ライターズワールドオンライン~非戦闘ジョブ「アマ小説家」で最弱スキル「ゴミ拾い」の俺が崩壊世界でなりあがる~

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3章

28話:受動と能動

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『まぁ、のゐるちゃんの気持ちはわかるよ。なかにはそれでも作家になれたならいいって思う人もいるかもしれないけれど、普通は自分が操られているなんてつきつけられたら気分のいいもんじゃないよね……』

「……」

 のゐるは肯定したかったが、汚染が故か、やはりそれが正しいことなのかわからなかった。

『でも、もしいま、いまこの瞬間、そのゴーレムと戦い、塔を破壊しようと単身向かっている男がいるとしたら……ヤクルは・・・・どうしたい?』

 ルルカは、ヤクルがそう察していたように、総意が取れる訳ではないことを予めわかっていた。だからこそルルカはわかりやすくヤクルが塔を破壊する動機を持つように煽っていた。

 ヤクルにとって、のゐるは恩人とも呼べる人物だ。彼女の存在なくしていまのヤクルはない。つまり、のゐるの後押しをするためならば、ヤクルは粉骨砕身の覚悟を見せる。

 そもそも力と権力を併せ持つ領主のヤクルが決意してしまえばもはや誰も意見できないのであるが、ヤクルにはそうするだけの自信がない。それはルルカもわかっていた。

 ただ、のゐるが気分を害しており、みながパッチから悪影響を受けていて、更に人命が掛かっているともなれば、彼の返事は変わるだろうか。ルルカはこうした想いで彼に投げていた。

 ヤクルは応じた。

「のゐる先生のためならやるに決まってるじゃん! 思考汚染は俺がなんとかする! それに人命第一! 俺は誰も殺したくはない!」

『はっはっは! そう来なくっちゃあ! じゃあヤクル、塔を破壊しに行こうか!』

 ルルカは高笑いしてヤクルの決意を汲んだ。その決意を止められる者は誰もいなかったが、のゐるは自身の疑問をぶつける形で自己主張していた。

「ルルカさん、私にもひとつ教えてください。その人は作家の先生なのでしょうか……?」

 のゐるの質問はひとつの可能性を秘めていた。もし塔を破壊する決意をした者がいるのであれば、頭にパッチが植わっておらず、へミュエル教団員たちのように、たまたま爆風から逃れたか、塔の秘密を紐解いた人物ということだ。

 いずれにせよその人物は、のゐると同じように、思考が汚染されていることをよく思っていないということになる。それどころか、塔を用いて新世界を我がものに統べようとしているかもしれない。

 敵か味方か、実際に会うまでそう捉えるには性急ではあるが、のゐるはその人物をよくも悪くも放っておくべきではないと捉えていた。

『そう。パッチが頭に植わってる人は塔に近づけないからね。当然パッチの植っていない人さ』

 のゐるの予想は当たった。

 ――しかし、ルルカの次の一言までもを予測できた訳ではなかった。



『名前はスサノオ・・・・。思考汚染魔法を鑑定スキルスペクタクルによって見つけ出した男』
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