おばあちゃんっ子 ｰもうこの世界にいないあなたへｰ

祖母の優しさ

大正生まれの祖母

以前、祖母は
縁側に洗濯物を干しながら
すり寄って来る猫を
軽く蹴って近付かないようにしていました。

私の家に
野良猫を養うお金は
ないからだったのでしょう。

大正生まれの祖母は
私がまだ物心つくか、つかないかの頃、
家の前に捨てられて
段ボールに入った子猫たちを
筑後川に橋の上から捨てていました。

死んだ祖父が偉い人だったらしく
家だけは大きかったため
よくそういうことがありました。

私が祖母に
「猫を川に捨てないで」
と懇願すると、辞めてくれました。

川に捨てなかった子猫は
衰弱して死ぬか
生きて元気な子は
別の家の前に置きに行ったり
してくれました。

生ぬるいのは私でした。
「飼えない猫は川に捨てる」
祖母が正しかったと思います。
祖母は家族を守るのが精一杯だったはず。

それでも祖母は幼い私に
「優しいね」
と言ってくれました。