お正月

才門宝句

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 母の声が耳元で聞こえてきた。核ミサイルが爆発したような声だ。

「また悪夢にうなされておねしょしたんでしょ! 早く起きないと初詣に遅れるわよ!!」

 うっすらとまぶたを開くと、母の顔が目前にあった。
 激怒している母は眉間に皺をよせ怖い顔で睨みつける。
 
「今後は、過激なホラー映画とアクション映画を観るのを禁じますからね」
「母さん、そりゃないよ……」

 おれは、涙をぬぐいながらびしょ濡れになったパジャマのズボンとパンツを脱いで、胸の奥でつぶやいた。

――新年早々、変な夢だったな……。

 着替えの服を着ていると、母はおれにこう告げる。

「来年は幼稚園に入園するのよ。もっとしっかりして頂戴」



                  <了>


 
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