自らを越えて 第一巻

多谷昇太

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丹沢行(2)守護・指導霊の出現?

K大山岳パーティ

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この不快な出来事を忘れようとして、また後続となった男4人組の登攀を邪魔しては悪いとばかり、さきほどの休息来の猛ペースで以って俺は沢を登り出した。3メートル滝やトイ状滝など連続する小滝をドンドン登って行くが、どうしてもミカをフォローし続ける大伴さんのところで後続パーティと繋がってしまう。これではまるで8人パーティの沢登りである。たびたび立ち止まってミカと大伴さんを待つのだがそのうちに遂に大伴さんが後続パーティに道を譲るべく一行と話をし出したようだ。後続パーティの先頭の男に「あの、どうぞ先に行ってください。わたしたち遅いから」と云うのに「そうですか?別にいいですよ、このままで」と答える男の声はいかにも残念そうだ。その理由は察しがつくが。さらに最後尾のリーダーと思しき男が「いいよ、いいよ。大伴さん。かまわないで。俺たちは塔ノ岳まで行って大倉帰りするだけだ。全然平気だよ」と意外にも大伴さんの名を口にして答えた。大伴さんの知り合いだろうか?大伴さんも不審がってその人物を確認する。「あーっ、あなたは…花田君だったんだ。わからなかった。アハハハ。お久しぶり!するとこの御一行は…(他の面々の顔を見渡しながら)K大学の御面々って分けね?」「はい、そうです」「その山岳部です」他の面々が云い、先頭の男が「花田のバカの仲間です」と請け合った。それへ「何云いやがる、てめえ。さっきから大伴さんの腰ばかり見てやがって」とその花田なる人物が弾劾する。蓋しそれは真実だと思うのだが、ただ花田という名を聞けば今度は俺がギクリとせざるを得ない。まさか、花田悟助の兄とかじゃあるまいな。その花田が大伴さんのすぐ側に登って来てから「いやあ大伴さん、久しぶりだね。まさかこんなとこで会うなんて」「ねえ、ほんと驚いた」「俺なんかさ、うしろから君の輪郭を見ただけで気づいたよ。ハハハハ」などと会話を始める。「何がうしろから君の輪郭だよ。てめえ。要はお前だって…」と先頭に居た男が割り込んでくるのを遮って「大伴さん、こいつ、和田って云うんだけど、こいつの視線には気を付けてくださいよ。ヤらしい男だから」と明からさまに云う花田。どうやら2人は気の置けない親友のようだ。
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