断罪される傲慢高飛車令嬢

まな

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マリアと出会って~回想① (聖女ユキナ視点)

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明日はグリエンド様が断罪される日。私はこの世界の住人じゃなくて、この世界の人達が言っている異世界、別の世界からこの世界に召喚されてこの世界に来た。でも召喚される前に一度異世界に迷い込んだ事がある。私が6歳の時お母さんとはぐれて迷子になった。私が彷徨っていると白い靄が突然私に降りかかった。

私は反射的に目を瞑って、暫く経ってから目を開けた。そこは後に召喚される事になる教会の近くにあるお庭だった。私は突然の事で頭が追い付かなくて、泣いてしまった。近くにあった木の下で暫く泣いていたら、誰かが来て話しかけてくれた。その子の名前は、エレマリア・グリエンド。

エレマリアマリアは、優しくて私がここに居る訳を言ったら、信じてくれた。さっき転んで出来た傷をエレマリアマリアは、しゃがみ込んで足に出来た傷に手をかざして、

『どうかユキナの傷を癒やす力をお与えくださいローレリア様!ヒール』

エレマリアマリアがヒールと唱えると私の傷が何事もなかったように消えていた。エレマリアマリアは、かざしていた手を元に戻すと私に、

『ユキナ?わたくしに出来るか分からないけどね、ユキナを元の世界に帰す方法があるの。でもそれは一回しか使えないの。わたくしが失敗したら、ユキナをね元の世界に帰せないの。わたくし意外にもっと実技が良くて成績優秀な方が居るの。だから…『私はマリアが良いよ!だってさっきだって私の怪我を治してくれたから!…だから泣かないで?大丈夫きっとマリアなら出来るよ!』』

私は、涙を流すマリアを慰めた。マリアは、

わたくしは出来損ないって皆から言われているの。それでも…いい?』

と言っていたけれど私はマリアは出来損ないじゃないと思った。だってマリアは、制服を着ていたけどよく見るとあちこちに解れがあった。マリアの手は本気で努力する人の手だった。マリアがヒールと唱えた時マリアの周りにゴールド色のキラキラと輝く粉みたいなものがみえた。マリアの魔力は暖かく私を優しく包み込むような感じがした。

マリアは、とっても綺麗で絶世の美貌を持っていた。キラキラのプラチナブロンドとラピスラズリをはめ込んだみたいな瞳。肌は白くて、目は垂れ目。よく見ると泣きぼくろがある。私はマリアを説得して、マリアに帰して貰った。

私は眩しくて目を瞑った。目を開けたらお庭に居るのではなく私が元々居た場所だった。私は暫くそこに立っていた。お母さんが私の名前を呼んで私を抱き締めてくれた。私は夢だったのかな?と思ったけど、さっきマリアから貰ったブローチは手の中にちゃんとあった。マリアの瞳のように綺麗なラピスラズリと金の飾り。

私は家に帰って毎日書いていた日記に今日の事を書いた。マリアから貰ったブローチは箱に入れた。私は15歳になった。友達と遊ぶ約束をしていて、カバンに物を入れていく、私は引き出しに入れてあった箱をカバンに入れて家を出た。駅で友達と合流してショッピングモールに入って友達と1階に合流と約束した。

私は時間を忘れてしまった。場所が分からなくなって彷徨っていた。私が彷徨っていると見覚えのある靄が私に降りかかった。目を瞑って、目をあけるとステンドグラスがある教会に居た。今回は私一人じゃなくて周りにローブを羽織った人達、後でお世話になる神官の人達が何か話し合っていた。

私がローブを羽織った人達を見ていると他のローブを羽織った人達より豪華な服とローブを羽織っている四十代半ばくらいの人が私に、

『えぇ!この召喚に応じて頂きありがとうございます!聖女様を召喚致しましたのは、魔物を浄化して頂きたく召喚致しました。異世界の聖女様にお願いするのは間違いだと言うのは分かります。ですが、騎士団も疲弊していて、ここ数年で数を減らしていまして、もう時間が残っていないのです!どうか浄化をしてください!』

と頭を下げて言った。私は必死そうな様子から大変なのだと分かった。そして私は引き受ける事になった。私意外にも聖女がいたそうだけど聖女は一人だけと決まっているそう。聖女候補だった人は、治癒師になるそう。

私は、神から勇者として聖女をサポートする役割を与えられた第一王子殿下と同じく神から賢者として勇者と聖女を護れという役割を与えられた魔法師と私だけでは駄目な場合を考えて私が来る前まで聖女だった人の四人で魔物の浄化を目的にした旅をする。

私は部屋で待って居ると、三人が部屋に入ってきた。私から見て右側から一人は、私が羽織っているローブが白なのにたいして、黒いローブを羽織っていた。多分彼が魔法師。真ん中に居るのは、右側に立っている彼とは違い中世の貴族が着ていそうな豪華な服を着ていた。多分第一王子殿下。そして──

綺麗なプラチナブロンドとラピスラズリをはめ込んだみたいな瞳、えっ??!なんで!

『なんでマリアがっ!?』

私の言葉にマリアは一瞬驚いた後見蕩れるような笑みを浮かべて、

『聖女様わたくし達初対面ですわよね?』

えっ?えっとマリアはなんて言った?

───聖女様わたくし達初対面ですわよね?───

??どうして他人みたいに呼ぶの?初対面って私の事忘れたの?
私と過ごしたのはほんのちょっとの時間だから忘れるのも分かるし、マリアはその時いじめを受けていたみたいだからしょうがないのかもしれない。だけど私はショックだった。私はマリアから貰ったブローチを今でも大切に持っているし、マリアの事を九年間忘れた事なんてなかった。だからつい

『私を覚えてないの?ほらっマリアが治してくれたでしょ?私が泣いているのをマリアが見つけてくれて、…』

マリアは申し訳なさそうにしていた。けど私は申し訳なさそうにしているマリアに余計腹が立った。そして同時に寂しく虚しくなった。マリアは何も悪くない。私を助けてくれた恩人。知らない場所に居て、不安で押しつぶされそうで、木の下で泣いていた私を見つけてくれただけじゃなくて、私を元の世界に帰してくれた恩人。

マリアが大好きで、マリアともう一度会ったらマリアにあの時私を元の世界に帰してくれてありがとうって言おうと思ってて、

『だからっ!マリアどうしてっ!どうしてっ!…どうしてっ!私だけマリアを覚えていてっ!マリアはっ!マリアはっ!私を覚えていないのっっ!!』

その時の私は、マリアを責めるしかなかった。マリアに怒り悲しみ寂しさ虚しさを全てぶつけるしかなかった。捌け口がなかった。マリアに理不尽に半ば叫ぶように聞く私にマリアは、

『ごめんなさい。聖女様、わたくし聖女様とお会いした事があるかどうか記憶を振り返ってみましたけれど、記憶になくてもし聖女様が仰られたとおりわたくしが覚えていないのなら、ごめんなさいと言っておきますわ。』

違うのっ!マリアが悪いんじゃないのっ!ただ私がマリアに恩があるから、あの時言っていれば良かった。きっとマリアは、知らない人に愛称を呼ばれて責められて困っているんだろう。そう理解しているのに、気持ちが抑えられない。何分後かやっと気持ちが落ち着いてきた。

私は落ち着いてすぐこの部屋に居た二人の事を今更ながら思い出した。私はさっきから気を遣って、静に扉辺りに立っている二人に、

『すみません私のせいで……。』

『…気にしなくてもいい。…それに時間はまだあるから…俺もたまにそういう時あるから分かる。…だから気にしなくていい。』

最初に私に返事をしてくれたのは、黒いローブを羽織った魔法師だった。

『聖女殿まだ時間もある。今日この場に集まって貰ったのは自己紹介と顔合わせを兼ねている。それと、皆の事を知る事だな。味方を知っていれば何かと都合が良いのでな。まずは私から自己紹介させて貰おう。ルセンド・ヨハル・シイーアシルだ。知っていると思うがこの国シイーアシル王国の第一王子だ。だが、神から勇者として旅に同行するため実質私の弟、第二王子が国王の座に近い。私は死ぬかもしれないからだ。だから敬称を付けずにルセンドと呼んで貰って構わない。』

次に返事してくれたのは、第一王子殿下だった。私のイメージとは違って落ち着いた雰囲気のでも何処か気品を感じるような人だった。私は勝手に自分のイメージをその人に当てはめていた。私はそんな自分が恥ずかしかった。

『聖女様落ち着かれて良かったですわ。昔聖女様とお会いしていたのなら、名乗っているかもしれませんが、改めましてエレマリア・グリエンドと申しますわ。聖女様は、そのままマリアと呼んでくださって結構ですわ。』

次に自己紹介をしてくれたのは、マリアだった。私は名前をマリアと呼んで良いのか実は不安だった。だけどマリアは気付いていたんだ。マリアは昔とは違って、生き生きとしていてきっと上手くいっているのだと思う。昔は自信がなさそうで何処か寂しそうだった。だけど今は昔のような雰囲気は感じなくて逆に楽しそうだ。

私は安心した。今のマリアは立派な淑女になっていて、誰でも目を引く綺麗な女性に成長していた。でも私は少し寂しい気分になった。

『…アーランド・ランス。アーランドでも良いしランドでも良い。』

名前アーランドなんだ。次は私の番だけど大丈夫かな?確か苗字は後から言うんだよね。

『皆さんもう名前を知ってると思いますが、ゆきなあまの優姫奈天野と言います。私が居た世界の国では苗字が最初なんです。だから私が居た世界の国で言うと、天野優姫奈になるんです。聖女様ではなく優姫奈と呼んでください。皆さんもそうなので。』

『異世界か、興味深いな。この世界では、家名…いやユキナの居た世界では苗字だったか。苗字は、後で名乗るのだ。』

あってて良かったぁ。あれっ?

─────この─────

って言ったよね。

『世界って事はこの国だけじゃないんですね。』

私が聞くと、第一王子殿下…ルセンドは困惑顔をしていた。

『あ、あぁそうだがユキナが居た世界では違うのか?』

『はい。日本では、あっ日本っていうのは……。』

私は第一王子殿、か…ルセンドに説明した。ルセンドは納得した様子だ。私は安堵した。私の説明でも分かって貰った事を考えると単に第一王子…ルセンドの理解力が凄いだけかもしれないけど。

『なる程。では、…………。』

あっ!そこは説明出来てない。

『それは、……………。』

私が想像していたよりもフレンドリーな人みたいで私は安心していた。──そう私の事をマリアが笑みを浮かべながら睨みつけていた事を───

それから暫く第一王子…ルセンドと話して、解散になった。最後にマリアが部屋を出て行こうとするのを私は止めた。私はマリアに空いている時間があるのなら私ときて欲しい場所があると伝えた。マリアはやっぱり忙しいみたいで、でも明後日の二時ぐらいだったら空いていると約束してくれた。

私も明後日の二時ぐらいは空いていた為丁度良く、約束した。マリアとの約束の日がとうとうきた!私は魔物の浄化をするために、治癒魔法というものを治癒師であるスフィアさんに教わっていた。スフィアさんはとても丁寧に教えてくれる良い人で私は実は楽しみだったりする。

『ユキナ!ぼぉっとしてるけど大丈夫?』

私が考え事をしているのをスフィアさんは心配してくれたみたい。私はスフィアさんに

『大丈夫!スフィアさん心配してくれてありがとう!』

と伝えた。

『なら良いんだけどね。今日は治癒魔法の………。』

それからお昼までスフィアさんに治癒魔法の事について教えて貰いスフィアさんは仕事場に戻って行った。私はお昼ご飯を最近友達になった治癒師のクレミアと食べていた。

『ねぇユキナ今日グリエンド侯爵令嬢様とお会いする約束してるんでしょ?』

『うん。そうだけど、どうしたの?』

『いや私さ一度だけ助けて貰ったことがあってだからその時失礼な態度取っちゃって。だから謝ろうとしたんだけど、授業では会わなくて結局謝れないでいるから私が直接お会いして謝れたら良いんだけど。うちは男爵家だからお会いしようにも出来ないから私の代わりに言ってくれないかなと思って。』

きっとずっと気にしていたんだろう。だから私の答えは

『良いよ!私が言うから。』

と決まっていた。

『ユキナありがとう!』

クレミアは晴れやかな笑みを浮かべていた。

『ううん。』







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