イケメン執事に呼び止められた結果、美少年のお世話係となりました。

クリーム色

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決死の行動

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バンッバァーンッッ!!   ガガガガ!!、チュイィイーン!    ドォオオウンっ!!!

何の音だか分からないものまで、周りは色んな轟音が鳴り響いていた。

腕の中の坊っちゃまは、起こってることが分からないのか静かに抱きついたままだ。
でも、こんなど真ん中にずっと居るのは流石にマズイ。男たちに怒鳴りながら注意がそれているボスから、そろりそろりと離れていく。
もう少し距離が空けば走って…と思った瞬間に、こっちを向いたボスとばっちり目が合ってしまった。

「逃がすかっ!!オイ!捕らえろっ」

ボスの指示でルイ君がこちらに手を伸ばした時、離れたところから、でもしっかりと声が届く。

「マナっ!! 坊っちゃま!!」

見ると敵側の男たちが次々と倒れる先で、アルバートさんがこちらに駆けて来ながら手を伸ばしてくれていた。
でもまだ遠い。すぐ後ろからはルイ君の足音が。

(間に合わない!)

私は覚悟を決めた。キュッと腕の中の坊っちゃまを一度抱きしめてから、真っ直ぐと立たせる。

「もう大丈夫。坊っちゃま、真っ直ぐ走って」

トンっと軽く背中を押すと、坊っちゃまはアルバートさんの方へ足を踏み出した。
アルバートさんと一瞬だけ目が合う。

(坊っちゃまをお願いします)

何かアルバートさんが言った気がするけど、聞こえなかった。
でも、することは決まっている。

(ここで坊っちゃまの無事を確保しなくて、何がマリアの代わりだ! 私だって、バイトだけどダードヴィッフィリア家のメイドなんだからっ!)

私は勢い良く振り返り、真後ろにいたルイ君に体当たりして共倒れする。ドサリと衝撃が走って、頭はクラクラした。
でも、少しでも時間稼ぎをしなきゃと細身のルイ君に必死にしがみつく。

「チッ!余計な事をっ!!」

力任せに腕を掴まれて、無理矢理起き上がらされる。クラクラしていた景色がはっきりして、見えたのはアルバートさんに抱き抱えられた坊っちゃまの姿だった。

(良かった…坊っちゃまたどり着けたんだ)

ほっと息をつくと、私の腕を掴んでいたボスにピタリと冷たいものを顔に当てられる。

「動くなよっ!こいつがどうなってもいいのか!?」

ぐっと腕で締め付けられた首が苦しい。チクリと頬に痛みを感じたのは、ナイフが当たって少し切れたのかもしれない。

「やめろ!!そいつに手を出すなっ」

アルバートさんは、普段は見せないような焦った表情をしている。
私は大丈夫、って伝えたいけど首が絞まって上手く声が出せない。

「くそっ!くそっ!!どうしてこうなったんだ!どいつもこいつも私の邪魔をしてっ!そうだよこの女だってっ」

パニクったボスは、ナイフを持った手を振り上げる。

「っ!?やめろーっ!!」

アルバートさんが叫んだのと同じくらいに、大きな音が一つ、倉庫内に響き渡った。

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