用に買ってあったロールパンにレタスやハムを挟んだものという具合に、酒の肴と朝のメニューが一緒になったような不思議な内容だった。でも、この日の私たちにはそんな食事でちょうど良く、2人で手分けして手早く用意した。話のほうが大切だから、ということをお互いに分かっていたからだ。
メニュー自体は簡単だから、大した時間はかからなかった。出来上がった料理はリビングのテーブルに運ばれ、先ほど戻したビールをまた卓上に並べた。
「さて、今日の話だけど、どう思った?」
私たちはおつまみとなる豆腐に手を付ける前にパンを食べたが、すぐ食べ終わった。ビールを飲みながらの話になったが、お腹に何か入ると少し気持ちも落ち着くようだ。私が美津子に尋ねた時の気持ちは帰宅時よりも落ち着いているのが自分でも分かった。だが、それくらいのほうが客観的な意識で話せるのではないかということも思っていた。
「私、奥田先生のところに伺うまではあまり乗り気ではなかった、というのが本当のところ。でも、あなたのギックリ腰が見事に回復し、癒しという世界の大変さや面白さも少し理解できたみたい。今回の話のきっかけになったのはあなたの体調の問題だったけど、その分あなたは私とは違った意識で話を聞いていたと思う。異なる人間だから意見や見方が違っても当然だと思うけれど、同じ話を一緒に聞くと、今日のあなたの変化の様子を隣で見ていて、癒しという仕事のやりがいというところも理解できるような気がしたわ。でも、この前も話したと思うけれど、私たちは2人だけで居酒屋というお店をやっているわけじゃない。この点をどう解決できるかが転職する場合の最大のネックになると思うわ。確かに今、新型感染症の関係で売り上げは落ちているし、そういうことを理由にお店を畳んだところもあるということは少しずつ耳にしている。だからそれを理由に廃業するということがあっても強く文句を言う人は無いと思う。だけど、私たちが転職することを考えて店を閉めるということであればみんなに申し訳ないわ。一生懸命頑張ってくれたし、売り上げがどうなっているかということも毎日のように出勤している矢島君や中村君は知っている。だから売り上げ不振でといった理由は通用しないと思うし、これまで築いた信頼を裏切ることになるから私は賛成できない」
美津子は真顔ではっきり言った。
だからといって私の提案について美津子がどこまで理解し、考えようとしているかはまだ分からない。私たちはいつもの夜のようにリビングのテーブルの上にビールを置き、話をしようとしていた。でも、考えてみればまだ夕食を摂っていない。店に出ている時はちょっとした合間に何か食べ物を口にし、家に帰る時に残り物を持ち帰り、それをつまみにしてビールと一緒に食べるということでそれが夕食代わりになっていた。それが一般の家庭のように明確な夕食の時間を取っていない私たちの日常だが、さすがに何もお腹に入れていなければ悪酔いする可能性がある。
そこでビールが温くならないよう冷蔵庫に戻し、家にあるもので簡単に作り、それを夕食の代わりにしよう、ということになった。だが、奥田との話でお腹が一杯になったような感じもあり、本当におつまみ程度の内容になった。豆腐になめこを掛け、朝食用に買ってあったロールパンにレタスやハムを挟んだものという具合に、酒の肴と朝のメニューが一緒になったような不思議な内容だった。でも、この日の私たちにはそんな食事でちょうど良く、2人で手分けして手早く用意した。話のほうが大切だから、ということをお互いに分かっていたからだ。
メニュー自体は簡単だから、大した時間はかからなかった。出来上がった料理はリビングのテーブルに運ばれ、先ほど戻したビールをまた卓上に並べた。
「さて、今日の話だけど、どう思った?」
私たちはおつまみとなる豆腐に手を付ける前にパンを食べたが、すぐ食べ終わった。ビールを飲みながらの話になったが、お腹に何か入ると少し気持ちも落ち着くようだ。私が美津子に尋ねた時の気持ちは帰宅時よりも落ち着いているのが自分でも分かった。だが、それくらいのほうが客観的な意識で話せるのではないかということも思っていた。
「私、奥田先生のところに伺うまではあまり乗り気ではなかった、というのが本当のところ。でも、あなたのギックリ腰が見事に回復し、癒しという世界の大変さや面白さも少し理解できたみたい。今回の話のきっかけになったのはあなたの体調の問題だったけど、その分あなたは私とは違った意識で話を聞いていたと思う。異なる人間だから意見や見方が違っても当然だと思うけれど、同じ話を一緒に聞くと、今日のあなたの変化の様子を隣で見ていて、癒しという仕事のやりがいというところも理解できるような気がしたわ。でも、この前も話したと思うけれど、私たちは2人だけで居酒屋というお店をやっているわけじゃない。この点をどう解決できるかが転職する場合の最大のネックになると思うわ。確かに今、新型感染症の関係で売り上げは落ちているし、そういうことを理由にお店を畳んだところもあるということは少しずつ耳にしている。だからそれを理由に廃業するということがあっても強く文句を言う人は無いと思う。だけど、私たちが転職することを考えて店を閉めるということであればみんなに申し訳ないわ。一生懸命頑張ってくれたし、売り上げがどうなっているかということも毎日のように出勤している矢島君や中村君は知っている。だから売り上げ不振でといった理由は通用しないと思うし、これまで築いた信頼を裏切ることになるから私は賛成できない」
美津子は真顔ではっきり言った。
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