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スタッフへの思い 3
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「中村君もよくやっているわ。2号店の場合、幸い私が元気なので1号店のように完全に任せるということは無かったけれど、もしもの時には任せられるかな、という思いはある。もう長いからね。それなりの信頼は寄せているわ。ただ、経営のこととなると未知数だし、今は責任あるスタッフということでのイメージかな。これまで私の代わりにやってもらうということもなかったし、考えたこともなかった。だから、そのことについて正しく中村君のことを捉えられているかどうかは分からないけれど・・・。今言えることはそれくらいかな」
思っていたより簡単な答えだった。
だが、これまで考えことが無いわけだから無理もない。だからこそここできちんと考えてほしいと思い問い掛けたので、私は続けて言った。
「俺が家にいる時、昔のこと考えていた。居酒屋をやろうと思っていた時のことだ。チェーン店での経験だったけど、ある程度運営を任されていたからいろいろ自分で考え、売り上げに結び付けたこともあった。そういうことの積み重ねで独立して自分で店を持とうという自信をつけ、オープンできた。もちろん、美津子の協力も大きく、いろいろ陰に日向に支えてくれたことは感謝している。そして独立した今は2号店までオープンさせ、新型感染症なんて流行らなければもしかすると3号店を開いていたかもしれない。実際、そのための資金も確保していた。2人で始めたにしてはこれまで順調だったように思うけれど、俺たちも最初から経営者だったわけじゃない。試行錯誤しながら少しずつ進んできたし、そこには夢があったりやりがいを感じていたからこそやってこれたと思う。矢島君や中村君の場合も、今は昔の俺たちのような段階にいるとしたら、まだまだ伸びしろはあるんじゃないだろうか?」
「そう言われればそうかもね。私たちも昔はいろいろ失敗も含めて学び、成長してきたと思う。だから矢島君たちのこともそう考えれば理解できるわ。でも今は店を畳んで整体の仕事に転職するとかいう話じゃなかった? だから店をどうするかということになって、それがいつの間にか店を任せる云々といったことになっている。あなた、何が言いたいの?」
美津子は私の顔を見ながら鋭く突っ込んできた。ある意味、そのことを話すためにこれまで話してきたような感じだが、美津子から言われたことで話しやすくなった。
「でも、店の譲渡については今初めて話したことじゃない。先日も話した。流れとして改めて俺が転職した場合の彼らの今後、ということ出てきたはずだ。繰り返しになるので同じ話はしないけど、今でも居酒屋は好きだし、新型感染症をはじめ、体調を壊したりしなければ今みたいなことは考えなかっただろう。だからこそ今、自分の責任ということも合わせ、現実的な方法というのが俺が現場から身を引き、矢島君に店の経営を任せようと考えた。幸い、今の店は会社組織になっているから、俺が会長や相談役になり、一定の報酬はきちんともらいながら店にも時々顔を出し、手伝いながら相談に乗るといったことでみんなのフォローをしたいと思っている話もしたはずだ。俺は整体の技術を学んで現場経験を積み、やがては整体院をオープンし、スタッフの健康管理も含めてやっていければと思っている。こういうことは俺一人でやっていくことを考えていたけれど、さっき奥田先生のところで相談していた時の様子を見て、もしかすると美津子も整体の仕事に興味持ったのかな、そしてもしそうなら一緒にやることもあり得るかな、ということを考えていた」
私は美津子の顔を見ながら言った。思ってもよらなかった私の言葉に表情が変化したが、その印象はそんなに悪いものではなかった。
思っていたより簡単な答えだった。
だが、これまで考えことが無いわけだから無理もない。だからこそここできちんと考えてほしいと思い問い掛けたので、私は続けて言った。
「俺が家にいる時、昔のこと考えていた。居酒屋をやろうと思っていた時のことだ。チェーン店での経験だったけど、ある程度運営を任されていたからいろいろ自分で考え、売り上げに結び付けたこともあった。そういうことの積み重ねで独立して自分で店を持とうという自信をつけ、オープンできた。もちろん、美津子の協力も大きく、いろいろ陰に日向に支えてくれたことは感謝している。そして独立した今は2号店までオープンさせ、新型感染症なんて流行らなければもしかすると3号店を開いていたかもしれない。実際、そのための資金も確保していた。2人で始めたにしてはこれまで順調だったように思うけれど、俺たちも最初から経営者だったわけじゃない。試行錯誤しながら少しずつ進んできたし、そこには夢があったりやりがいを感じていたからこそやってこれたと思う。矢島君や中村君の場合も、今は昔の俺たちのような段階にいるとしたら、まだまだ伸びしろはあるんじゃないだろうか?」
「そう言われればそうかもね。私たちも昔はいろいろ失敗も含めて学び、成長してきたと思う。だから矢島君たちのこともそう考えれば理解できるわ。でも今は店を畳んで整体の仕事に転職するとかいう話じゃなかった? だから店をどうするかということになって、それがいつの間にか店を任せる云々といったことになっている。あなた、何が言いたいの?」
美津子は私の顔を見ながら鋭く突っ込んできた。ある意味、そのことを話すためにこれまで話してきたような感じだが、美津子から言われたことで話しやすくなった。
「でも、店の譲渡については今初めて話したことじゃない。先日も話した。流れとして改めて俺が転職した場合の彼らの今後、ということ出てきたはずだ。繰り返しになるので同じ話はしないけど、今でも居酒屋は好きだし、新型感染症をはじめ、体調を壊したりしなければ今みたいなことは考えなかっただろう。だからこそ今、自分の責任ということも合わせ、現実的な方法というのが俺が現場から身を引き、矢島君に店の経営を任せようと考えた。幸い、今の店は会社組織になっているから、俺が会長や相談役になり、一定の報酬はきちんともらいながら店にも時々顔を出し、手伝いながら相談に乗るといったことでみんなのフォローをしたいと思っている話もしたはずだ。俺は整体の技術を学んで現場経験を積み、やがては整体院をオープンし、スタッフの健康管理も含めてやっていければと思っている。こういうことは俺一人でやっていくことを考えていたけれど、さっき奥田先生のところで相談していた時の様子を見て、もしかすると美津子も整体の仕事に興味持ったのかな、そしてもしそうなら一緒にやることもあり得るかな、ということを考えていた」
私は美津子の顔を見ながら言った。思ってもよらなかった私の言葉に表情が変化したが、その印象はそんなに悪いものではなかった。
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