お母さん、私、恋したよ!

藤堂慎人

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病状変化 2

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 主治医は検査の担当者に指示をし、必要なデータを取るようにした。その上で母に診察室に来るように促し、坂本も一緒に行った。
「お母さん、大切なことなのできちんとお話をしておきます。さくらさん、吐血されましたが、病状が進んだ可能性があります。薬を変えましたが、押さえ切れていなかったようです。今後、何かあった緊急の処置が必要となる場合もありますし、他の患者さんへの影響もありますので、個室に移動していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか?」
「さくら、そんなに悪いのでしょうか?」
「吐血が気になります。状況を確認するために検査に入ったわけですが、今、食欲もあまり無いようですし、体力的な心配もあります。栄養面では点滴で多少は補えますが、きちんと食べてもらうことが大切で・・・。それが難しい場合・・・」
「そんな・・・。さくらはこの前、強い薬に変えたばかりですよね。それが効かなかったということですか?」
「ガンには早く進行するタイプもありますし、体力が弱っている時にそうなることもあります。いずれにしても詳しい検査の結果を見て、今後の対策をしたいと思います」
「これまでやった検査では分からなかったのですか?」
「ガンの進行にはいろいろな要素が組み合わさってという場合がありますし、初期診断に加えて経過を観察することが必要になります」
「では、今回のことで進行が早いタイプと判断される場合、治療法はあるのですか?」
「今はいろいろな薬がありますし、組み合わせによって効果が出る場合もあります。遺伝子のタイプで薬を検討する方法もあります。個室に移っていただくというのは、さくらさん自身の緩和ケアを意図したところもあり、ストレスをできるだけ少なくすることで免疫力を高めるようにします。我々としても全力でさくらさんの治療に当たります」
 主治医は母の目をしっかり見て話した。そしてその目は坂本の方にも向けられた。
「敦君、今、君はさくらさんの心の支えとして重要なところにいる。坂本先輩の息子さんだし、将来医師を目指すなら、その気持ちをしっかり持って、さくらさんをサポートして下さい。心の支えの存在は、病気を治す強い力になるから、私からもお願いします」
「もちろんです。その気持ちがなければここにいません。この前、先生からのお話の時にも同席させていただきましたし、何よりも僕自身がさくらさんのことを心配しています。お母さんの前だからこそはっきり言いますが、さくらさんのこと、好きです。同情なんかじゃありません。強い精神力や同室の人たちへの心配りなど、体調の問題があるから余裕が無いはずなのに・・・。それから入学して間もなく、下校時に子猫が捨てられていたのを見た時、そっと連れて帰ったところを見ました」
「あっ、その子、さくらがお世話したいといって今、ウチにいます」
「やっぱり・・・。僕、そういう優しいさくらさんが好きなんです。体調のことがありながらもっと弱い存在に気を遣う、そんなところが良いんです」
「・・・坂本君、ありがとう。さくらが聞いたらきっと喜ぶわ」
「でも、さくらさんにははっきり伝えていません。こういう話をしたらさくらさんのことだから、重荷になりたくないと言うと思います。だから、この話、ここだけにしてください」
「分かったわ。本当にありがとう。でも、自分の勉強に支障がないようにね。もしそういうことになったら、さくら、傷つくと思う。勝手なことを言うようだけど、無理はしないで」
「はい、ありがとうございます」
 坂本はそういう言葉も配慮と受け取っていた。
「これで心のサポートの目途が付いた。後は僕たちが全力で治療に当たり、さくらさんや敦君が普通の高校生らしい生活ができるように頑張ります。また、必要に応じてここに来てもらうことになるかもしれないけれど、よろしくお願いします」
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