田中太郎物語

うめたろう

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異変

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2030年6月
アルファ大学のフリースペースで頭を抱える大学生がいた。

??「なんでこんなミスをしたんだろう。」

頭を抱える青年の名前は田中太郎。テストの名前の欄の記入例に出てきそうな特徴のない名前にコンプレックスを感じている。そんな田中の向き合う先にあるものは簿記の一級の問題集。簿記の二級まで取った人たちが本気で勉強しても10%程しか合格できない本当に難しい資格である。

??「田中、お疲れ様!勉強捗ってる?」

そこに現れたのは田中の恋人である佐藤花子である。佐藤もまた、名前に田中と同じようなコンプレックスを抱いているが、それがきっかけで田中と仲良くなれたので、最近は自分の名前も悪くないと思っている。

田中「ボチボチかな。自分のミスもあるし、そもそも難しい。」

佐藤「そっか。諦めずに最後まで頑張ろう!」

田中「こんな調子だと次の試験じゃ受からないよ。親からもいつになったら合格するんだって言われてて、かなりキツイ。」

佐藤「親は簿記の一級がどれくらい難しい試験か知ってるの?」

田中「いや、親はそういうことを言っても甘えだって言ってくるだけだから、言うだけ無駄なんだよね。」

佐藤「たいへんなんだね。少しでも理解があればいいんだけどね。」

そう、田中の親はいわゆる毒親で、そもそも公認会計士を目指したのも親の指示、大学も自分で選ばせてもらえなかった。さらに、田中は家から片道2時間以上かけて通学している。

田中「最近、部活の調子はどう?」

佐藤「頑張ってはいるよ!この調子なら最後の大会で入賞出来そう!」

佐藤は自転車部に所属しており、しっかりと結果を残せるようにここまで努力をしてきた。

田中「佐藤は凄いな。俺とは違ってしっかり結果残せるくらいに頑張ってるんだから。」

佐藤「そんなことないよ!田中も頑張ってるの私知ってるよ!」

田中「頑張ってても、結果を残さないとダメなんだ。社会に出ても頑張ってるだけじゃ認められないよ。」

佐藤「そっか。ごめんね。私も田中が合格できるように、できる限りサポートするからさ!最後まで諦めずに頑張ろう!」

田中「俺の方こそごめん。ムキになっちゃって。佐藤の恋人として相応しくあるように、次こそ合格するぞ!」

佐藤「その意気だ!」

こうして、お互いに学生生活最後の勝負に向けて追い込みの時期が始まったのである。

10月

佐藤「あと2週間で最後のレースだ!今のコンディションなら入賞狙える気がする!」

田中「頑張って!応援には行けないけど、家から応援してるね!」

佐藤「ありがとう!このレースで入賞して、次の田中の試験の景気付けしてくるね!」

お互いに頑張った。最後まで諦めずにやり切った。あとは結果を残すのみ。




「超大型台風が接近しています。用のない方はできるだけ家の外に出ないようにしてください。用のある方も細心の注意を払って外出してください。」



佐藤「嘘でしょ。」

これが精一杯の言葉だった。
レースの日に大型台風が直撃するとの予報が出たのだ。

プルルルル

田中「ニュース見た?」

佐藤「見たよ。」

声が少し震えている。

田中「レースは開催されるの?」

佐藤「多分できないと思う。」

田中「そっか。せっかくここまで頑張ってきたのにね。」

佐藤「それもあるけど、田中の試験の景気付けするって言ったのに、これだと幸先が悪すぎるよ。どうしよう。」

田中「大丈夫だよ!俺は今回の試験で絶対に合格してみせる!佐藤がレースに出れなくてかなり残念だけど、佐藤が頑張ってる姿があったから俺もここまで頑張れたんだよ!」

佐藤「そっか。ありがとう!でも、本当に悔しい。ここまで頑張ってきたのに。」

田中「そうだね。今回は本当に運が悪かったとしか言えないよね。」

佐藤「そうだね。」

しばらく沈黙

佐藤「決めた!中途半端で終わっちゃって気持ち悪いから、田中の試験勉強の手伝いをする!最後までやり切って、合格して、一緒に喜びを共有したい!」

田中「いいね!賛成!俺も助かるし、佐藤も最後の思い出ができるもんね!」

こうして、残り1ヶ月の2人の戦いが始まった。
佐藤の最後のレースは結局開催されず、部活を引退することになった。
そして、11月。
田中の試験本番が明後日に迫っていた。
田中の親からの干渉が酷く、精神的にキツイ状態が続いていたが、佐藤が引退してから1ヶ月の懸命なサポートもあって、かなり勉強に力を入れることが出来た。しかし、実際に過去問を解いてみると、合格するのはちょっと難しいと思われた。

田中「明後日本番だけど、これだと受からないと思う。」

佐藤「仕方ないよ!今日までしっかり勉強してきたし、悔いのないように頑張ろう!」

田中「そうだね!できる限りのことはしてくるよ!」

こうして2日後、田中は簿記一級の試験に臨んだのである。

田中「やっぱりダメだった。」

試験の次の日に田中は自己採点を終え、ぽつりと言った。

田中「分かってはいたけど、ここまで頑張ったのにすごく悔しい。」

佐藤「お疲れ様。よく今日まで頑張ったね!」

田中「今日まで支えてくれてありがとう!公認会計士にはなれなそうだから、普通の就職先を探すことにするよ。」

佐藤「そっか。これだけ頑張れる田中ならどこいっても通用するよ!」

田中「そうだね!あとは、親がどう思うかだね。」

佐藤「やっぱり親御さんが納得しないかな?」

田中「納得しないと思う。なんのために大学に行かせたんだって怒ると思う。」

佐藤「そっか。どうにか納得してもらえないものかな。」

田中「それは無理だと思う。それが出来てたら、今までもこんな苦労してないよ。とりあえず、もうそろそろ帰らないと。」

佐藤「そうだね。帰りながらもう少し話そう。」

2人は大学から駅に向かっている途中、異変が起こった。

「…んなさい。」
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