迷宮の星

リーア

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28話

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 取り出した種を地面の割れ目に入れた。動きを止めるのなら足を絡めるのが一番手っ取り早い。

 双子の動きを止めるように言ってきた月は何をしているのか、と思い見ると、「天王星より海王星が……」とつぶやきながら何かを目測していた。今、何かしら策を立てているのだろうか。

 とりあえず、地球は月のことを放っておくことにした。植物は生き物なので、集中しないと細かい動きは操れない。

 地面の中には思いの外亀裂が多かった。そのため、今操っている白みがかった緑色の蔓を双子の足元まで動かすのは楽だった。ただ、地面の中にはこれだけ亀裂が入っているようでは、壁や天井の強度が心配になる。

 ふと、双子を見ると、天王星は風を使うことを諦めたようで、今は風の代わりに手の中に光がともっている。目眩ましをするつもりなのか、それとも別の考えがあるのか、それは分からなかった。

 だが、今、ここで気になるのは海王星だ。天王星が何をするにしろ、時間を稼ぐ必要があるのだが、海王星が何かをする様子はない。

 ――いや――

 地球が蔓を這わせている亀裂の中が少しずつ圧迫されている。
 どういうことか、と海王星を見ると、こちらの動きから目を離さない海王星と目が合った。

 水で地球の操る蔓をちぎろうということのようだ。
 だが、地球達にとっては幸いなことに、蔓は既に双子の足元まで届いている。

 シュルッと、素早い動きで蔓が双子の足に絡みついた。2重、3重に巻き付き、簡単には外せないようにする。

 これで、動きは止めれるだろう、と思っていたのだが、何か光る物に切られた蔓が、地面に落ちた。
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