サマネイ

多谷昇太

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第三章 山本僧侶

おたく、どこの大学?

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俺だったら端から無理だし俊田でもはたしてどうか、あとから聞いてみたいところだ。しかしそれにしても彼はなぜ‘こういうシチュエーション’で俺たち、いや俺を迎えたのだろう?始めの狸寝入りと云いきつい一瞥と云い何か気になるところだ。自分が応対に出ないことでソムスイの激高を図ったとも思える。要するに「追い返せ!」というやつだが考え過ぎだろうか。ともかくそのソムスイと適当に漫才を演じたあと彼を自分の部屋に返し、やおら山本は今度は俺の人と形を探り始めたようだ。
「あー、ドタバタと失礼。ところでおたくも大学生と聞いたけど、どこの大学でしたっけ?」と初っ端から痛いことを聞いて来た。実はこのサマネイ‘留学’をするのにも学生であった方が好ましいと俊田を通じて仏教大学生から云われ、「そんなの適当でいいよ、どうせ証明書なんか要らないんだろ」との俊田の忠言も合わせ受けて、俺は日本の某大学生を名乗っていたのだ。自分の特技を考えて某美術系の大学名を詐称していた。申し遅れたが俺は自称絵描きを自らに銘じている。ヨーロッパに行ったのもランボーのみならず例のエコール・ド・パリを味わおう、自らに演じてみようとしたが為である。すべて自己流だが俺は人物画を、就中女性のそれを描くことをテリトリーとしていた。アングルの「泉」を見ればため息が出るし、ピュグマリオンの絵を見れば戦慄する。分けても「モナリザ」は驚異だった。よく息をするがごとき、生けるが如き名画と云うが俺に云わせればモナリザはその上を行っていた。逆に、あのモナリザは息をしていない。その代り永遠の相を呈している。つまり、あの肖像は人間ではなく霊のそれであるということだ。
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