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防衛西支部編
地下シェルター前 ~レク・御玲サイド~
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支部内の防衛組である私、レク・ホーラン、ヒルテ・ジークフリート、ブリュンヒルト、ヴェルナー・ハイゼンベルクは人の気配がしなくなった空のビルの雰囲気を嗜みつつ、澄男らが敵軍を駆逐してくれるのを静かに待っていた。
今回の敵は前回と違い、数は圧倒的に少ないものの、一人一人の質は比べものにならない。一人あたりの平均全能度は五百、それほどの相手ともなれば一般家屋や霊力で強化された高層ビルなど片手で破壊でき、魔術のみならず魔法もある程度使えるほどの強者になる。
その気になれば、たった一人で小国程度一日足らずで滅ぼせる。前回東支部で相手したギャングスターの寄せ集めが、羽虫の大群に思えてくる話である。
本来なら中威区西部都市存亡の危機レベルの戦災なのだが、では私たちにとっても危機的存在なのかと問われれば、実を言うとそうでもない。
矢面に立っているのは、澄男、マザー・ギガレックス、ブルー率いる黒百足、澄連トリオとそのおまけ、そして花筏百代である。
たった四人と五匹だけだが、彼らのような戦いに特化した者たちにとって、全能度五百の軍など何人いようと結果は変わらない。澄男の全能度は通常時で九百近くあり、全ての肉体能力が百を超えている。澄連や百代、黒百足も同様であり、この時点で全員が人類の種族限界を軽く超えている。正直、倒すだけなら普通に殴りかかるだけで十分なのだ。
精々以前のギャングスターを殴るよりも気持ち堅く感じる程度で、体感的には大差ないとすら思うのではなかろうか。少なくとも私の主人は「東支部で相手した雑魚より少し硬い程度の雑魚だった」とか言うだろう。
かくいう私からみても、全能度五百程度はなんら脅威に感じていない。
今まで戦ってきた敵のほとんどが全能度四桁クラスの、国や街はおろか、それこそ人類という種の存亡を脅かす化物ばかりだっただけで、自分の全能度は七百。余程技量に長けている強敵でもない限りは、真正面から敵の攻撃をノーガードで受け切ったとしても、かすり傷一つつかない自信がある。槍を抜くまでもなく、普通に殴るかビンタするだけで首の骨を背骨ごと粉砕することができるだろうし、大軍に魔法や物理でタコ殴りにされても肩凝りがとれるかなぐらいの気分でいられるだろう。
つまりだ。既に十分すぎる戦力が西支部に集中している今、この任務、もはや成功したも同然なのである。むしろ失敗する方が難しいのだが、胸中には一言で言い表せないほど濃密な違和感で一杯だった。
東支部のときと今回。繋がりがあるかどうかは分からないが、敵の思惑が全く見えてこない。
東支部のときは敵の将が欲に塗れていたため、だからこその派兵だったと思えばまだ納得できる。実際敵将は小物だったし、私たちが手を下さずとも東支部の者たちで倒せたぐらいだ。しかし実際は、明らかにその小物が従えられないような強者が、東支部の請負人を皆殺しにするために派遣されていた。
その思惑と因果関係は不明のまま東支部の主犯は何者かによって皆殺しにされ、真実への糸口は闇へと葬られたが、そのタイミングを見計らっていたかのように、今回の派兵である。
物的証拠は何もないが、敵の軍の派兵状況を読む限り、何者かが任務請負機関支部を潰そうとしている。何を目的にしているのかは分からないが、推測できる限りでは支部を掌握することで、中威区の実権をより確固なものにしようとしているのではないだろうか。
その先に求めているものまでは流石に推測すらできない。だが現実問題として東支部の掌握が失敗した今、敵の目論みの一つは潰せているはずだ。そして今回、西支部に差し向けられた敵の力は東支部のときの比ではない。もしかして、私たちがここに来るのを見越して戦力を持ってきているのだとしたら―――。
「どうした、えらく難しい顔してんな」
意識を没入させていたせいか、表情に出ていたらしい。心配になったのか、レク・ホーランの気持ち優しめの声音が鼓膜を撫でた。
一人で考えたところで答えは出ない。気を抜くわけではないが、胸の奥に刺さった棘を早めに抜いておきたいし、場数を踏んでいる者の考えを聞くのは決して悪い策ではないはずだ。
「敵の動きがあまりにも安直だなと思いまして」
「平均全能度五百の軍が侵攻しにきてる現状を、果たして安直の一言で済ませていいもんなのかね……」
予想していなかった返事に少し眉を顰めるが、レク・ホーラン視点に立ってみて、無理もないかと認識を修正する。
私たちからすれば一人あたりの強さが割増した程度でしかなく、前回も今回もあまり大した戦力差を感じていない。だがそれは私たちが流川に名を連ねる者だからで、レク・ホーランらからすれば西部都市を灰燼に帰する戦力として脅威視するのも無理からぬことだ。
彼もまた黒百足や澄男など、めっぽう力が強い者を前衛に置いていることから、油断は全くしていない。それが普通の反応なのだ。
「それに今回と前回がつながっている証拠もない……昨日の今日なのは、確かに何かしらありそうな気はするが、結局は気がする程度の話だしな……」
やはりレク・ホーランの認識を変えるのは難しい。彼の考えも一理あるからだ。
東支部で捕らえた者たちは、この中威区西部都市で皆殺しにされた。そして今日、謎の大軍が西支部に攻めてきている。これは偶然なのか必然なのか。それを判断する材料は、残念ながら手元にない。私たちは何故大軍が攻めてきているのか、その原因の調査を言い渡されているわけでもなし、ならば粛々と、その大軍を対処するしかないというのが妥当な結論になる。
「……ジークフリートさん」
暇そうに床に座り込んでうつらうつらと頭を揺らす男に、毅然とした態度で視線を投げる。
支部の監督官ともあろう者が防衛任務の最中に、それも平均全能度五百の軍が侵攻している現状下で居眠りができるのは中々の胆力と褒めてもいいが、裏を返せば危機感の不足とも言える。
確かに今、何一つとして逼迫していないが、私たちがいなければ抵抗という抵抗もできぬまま西支部は滅びていたのだ。少しくらいは緊張感を持っていて欲しいものである。
「聞きたいことがあるんですけど、今回のような事態は、西部都市ではよくあることなのですか?」
「いやー……滅多にねーかなー。上威区との街境付近ならあるかもしれねーが、ここは西部都市でも都心だし……」
眠たそうな目を擦り、私を見上げてくる西支部の監督官は、間抜けに欠伸をしながら頭を掻き、唸った。
「アンタたち外から来たんじゃないのね? だったら``西戦の壁``の存在は知ってるわよね、そう簡単に湧いて出てこれたら、みんな過労死しちゃうのね!」
ヒルテ・ジークフリートを擁護するように、近くをひらひらと蝶のように飛んでいた幼女が、不遜にも指を刺してがなり立ててくる。
それくらい知っとけよみたいな高圧的な態度は少し釈然としないが、確かにあの高く聳え立つ壁がある限り、並大抵の勢力は西部都市へ侵攻できない。それこそ壁を力づくで粉砕できるほどの高い膂力を持つ者か、転移魔法を使って壁やバリアを無視できる者に限られてくる。
「でもあの壁は、上威区街境付近までは建設されてねーからな。あそこからこっそり入ってきた可能性はなくもねーぞ」
「そんなのあまりにも低確率な話なのね、あそこがどれだけ激戦区か、知らないアンタじゃないのね!」
いやそうだけどよ、と面倒くさげに頭を掻くヒルテ・ジークフリート。
上威区の街境ともなると、そこは上威区へ勢力を伸ばしたい中威区各種勢力と、それらを排する上威区各種勢力が日夜血で血を洗う戦いを繰り広げているはず。常時戦場なわけだ。
戦火が絶えぬその場所から、誰からも目をつけられず都心まで侵攻するのは中々難しい。それ相応の実力がない限り、数多の火の粉を浴びて焼き尽くされてしまうからだ。
しかし現状、転移魔法なくして``西戦の壁``を超えるには、激戦区を経由して都心に向かうルートしか存在しない。一歩間違えれば戦火に焼き尽くされるリスクを背負ってまで、西支部を侵略したいのは何故なのか。侵略することで、彼らは何を得ようとしているのか。そのリスクに見合う、リターンとは。
「……仕方ないわね」
私は弥平ほど聡明でもなければ博識でもない。彼ならば僅かな情報から真実に容易く辿り着けるだろう。
彼はいま専従任務についており、通信管制を敷いている関係で直接霊子通信を送ることはできないが、代わりに久三男が窓口になってくれる。彼もかなり頭が回るので、的確な助言がもらえるはずだ。
頭の中で結論を出し、秘匿回線を用いて久三男へ霊子通信を繋ごうとしたそのとき。
「ブリューン!?」
さっきまで眠そうにしていたヒルテ・ジークフリートが突然立ち上がり、虚空に向かって叫びだす。
誰かに向かって話しているわけではないが、あたかも誰かに向かって話しているように見えるあたり、霊子通信による会話だ。それも全員にチャンネルしていないということは、相手側がなにかしら逼迫した事態に陥っているということ。
ブリューンといえば作戦会議のときにいた、金と黒のメッシュといったファンキーな髪形をしている請負人の女の子、ブリュンヒルトのことだ。
各々が所定の位置についた後、彼女はトイレに行くといって席を外していた。今思えば彼女が席を外して既に三十分以上経つ。
女の子だからトイレにかかる時間はそれなりにあるだろうと思うが、流石に長すぎる。
「やべーな。ブリューンが人質に取られた。俺一人で行かなきゃなんねー」
「相手は誰だ」
「ブリューンの口振りからして、多分機関則関係でなにかしらポカやらかしたせいでクビになった請負人の誰かだと思う。請負証剥奪処分の逆恨みってとこじゃねーかなぁ……」
「西支部らしい理由だぜ、まったくよう……」
やれやれと呟いて肩を竦める。
仲間が人質に取られたのに異様な落ち着きようだが、今この状況で焦るようなら器ではないだろう。
外部からの侵入を許してしまったのは痛手だが、相手がヒルテ・ジークフリートとの一対一を望んでいる以上、ブリュンヒルトの生存率を高めるためには一人で行くしかない。
私やレク・ホーランはどちらにせよこの場から離れられないし、なにより身内の不始末だから私たちが関わることでもないはずだ。
「ベルはここにいろ。俺が一人で……」
「兄貴ィィィィ!!」
次から次へと。支部ビル地下一階フロアから、何者かが凄まじい勢いで駆け上がってくる喧しい音が鼓膜を無造作に貫く。
地下にいるだけに音が反響して中々うるさいが、地下二階の避難シェルターフロアから顔を出したモヒカン頭が、息も絶え絶えの様子でヒルテ・ジークフリートへと駆け寄った。
「あ、兄貴!! やべぇっす!! マジやべぇ!!」
髪型がモヒカンなだけに語彙力もないのだろうか。暢気な偏見にほんの僅かに思考を巡らすが、過呼吸気味に走り寄ったその男の顔色が、完全に血の気が引いているのを見て思考を切り替える。
「とりあえず落ち着けよ。何があった」
モヒカン頭からただならぬものを感じているのだろう。脂汗を滲ませるモヒカン頭の肩に、眉間にしわを寄せながらも優しく手を置いた。
「な、仲間が殺られた!! どこからか湧いて出たか分かんねぇが、突然仲間が斬りつけられて……!!」
焦りがまだ残っているのか、説明がちぐはぐだ。しかしそれでもやべぇしか言えなかったさっきよりも明確になった。
「……地下二階への出入り口は、この階段以外になかったよな?」
拙い説明とはいえ、レク・ホーランもヒルテ・ジークフリートも目を丸くする。特にレク・ホーランは表向き冷静だが、額には僅かに汗が滲んでいた。
「あ、ああ。ここの階段以外からは行けないはずだ。穴でも掘らない限りはな」
苦笑い気味だが、彼からも焦りの色が隠せていない。
「とりあえず俺はブリューンの所に行く。ベル、お前はレクたちについていけ」
レク・ホーランとヴェルナー・ハイゼンベルクは真剣な面差しで首を縦に振る。一階ロビーへの階段を駆け上がっていくヒルテ・ジークフリートを見送りつつ、思考を深めた。
支部ビルは曲がりなりにも戦闘を前提において建設されているため、その実態は要塞である。使われている建材はただの霊力コンクリートなどではなく、対戦略級魔法用に特殊強化された建材が使われている。少なくとも戦術核規模の攻撃魔法ではビクともしない。
確かにシェルターは地下にあるが、地道に穴を掘って壁を突き破るなんて真似は現実的ではない。魔法的に装甲と化した建材を、人の力で破るのは至難だからだ。そうなると考えられる手段は―――。
「転移魔法……?」
ぼそりと呟くと、勢い良く私へ熱烈な視線を浴びせられる。
空間転移魔法``顕現``。任意の空間座標へ一瞬で移動できるその魔法は、既に失伝してしまっている伝説の大魔法。使用できる魔導師は世の中に存在しない、というのが通説だ。
大陸八暴閥が一柱、暴閥界最強たる流川家を除けば。
「レクさん、私は転移魔法を前提に動きます。異論はありますか?」
とりあえず体裁的に彼の顔色を窺っておく。
正直、転移魔法を使うような相手を前にして、悠長な真似をしている暇などないのだが、私が勝手な行動をすれば、それだけ自軍に混乱が生じかねない。その僅かな混乱が戦局の天秤を傾けかねない以上、レク・ホーランだけでも合意をとっておいた方が結果的に自軍の損害は減らせるはずだ。
「馬鹿言うな……と一蹴したい気分だが、この現状でそれ以外考えらんねぇ……か」
やはり腑には落ちていないようだが、受け入れはしたようだ。
テスと戦ったとき、澄男が彼の前で転移魔法の使用を仄めかしたことがあったが、あの出来事のお陰で飲み込みやすくなっているのかもしれない。当時は早まった真似をしたなと思っていたが、結果的に今回の無駄は減らせたのだから重畳である。
「しかし……転移魔法の使い手と渡り合うなんざ初めてだぞ。どうしたもんか……」
「本来なら敢えてここで待機して迎え撃つのが定石ですが……」
今までの修行内容を脳内で総動員させる。
戦の際、流川家が魔法戦術の十八番として用いていた有名なもので、``転移強襲``という戦術が存在する。
転移強襲とは文字通り、敵陣営の中心を刷り込み済みの魔生物で強襲し、中枢を撹乱させて戦力や指揮系統を破壊した後、追い討ちとばかりに攻略本隊を転移させ、一気呵成に敵軍を殲滅する戦術である。
武力統一大戦時代、流川家は転移魔法の絶対優位を最大限に活かし、自身に敵対するあらゆるの勢力を、この戦術でことごとく葬り去ってきた。
転移魔法を真似ようとした国も当然あったが、転移魔法は非常に高度な無系魔法であり、二千年にわたる大戦時代を経て完全に物にしてみせた流川家のようにはいかず、結局流川以外どの勢力も習得することのできないまま、流川の手によって消滅させられてしまった。
転移強襲をしてくることが分かっているのならば、転移してくる場所は予測できてしまう。だからと対処できるかと問われれば大半の者なら不可能だろうが、相手の力量次第では不可能ではない。要は即死さえしなければ、自身の肉体能力や回復手段、単純な胆力次第でなんとかなるからだ。
そもそも転移強襲は、一定水準以上の戦闘能力を持った魔生物を敵陣の中央に転移させることで、敵軍の中枢を撹乱もしくは破壊するのを前提に組み立てられた戦術である。
この場において自軍の中枢は私たち。ならば私たちの下へ強襲をかけるのが自然であり、既に私たちを警戒させてしまった以上、戦術的に半分は失敗しているのと同義なのだ。
何故敵は私たちの下へ強襲をかけなかったのか。推測するなら思い浮かぶのは一つのみ。
「西支部請負人の暗殺……?」
敵の目的は、東支部のときと同じく請負人の暗殺の可能性。だとするとここで敵が来るのを待っていても意味はない。目的を果たせば転移で西支部ビルから撤退すればいい話であり、私たちと戦う必要はないからだ。
東支部のときといい、今回といい、何故支部請負人の虐殺に拘るのか不明だが、推測が正しければ悠長に思考に耽っている暇はない。
「至急シェルターに向かいましょう。手遅れになる前に……」
私が俯きげに言うと、他も静かに頷いて階段を走って降りる私に続いたのだった。
今回の敵は前回と違い、数は圧倒的に少ないものの、一人一人の質は比べものにならない。一人あたりの平均全能度は五百、それほどの相手ともなれば一般家屋や霊力で強化された高層ビルなど片手で破壊でき、魔術のみならず魔法もある程度使えるほどの強者になる。
その気になれば、たった一人で小国程度一日足らずで滅ぼせる。前回東支部で相手したギャングスターの寄せ集めが、羽虫の大群に思えてくる話である。
本来なら中威区西部都市存亡の危機レベルの戦災なのだが、では私たちにとっても危機的存在なのかと問われれば、実を言うとそうでもない。
矢面に立っているのは、澄男、マザー・ギガレックス、ブルー率いる黒百足、澄連トリオとそのおまけ、そして花筏百代である。
たった四人と五匹だけだが、彼らのような戦いに特化した者たちにとって、全能度五百の軍など何人いようと結果は変わらない。澄男の全能度は通常時で九百近くあり、全ての肉体能力が百を超えている。澄連や百代、黒百足も同様であり、この時点で全員が人類の種族限界を軽く超えている。正直、倒すだけなら普通に殴りかかるだけで十分なのだ。
精々以前のギャングスターを殴るよりも気持ち堅く感じる程度で、体感的には大差ないとすら思うのではなかろうか。少なくとも私の主人は「東支部で相手した雑魚より少し硬い程度の雑魚だった」とか言うだろう。
かくいう私からみても、全能度五百程度はなんら脅威に感じていない。
今まで戦ってきた敵のほとんどが全能度四桁クラスの、国や街はおろか、それこそ人類という種の存亡を脅かす化物ばかりだっただけで、自分の全能度は七百。余程技量に長けている強敵でもない限りは、真正面から敵の攻撃をノーガードで受け切ったとしても、かすり傷一つつかない自信がある。槍を抜くまでもなく、普通に殴るかビンタするだけで首の骨を背骨ごと粉砕することができるだろうし、大軍に魔法や物理でタコ殴りにされても肩凝りがとれるかなぐらいの気分でいられるだろう。
つまりだ。既に十分すぎる戦力が西支部に集中している今、この任務、もはや成功したも同然なのである。むしろ失敗する方が難しいのだが、胸中には一言で言い表せないほど濃密な違和感で一杯だった。
東支部のときと今回。繋がりがあるかどうかは分からないが、敵の思惑が全く見えてこない。
東支部のときは敵の将が欲に塗れていたため、だからこその派兵だったと思えばまだ納得できる。実際敵将は小物だったし、私たちが手を下さずとも東支部の者たちで倒せたぐらいだ。しかし実際は、明らかにその小物が従えられないような強者が、東支部の請負人を皆殺しにするために派遣されていた。
その思惑と因果関係は不明のまま東支部の主犯は何者かによって皆殺しにされ、真実への糸口は闇へと葬られたが、そのタイミングを見計らっていたかのように、今回の派兵である。
物的証拠は何もないが、敵の軍の派兵状況を読む限り、何者かが任務請負機関支部を潰そうとしている。何を目的にしているのかは分からないが、推測できる限りでは支部を掌握することで、中威区の実権をより確固なものにしようとしているのではないだろうか。
その先に求めているものまでは流石に推測すらできない。だが現実問題として東支部の掌握が失敗した今、敵の目論みの一つは潰せているはずだ。そして今回、西支部に差し向けられた敵の力は東支部のときの比ではない。もしかして、私たちがここに来るのを見越して戦力を持ってきているのだとしたら―――。
「どうした、えらく難しい顔してんな」
意識を没入させていたせいか、表情に出ていたらしい。心配になったのか、レク・ホーランの気持ち優しめの声音が鼓膜を撫でた。
一人で考えたところで答えは出ない。気を抜くわけではないが、胸の奥に刺さった棘を早めに抜いておきたいし、場数を踏んでいる者の考えを聞くのは決して悪い策ではないはずだ。
「敵の動きがあまりにも安直だなと思いまして」
「平均全能度五百の軍が侵攻しにきてる現状を、果たして安直の一言で済ませていいもんなのかね……」
予想していなかった返事に少し眉を顰めるが、レク・ホーラン視点に立ってみて、無理もないかと認識を修正する。
私たちからすれば一人あたりの強さが割増した程度でしかなく、前回も今回もあまり大した戦力差を感じていない。だがそれは私たちが流川に名を連ねる者だからで、レク・ホーランらからすれば西部都市を灰燼に帰する戦力として脅威視するのも無理からぬことだ。
彼もまた黒百足や澄男など、めっぽう力が強い者を前衛に置いていることから、油断は全くしていない。それが普通の反応なのだ。
「それに今回と前回がつながっている証拠もない……昨日の今日なのは、確かに何かしらありそうな気はするが、結局は気がする程度の話だしな……」
やはりレク・ホーランの認識を変えるのは難しい。彼の考えも一理あるからだ。
東支部で捕らえた者たちは、この中威区西部都市で皆殺しにされた。そして今日、謎の大軍が西支部に攻めてきている。これは偶然なのか必然なのか。それを判断する材料は、残念ながら手元にない。私たちは何故大軍が攻めてきているのか、その原因の調査を言い渡されているわけでもなし、ならば粛々と、その大軍を対処するしかないというのが妥当な結論になる。
「……ジークフリートさん」
暇そうに床に座り込んでうつらうつらと頭を揺らす男に、毅然とした態度で視線を投げる。
支部の監督官ともあろう者が防衛任務の最中に、それも平均全能度五百の軍が侵攻している現状下で居眠りができるのは中々の胆力と褒めてもいいが、裏を返せば危機感の不足とも言える。
確かに今、何一つとして逼迫していないが、私たちがいなければ抵抗という抵抗もできぬまま西支部は滅びていたのだ。少しくらいは緊張感を持っていて欲しいものである。
「聞きたいことがあるんですけど、今回のような事態は、西部都市ではよくあることなのですか?」
「いやー……滅多にねーかなー。上威区との街境付近ならあるかもしれねーが、ここは西部都市でも都心だし……」
眠たそうな目を擦り、私を見上げてくる西支部の監督官は、間抜けに欠伸をしながら頭を掻き、唸った。
「アンタたち外から来たんじゃないのね? だったら``西戦の壁``の存在は知ってるわよね、そう簡単に湧いて出てこれたら、みんな過労死しちゃうのね!」
ヒルテ・ジークフリートを擁護するように、近くをひらひらと蝶のように飛んでいた幼女が、不遜にも指を刺してがなり立ててくる。
それくらい知っとけよみたいな高圧的な態度は少し釈然としないが、確かにあの高く聳え立つ壁がある限り、並大抵の勢力は西部都市へ侵攻できない。それこそ壁を力づくで粉砕できるほどの高い膂力を持つ者か、転移魔法を使って壁やバリアを無視できる者に限られてくる。
「でもあの壁は、上威区街境付近までは建設されてねーからな。あそこからこっそり入ってきた可能性はなくもねーぞ」
「そんなのあまりにも低確率な話なのね、あそこがどれだけ激戦区か、知らないアンタじゃないのね!」
いやそうだけどよ、と面倒くさげに頭を掻くヒルテ・ジークフリート。
上威区の街境ともなると、そこは上威区へ勢力を伸ばしたい中威区各種勢力と、それらを排する上威区各種勢力が日夜血で血を洗う戦いを繰り広げているはず。常時戦場なわけだ。
戦火が絶えぬその場所から、誰からも目をつけられず都心まで侵攻するのは中々難しい。それ相応の実力がない限り、数多の火の粉を浴びて焼き尽くされてしまうからだ。
しかし現状、転移魔法なくして``西戦の壁``を超えるには、激戦区を経由して都心に向かうルートしか存在しない。一歩間違えれば戦火に焼き尽くされるリスクを背負ってまで、西支部を侵略したいのは何故なのか。侵略することで、彼らは何を得ようとしているのか。そのリスクに見合う、リターンとは。
「……仕方ないわね」
私は弥平ほど聡明でもなければ博識でもない。彼ならば僅かな情報から真実に容易く辿り着けるだろう。
彼はいま専従任務についており、通信管制を敷いている関係で直接霊子通信を送ることはできないが、代わりに久三男が窓口になってくれる。彼もかなり頭が回るので、的確な助言がもらえるはずだ。
頭の中で結論を出し、秘匿回線を用いて久三男へ霊子通信を繋ごうとしたそのとき。
「ブリューン!?」
さっきまで眠そうにしていたヒルテ・ジークフリートが突然立ち上がり、虚空に向かって叫びだす。
誰かに向かって話しているわけではないが、あたかも誰かに向かって話しているように見えるあたり、霊子通信による会話だ。それも全員にチャンネルしていないということは、相手側がなにかしら逼迫した事態に陥っているということ。
ブリューンといえば作戦会議のときにいた、金と黒のメッシュといったファンキーな髪形をしている請負人の女の子、ブリュンヒルトのことだ。
各々が所定の位置についた後、彼女はトイレに行くといって席を外していた。今思えば彼女が席を外して既に三十分以上経つ。
女の子だからトイレにかかる時間はそれなりにあるだろうと思うが、流石に長すぎる。
「やべーな。ブリューンが人質に取られた。俺一人で行かなきゃなんねー」
「相手は誰だ」
「ブリューンの口振りからして、多分機関則関係でなにかしらポカやらかしたせいでクビになった請負人の誰かだと思う。請負証剥奪処分の逆恨みってとこじゃねーかなぁ……」
「西支部らしい理由だぜ、まったくよう……」
やれやれと呟いて肩を竦める。
仲間が人質に取られたのに異様な落ち着きようだが、今この状況で焦るようなら器ではないだろう。
外部からの侵入を許してしまったのは痛手だが、相手がヒルテ・ジークフリートとの一対一を望んでいる以上、ブリュンヒルトの生存率を高めるためには一人で行くしかない。
私やレク・ホーランはどちらにせよこの場から離れられないし、なにより身内の不始末だから私たちが関わることでもないはずだ。
「ベルはここにいろ。俺が一人で……」
「兄貴ィィィィ!!」
次から次へと。支部ビル地下一階フロアから、何者かが凄まじい勢いで駆け上がってくる喧しい音が鼓膜を無造作に貫く。
地下にいるだけに音が反響して中々うるさいが、地下二階の避難シェルターフロアから顔を出したモヒカン頭が、息も絶え絶えの様子でヒルテ・ジークフリートへと駆け寄った。
「あ、兄貴!! やべぇっす!! マジやべぇ!!」
髪型がモヒカンなだけに語彙力もないのだろうか。暢気な偏見にほんの僅かに思考を巡らすが、過呼吸気味に走り寄ったその男の顔色が、完全に血の気が引いているのを見て思考を切り替える。
「とりあえず落ち着けよ。何があった」
モヒカン頭からただならぬものを感じているのだろう。脂汗を滲ませるモヒカン頭の肩に、眉間にしわを寄せながらも優しく手を置いた。
「な、仲間が殺られた!! どこからか湧いて出たか分かんねぇが、突然仲間が斬りつけられて……!!」
焦りがまだ残っているのか、説明がちぐはぐだ。しかしそれでもやべぇしか言えなかったさっきよりも明確になった。
「……地下二階への出入り口は、この階段以外になかったよな?」
拙い説明とはいえ、レク・ホーランもヒルテ・ジークフリートも目を丸くする。特にレク・ホーランは表向き冷静だが、額には僅かに汗が滲んでいた。
「あ、ああ。ここの階段以外からは行けないはずだ。穴でも掘らない限りはな」
苦笑い気味だが、彼からも焦りの色が隠せていない。
「とりあえず俺はブリューンの所に行く。ベル、お前はレクたちについていけ」
レク・ホーランとヴェルナー・ハイゼンベルクは真剣な面差しで首を縦に振る。一階ロビーへの階段を駆け上がっていくヒルテ・ジークフリートを見送りつつ、思考を深めた。
支部ビルは曲がりなりにも戦闘を前提において建設されているため、その実態は要塞である。使われている建材はただの霊力コンクリートなどではなく、対戦略級魔法用に特殊強化された建材が使われている。少なくとも戦術核規模の攻撃魔法ではビクともしない。
確かにシェルターは地下にあるが、地道に穴を掘って壁を突き破るなんて真似は現実的ではない。魔法的に装甲と化した建材を、人の力で破るのは至難だからだ。そうなると考えられる手段は―――。
「転移魔法……?」
ぼそりと呟くと、勢い良く私へ熱烈な視線を浴びせられる。
空間転移魔法``顕現``。任意の空間座標へ一瞬で移動できるその魔法は、既に失伝してしまっている伝説の大魔法。使用できる魔導師は世の中に存在しない、というのが通説だ。
大陸八暴閥が一柱、暴閥界最強たる流川家を除けば。
「レクさん、私は転移魔法を前提に動きます。異論はありますか?」
とりあえず体裁的に彼の顔色を窺っておく。
正直、転移魔法を使うような相手を前にして、悠長な真似をしている暇などないのだが、私が勝手な行動をすれば、それだけ自軍に混乱が生じかねない。その僅かな混乱が戦局の天秤を傾けかねない以上、レク・ホーランだけでも合意をとっておいた方が結果的に自軍の損害は減らせるはずだ。
「馬鹿言うな……と一蹴したい気分だが、この現状でそれ以外考えらんねぇ……か」
やはり腑には落ちていないようだが、受け入れはしたようだ。
テスと戦ったとき、澄男が彼の前で転移魔法の使用を仄めかしたことがあったが、あの出来事のお陰で飲み込みやすくなっているのかもしれない。当時は早まった真似をしたなと思っていたが、結果的に今回の無駄は減らせたのだから重畳である。
「しかし……転移魔法の使い手と渡り合うなんざ初めてだぞ。どうしたもんか……」
「本来なら敢えてここで待機して迎え撃つのが定石ですが……」
今までの修行内容を脳内で総動員させる。
戦の際、流川家が魔法戦術の十八番として用いていた有名なもので、``転移強襲``という戦術が存在する。
転移強襲とは文字通り、敵陣営の中心を刷り込み済みの魔生物で強襲し、中枢を撹乱させて戦力や指揮系統を破壊した後、追い討ちとばかりに攻略本隊を転移させ、一気呵成に敵軍を殲滅する戦術である。
武力統一大戦時代、流川家は転移魔法の絶対優位を最大限に活かし、自身に敵対するあらゆるの勢力を、この戦術でことごとく葬り去ってきた。
転移魔法を真似ようとした国も当然あったが、転移魔法は非常に高度な無系魔法であり、二千年にわたる大戦時代を経て完全に物にしてみせた流川家のようにはいかず、結局流川以外どの勢力も習得することのできないまま、流川の手によって消滅させられてしまった。
転移強襲をしてくることが分かっているのならば、転移してくる場所は予測できてしまう。だからと対処できるかと問われれば大半の者なら不可能だろうが、相手の力量次第では不可能ではない。要は即死さえしなければ、自身の肉体能力や回復手段、単純な胆力次第でなんとかなるからだ。
そもそも転移強襲は、一定水準以上の戦闘能力を持った魔生物を敵陣の中央に転移させることで、敵軍の中枢を撹乱もしくは破壊するのを前提に組み立てられた戦術である。
この場において自軍の中枢は私たち。ならば私たちの下へ強襲をかけるのが自然であり、既に私たちを警戒させてしまった以上、戦術的に半分は失敗しているのと同義なのだ。
何故敵は私たちの下へ強襲をかけなかったのか。推測するなら思い浮かぶのは一つのみ。
「西支部請負人の暗殺……?」
敵の目的は、東支部のときと同じく請負人の暗殺の可能性。だとするとここで敵が来るのを待っていても意味はない。目的を果たせば転移で西支部ビルから撤退すればいい話であり、私たちと戦う必要はないからだ。
東支部のときといい、今回といい、何故支部請負人の虐殺に拘るのか不明だが、推測が正しければ悠長に思考に耽っている暇はない。
「至急シェルターに向かいましょう。手遅れになる前に……」
私が俯きげに言うと、他も静かに頷いて階段を走って降りる私に続いたのだった。
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