夢が詰まった魔法だと思ったら、冒険と青春とちょっぴり闇の味がしました

クリーム色

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「うそぉ…」「ホントにある…」

喜びよりも驚きが勝って、硝子瓶を掲げながら呆然とする私達に後ろから声が。

「お前達。そんなデカイ瓶召喚してどうするつもりだ?」

低い女性の声にビクリと振り返ると、担任であり古典文字学担当のジェルミエナ先生が立っていた。
女性でありながら、僅かに巨人族の血が流れてるだけあって男性教諭より頭一つくらい背が高い。その威圧感ときたら。

「あらあらジェルミエナ先生。素敵なキャンディじゃないですか。可愛い魔法ね!私もよくやっていたわ」

ジェルミエナ先生の後ろからひょこりと現れたのは、養護教諭で小人族のおばあちゃん先生、マルブル先生だ。私達の胸辺りまでの身長なので、大柄なジェルミエナ先生と並ぶと本当に小人で可愛い。

「あ…、そ、そうだ!先生!!これ、これ見てください!」

ベルカが私の手元に入ってるランタンを興奮気味に指差す。

「ん?ん~~?これは…」

「あら、まぁ…」

流石に驚きの表情の先生二人。
取り出したランタンから出てきたパピルスにはこう書かれていた。

【人族を含む7名まで、妖精界へ招待する】




その後、放課後の教室にて。

「えー、では妖精世界へ行けるメンバーを選出したいと思う」

オォ~ーー!!!

ウキウキとしたジェルミエナ先生司会の元、沸き上がるクラスメイトたちを集めて「妖精世界研修旅行選抜大会」が催された。

何故かって、私達がクラスメイトがたくさんいる教室で召喚してしまったからです。目撃者多数。しかも、召喚した私達5人よりご招待人数が多かった。
あっと言う間に噂は広まり、行きたいと集まった人数約30人。

しかもなんとあのジェルミエナ先生も、実は妖精世界のマジファンだったことが発覚し、今日は息子さんのリトルDも旦那さんのお迎えが来るまでこの会に参加。今は興奮疲れか、マルブル先生に抱っこされてお眠状態だ。

「皆の者、静粛に!興奮するのは分かる。分かるが、リトルDがぐすると私が参加出来ないので、静かにいこう」

珍しく私欲丸出しの先生に笑いも上がりつつ、私達はちょっと気後れしていた。

「なんか大事になっちゃったね」
『だ、だね~』

私とアリアは、場の熱気にちょっと、というかそこそこ圧倒されている。
でも、しっかりと親に旅行の了承を取っているあたり、めちゃめちゃ楽しみではあるのだが。しかも、ジェルミエナ先生に至っては、学生長に直談判し、公欠をもぎ取るという快挙まで成し遂げている。

「なぁに言ってんの!あの妖精世界だよっ?生涯遊んで暮らせる宝くじが当たるよりレアなんだから当然じゃん!?」

興奮MAXはもちろんベルカ。

「確かに!毎年、画面でしか観たことなかった場所に行けるんだって凄いよね!!私、一生の自慢になるじゃん」

リタもかなりの興奮具合だ。普段おっとりなティティまでコクコクと頷いている。

「長命なお父様も知り合いで行ったことある人はいないって!楽しんでおいでって言われたわ」

「そうよね。……ね、しかもライネにはもう一つドキドキの理由があるもんね?」

囁くように私の耳元で話すアリアの視線は、彼の後ろ姿を捉えていた。

『“えっ!?』

私、ライネの想い人 エース君、その人の。

『な、なんで…』

狼狽える私にニコリとお姉さんの微笑みを向けるアリア。モロバレですやん…。

「選ばれるといいわね?」

「何々ー?一緒に行きたいクラスメイトいるの?」

リタの明るい声にベルカが、思い付いたように提案する。

「そういえば!持ってきた粉砂糖、まだ少し残ってるし、ダメ元でもう一回してみる?」

「いいわね!もし成功したら皆でいけるかもしれないわ」

ナイスアイディアとばかりにティティが立ち上がると、話を聞いていた数人のクラスメイトが、いいぞーと囃し立てる。

『な、なんか注目集めてない?ここでするの?』

休み時間になんとなくやるのとは違う緊張感に、ドキリとする。多分、皆失敗しても笑って流してくれるだろう。念のためで呪文を復唱しておく。

『えーっと…、甘みも酸味も苦みも固まれ世界の一雫をここに。よし………』

ボソボソっと唱えた呪文は、意図せず魔力を湛えてフワリと舞った。

『ん?』

目の前に現れた小さなラッピング箱。アンティーク調の可愛らしい箱を開けてみると、黄金色の小さなランタンが入っていた。

しかも、何やら中にパピルスっぽい物入ってない!?

『ぇ………………………えぇ~!!?』
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