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病状変化 7
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坂本がやってきた。メールで連絡があったように、いつもより1時間遅れだ。
「ごめん。ちょっとクラスでトラブルがあって・・・」
「えっ? 何? 解決したの?」
私は心配になり、坂本に尋ねた。
「うん、解決した。だからもう大丈夫」
「そう、良かった。それで何があったの?」
「騒ぎ出したのは天田さんなんだ。ご両親から高校入学に当たってプレゼントされたシャープペンシルだけど、高価なものなんだって。それが午前中にはあったけれど、午後に無くなったというんだ。もちろん、クラスの人が盗むなんてことはないと思っているけれど、誰かクラスに入ってきたことはないので、みんな疑心暗鬼になっていたんだ。すごく雰囲気が悪くなり、担任の先生も仲裁に入った。僕もクラス委員という立場上、そのまま帰るわけにはいかなくなり、いろいろ可能性を考え、お昼からの天田さんの行動を確認したんだ。とても書きやすいシャープペンシルということでクラスメートに見せていたけれど、その後に無くなったというんだ。話の流れから誰かが盗んだのでは、という感じになったので、クラスの中を探したんだ。すると部屋の隅の方に転がっているシャープペンシルがあったんだ。結局、落したことを気づかなかった、というわけだけど、そのことで天田さんがクラスのみんなに謝り、やっと落ち着いたんだ。それで遅れてしまった。申し訳ない」
「大変だったね。でも坂本君。そういう時でも冷静に対応したんだ。さすがだね」
私は自分のことでは無いけれど、坂本のそういう行動を誇りに思っていた。感情移入をしている自分に気付き、少しクスッと笑う自分がいた。
その様子を見て坂本が言った。
「どうしたの。僕、何か変なこと言ったのかな?」
「そうじゃないの。冷静に対処するなんてさすが敦君ね」
私も最近では坂本のことをあなたと言ったり名前で呼んでいるが、こういうことがお互い自然に出てくるように心が近づいていることを実感していた。
こういう時間は私が病気であることを忘れさせてくれる。だが、以前より坂本といる楽しいはずの時間に咳き込むことが増えているし、最近は気のせいかもしれないがお腹の張りを感じている。転移の可能性は私も知っている。主治医から私の今の病気がガンと知らされ、転移を防ぐために投薬も行なっている。だからまさかと思いつつも、もしかしてという気持ちもある。そういう話は主治医から聞いていないが、最近、検査が多い。もしかすると何か見つかったのか、そんな気持ちになっている。私の場合、ウェルナー症候群も患っているので、普通のガンの場合とは違うことがあるのかもしれない。最近はそういうことも考えている。しかし、坂本といる時間は全てを忘れさせてくれる。たとえ今日の話のようなことがあっても、対応の様子を聞いていると頼もしく思える。そんな坂本に支えられている私は幸せ者だと感じている。
「何か、嬉しそうだね」
私が一人自分の思いに浸っていると、坂本がドキッとするようなことを言った。その言葉通りだったので、私の心が分かったのかと思い、それが表情に出たのだった。
≪日記≫
『体調が良くなってる実感はないが、敦と一緒の時は何もかも忘れられる。身体の不快感も消える。
心の充実感は病気にも打ち勝てるのかな。
そうであってほしい。いや、そうなんだ。
だから敦のためにも絶対に治る。へこたれてなんかいられない。
今感じでいることもきっと薬の副作用だ。投薬が終われば回復するはずだ。
私は強い。強いんだ。
退院して敦と一緒に出掛けたい。甘えたい。
今、そんなことを思うくらいなら神様も許してくれるはずだ。
この思い、実現させる!』
「ごめん。ちょっとクラスでトラブルがあって・・・」
「えっ? 何? 解決したの?」
私は心配になり、坂本に尋ねた。
「うん、解決した。だからもう大丈夫」
「そう、良かった。それで何があったの?」
「騒ぎ出したのは天田さんなんだ。ご両親から高校入学に当たってプレゼントされたシャープペンシルだけど、高価なものなんだって。それが午前中にはあったけれど、午後に無くなったというんだ。もちろん、クラスの人が盗むなんてことはないと思っているけれど、誰かクラスに入ってきたことはないので、みんな疑心暗鬼になっていたんだ。すごく雰囲気が悪くなり、担任の先生も仲裁に入った。僕もクラス委員という立場上、そのまま帰るわけにはいかなくなり、いろいろ可能性を考え、お昼からの天田さんの行動を確認したんだ。とても書きやすいシャープペンシルということでクラスメートに見せていたけれど、その後に無くなったというんだ。話の流れから誰かが盗んだのでは、という感じになったので、クラスの中を探したんだ。すると部屋の隅の方に転がっているシャープペンシルがあったんだ。結局、落したことを気づかなかった、というわけだけど、そのことで天田さんがクラスのみんなに謝り、やっと落ち着いたんだ。それで遅れてしまった。申し訳ない」
「大変だったね。でも坂本君。そういう時でも冷静に対応したんだ。さすがだね」
私は自分のことでは無いけれど、坂本のそういう行動を誇りに思っていた。感情移入をしている自分に気付き、少しクスッと笑う自分がいた。
その様子を見て坂本が言った。
「どうしたの。僕、何か変なこと言ったのかな?」
「そうじゃないの。冷静に対処するなんてさすが敦君ね」
私も最近では坂本のことをあなたと言ったり名前で呼んでいるが、こういうことがお互い自然に出てくるように心が近づいていることを実感していた。
こういう時間は私が病気であることを忘れさせてくれる。だが、以前より坂本といる楽しいはずの時間に咳き込むことが増えているし、最近は気のせいかもしれないがお腹の張りを感じている。転移の可能性は私も知っている。主治医から私の今の病気がガンと知らされ、転移を防ぐために投薬も行なっている。だからまさかと思いつつも、もしかしてという気持ちもある。そういう話は主治医から聞いていないが、最近、検査が多い。もしかすると何か見つかったのか、そんな気持ちになっている。私の場合、ウェルナー症候群も患っているので、普通のガンの場合とは違うことがあるのかもしれない。最近はそういうことも考えている。しかし、坂本といる時間は全てを忘れさせてくれる。たとえ今日の話のようなことがあっても、対応の様子を聞いていると頼もしく思える。そんな坂本に支えられている私は幸せ者だと感じている。
「何か、嬉しそうだね」
私が一人自分の思いに浸っていると、坂本がドキッとするようなことを言った。その言葉通りだったので、私の心が分かったのかと思い、それが表情に出たのだった。
≪日記≫
『体調が良くなってる実感はないが、敦と一緒の時は何もかも忘れられる。身体の不快感も消える。
心の充実感は病気にも打ち勝てるのかな。
そうであってほしい。いや、そうなんだ。
だから敦のためにも絶対に治る。へこたれてなんかいられない。
今感じでいることもきっと薬の副作用だ。投薬が終われば回復するはずだ。
私は強い。強いんだ。
退院して敦と一緒に出掛けたい。甘えたい。
今、そんなことを思うくらいなら神様も許してくれるはずだ。
この思い、実現させる!』
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