迷宮の星

リーア

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26話

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 シュッと音を立てて、天王星の手の中に高濃度に圧縮された、空気の玉が出来た。光の属性に加え、風の属性の力も持っている天王星にしか出来ない芸当だ。

 次の瞬間、凄まじい風が地球を襲った。とても強い風で後ろへと押される。当たる風がとても痛い。

 天王星が力をこのように使うのは全員見たことがあった。だが、このように力を使うとき、その目的は遊びか涼を取るためだった。

 だが、普段天王星がこの術を使うときとは、比べものにならない風だ。風圧、風速も、どちらも普段使うときの2倍以上の威力ではないのだろうか。

 この際、海王星はあまり脅威にはならないだろう。水の上位力である海の力を持つ海王星だが、この場に水はない。

 そう思っていたのだが、それが誤りだと、すぐ知った。
 地球は、ほおを切り裂くほんの少しの水に気付いた。

 地球を傷つけた水以外にも、地面のひび割れから少しづつ水が立ち上っている。

「地下水ね!」

 半ば嬉しそうに、だが、自分より先に海王星が気付いたという事実のために悔しさをにじませた声で水星が言った。だが、これでここにも水があると分かった。

「不純ですけどね」

 感慨もない月に言われ、嬉しそうだった水星は目に見えて落ち込んだ。

 水星が水を操るとき、水に及ぶ力は、水は純粋であれば純粋であるほど大きくなる。だが、地下水の水は純粋であるとは言えない。それと比べて、海王星の力が最も大きく及ぶ海の水が純粋であることはない。

 今現在海王星が操っている水に及ぶ力は、水星よりも海王星のほうが大きいのである。
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