38 / 82
講談コーナー・1・お力
魂の光と陰
しおりを挟む
なぜならばお力はお力だからです。飾の金物をこしらえる貧乏な職人の家に生まれた娘でしかないお力は、華族の令嬢でもなければお大尽の娘でもなく、家の零落の末に銘酒屋の酌婦にまで身を落とした娘。幸か不幸か器量よしで御侠(おきゃん)の性質(たち)があったお力には客が数多付き、妻帯者の源七から岡惚れされてもおりました。しかし他方で父・祖父の偏屈な気質を受け継ぎ、その偏屈さゆえに貧乏を強いられ、不幸な死に方をした、その父・祖父の因業をも受け継いでいる身だったのです。つまりお力には自他の〝業〟がありました。人間の究極の姿たる魂、その魂には光と陰の二面があると申します。魂は人間の原版のようなものであり、光、陰ともにそこには嘘がなく、その人の人生を形作り、終生当人に影響を及ぼし続けるのだとか…。そして別にこれは、何もお力に限ったことではございません。万人に共通の真理であります。しかるになぜ「お力には自他の〝業〟がありました」と、まるでお力に特別のことででもあるかのように私が最前申し上げたかと云うと、それには分けがございます。えー、こちらも最前の最前、具体的には「講談1・お力(6)」の上から5行目になりますが、〝お力は自分への思い入れが強すぎた〟とも私は申しました。これを改めて正確に申しますとお力の魂は光(つまり朝之助、彼と持つ堅気の所帯)に向かう指向が甚だ強いのですが、光強ければ陰も同時に強くなるの道理で、互いが足を引っ張り合い、心の中で謂わば自家感作症を起こしているような塩梅なのです。具体的には、菊の井から、酌婦から足を洗いたい更生したい、朝之助と結ばれたいと強く指向しているにも拘らず、それは成らず、痴欲に充ちた酒席の喧騒の中に毎日身を置かねばならなかった。それゆえ鬱屈し、しかし同時にこうなったのも父・祖父から続く因業のせいと自分に云い聞かせて、悟り顔に自分を突き放してしまってもいるのです。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる