31 / 82
講談コーナー・1・お力
あゝ嫌だ嫌だ嫌だ…もうすべてが
しおりを挟む
自らの実存の様を読者にバーンとぶつけて、さあどうだ、笑うなら笑え、蔑むなら蔑め…とでも云っているかのようです。自らの苦しみを隠すことなく、また自分に誤魔化すことも最早せず、お力の人生を成り行きの彼方に昇華さえさせているように見えます。その辺りを、私が勝手に想像した作品中のお力の言葉でひとつ言い換えて見せましょうか。お力は「一端(いっぱし)のシャンとした町娘でいたい、出来ればいい人と夫婦になって堅い所帯を持ちたい」と、身は酌婦でありながら心中では未だそう云っているのです。然るに自分の廻りにはニタニタといやらしい笑い顔を貼りつけた酔客らが居て、手を伸ばして来ては身体のあちらこちらを触りまくり「さあ店の二階に行こう」と誘う現実がある。それが仕事だから致し方ありませんが、まあしかし、これではシャンとした町娘どころの話ではありませんね。「しかしそれでも…」とお力は自らに抗弁します。「もしかしたら形のいい、品のいいお客でも現れて、あたしの真の心の姿を理解してくれて、あたしを身受けしてくれるかも知れない」と。そんな儚い望みを頼りに酌婦としての毎日を過ごしますがお盆のある晩のこと…とここでようやく既掲載の「講談1・お力(3)」の11行目に帰ってまいりました。へへへ。いいすっか?こっからまた参りますよ。えー、それで…お盆とて、この世に戻って来ている霊にでも憑かれたものか、お座敷を放(ほ)ったらかして1人河岸の袂まで来たお力…さてここで一葉の原文を引きましょう。
〝…行かれる物なら此まゝに唐天竺からてんぢくの果までも行つて仕舞たい、あゝ嫌だ嫌だ嫌だ、何うしたなら人の聲も聞えない物の音もしない、靜かな、靜かな、自分の心も何もぼうつとして物思ひのない處へ行かれるであらう…
〝…行かれる物なら此まゝに唐天竺からてんぢくの果までも行つて仕舞たい、あゝ嫌だ嫌だ嫌だ、何うしたなら人の聲も聞えない物の音もしない、靜かな、靜かな、自分の心も何もぼうつとして物思ひのない處へ行かれるであらう…
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる