社会に揉まれた僕の末路

雨宮雫

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第一歩

僕の末路は。前半

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 「もう疲れた。死のう。」

そう呟いた1人の男は25歳、独身の
『小林翔太』という男だった。
死んだ魚のような目をして、髭は伸び散らかっていた。


 約9年前、その男は頭脳は底辺中の底辺、勉強代の苦手で学校ではよく仲間達とサボっては生徒指導室へ呼ばれて叱られる。
そんな日々を送っていた、だがそんな男でも得意なものがあった。それは、

『喧嘩』だ。

 学校終わりによく他校と揉め事を起こしていた、警察に追われて逃げ回る。
リアルドロ警をやっていた。

そんな事を毎日やっているうちにその地域では『狂犬の子犬』と呼ばれていた。

なぜこんなにも矛盾しているあだ名が付いたのかというと。
見た目は少年、周りからは美少年と呼ばれるような見た目、身長が162cmと小柄だったからだ。

そんな見た目で喧嘩が大好きで負け知らずな彼はそう呼ばれるようになった。

 だがそんな彼にも大イベントが訪れる日が来た。

それは『就活』

誰にでもある一つの壁であり難問でもある、翔太は成績は学年一悪い成績を持っているため、先生方は就活はほぼ不可能と思われていた。

いざ面接を受けに行くも、落とされる日々が続くが周りの友人達はどんどん内定をもらっていく。

「やばい!俺だけが就職先決まってないじゃんか!」

笑いながら友人と話していると、担任に呼ばれた。

「おい!翔太ちょっと来い!」

呼ばれた翔太はまた怒られんのかと思いながらも担任に付いて行く。
すると一枚のパンフレットを渡された、そこに書いてあるのは大手企業の工場だった。

「ここの会社から先ほど連絡があって一つ枠が空いたから受けるだけ受けてこい!」

と言ってその場で会社に連絡させられた、翔太は探すのもめんどくさいから、頷いて受話器を手に取って、丁寧な口調で面接の打ち合わせをした。

 そして、いつも以上に身嗜みを気をつけて、口調も意識しながら面接を受けた。

それから3日後、担任から連絡があって学校に呼び出された。

「あのな、よく聞けよ」

そう言った担任は翔太の両肩を掴んだ、どうせまた落ちたんだろと思った翔太は
担任の顔を見つめていた。

「会社から連絡があってお前を呼んだんだけど…採用するって言ってたぞ!」

翔太はその言葉を聞いて唖然、成績がダメな自分なのに受かった、今まではこのようなパターンは受からないとばかり思っていたから驚きを隠せない。

「まじで!冗談だろ!!」

担任の腕を払って翔太はそう言った。

「大マジだ!会社からこれからのことを話したいから掛け直してくれって言われたんだ!」

そういって職員室にある受話器を渡された、嬉しくて嬉しくて何の躊躇いもなく会社の電話番号を打ち込み電話した。

「〇〇会社の佐藤です」

「〇〇工業高校の小林です、先ほど担任の先生から連絡があり折り返しご連絡させていただきました!」

 それから、寮に入るかか入らないか、入社式はいつか、必要な持ち物の確認などの話をした。

月日は流れて入社式の日、春の香りを運ぶように風が吹き、宙に桜の花びらが舞った。

「母さん行ってくる!」

そう言って母親に手を振って歩き出した。これから新しい人生、楽しい人生が歩めると期待を乗せて会社へと向かって歩き出した。

普段と変わらない街並みなのに別の街に来たかのような気分、一歩一歩進む毎にワクワクしていく。

 会社に着くと同年代の子が数人、年上の方々が三人ほどいた、説明が始まり会社の中をグループ事に回って行った。

鉄を薄く潰し伸ばした物を巻き付けてる場所や、伸ばした鉄を切っていく場所、色んなところがあった。

色んなものが初めてでワクワクが止まらなかった、空気、温度、振動、音が体を駆け巡っていき、鳥肌が止まらなかった。

「ここで俺が働くのか…」

そう呟き眼を輝かせていた。
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