私は役目を放棄し関わらないことを誓います

宵丸

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第一話

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その日、開催されたパーティーで大きな発表がされた。

「エドワード・ロバーツ前へ」

「…?はい」

隣にいた私の婚約者が陛下に呼ばれて前へ進む。

「うむ。エドワード・ロバーツ、其方に神託が下った。其方は我が国の神に愛されし神子ということが決まった。よって、其方を我が王家に迎え入れることにしよう」

その発言を聞き、周りの人達の歓声と拍手が巻き起こった。

私は何が起こっているのかわからなかった。








時は少し前に遡る。

「エドワード・ロバーツ様だ。これからエミリーの婚約者になる方だよ」

「エドワード・ロバーツです。よろしくね」

キラキラとした金色の髪に透き通った青色の瞳をしたとても綺麗な人が突然自分の婚約者と言われても動揺するしか無いと思うの。

絵本の王子様が私の目の前に飛び出てきたのだと本気で思った。

「こら、エミリー。ご挨拶は?」

「エミリア・サンダースです。よろしくお願いしますわ」

お父様の言葉にハッとして急ぎ挨拶する。

「全く。申し訳ないねエドワードくん。娘は少し人見知りでね」

「いえ、大丈夫です。とても可愛らしいご令嬢ですね」

ニコッと笑ったその顔もとてもキラキラしてて、私はまた魅入ってしまった。



私はエミリア・サンダース。サンダース伯爵家の1人娘であり、蝶よ花よと育てられた生粋の貴族令嬢。

そんな私に今日婚約者が出来ました。彼はエドワード・ロバーツ。ロバーツ侯爵家の三男であり、将来私の家のお婿さんになる方。

私の錆びたような赤髪や緑色の瞳、平凡な顔立ちとは対照的に輝かしい金髪と透き通った青色の瞳、美しい顔をしていらっしゃるエドワード様は本当に私のような人間の婚約者であっていいのだろうか?

初めての顔合わせの時は緊張してほとんど何も話せなかった。そしてエドワード様が私の婚約者なんて信じられなくて何度も頬をつねって私の専属メイドに怒られた。

頬をつねっても痛い…、これは夢じゃないのね!私は嬉しくて嬉しくて自室のベッドで何度も跳ねた。

翌日、お父様に呼ばれ、一週間したらまたエドワード様との顔合わせ…、いや、お茶会が開かれることになったことを聞いた。

一週間後にまた会える。今度こそお話できるように頑張らないと!そう思って、私はお気に入りのクマのぬいぐるみと当日の練習をした。

『エドワード様と呼んでもよろしいでしょうか?』
『エドワード様はおいくつですの?』
『エドワード様の好きなことはなんですの?』

と、念入りに練習したおかげで今度はちゃんとエドワード様とお話ができた。

『いいよ。なんなら愛称呼びで…、エディって呼んで。私はリアと呼ぼう』
『今年で10歳。リアは8歳だから2歳差だね』
『好きなこと…か…。あまり考えたことがなかった。これから見つけていこうかな』

それからも何度もお茶会をして日が経つごとに私たちはとても仲良くなった。私が言うのもなんだけれども、相思相愛な政略結婚ではなく恋愛結婚になりそうな気がする。

とてもとても幸せな毎日が過ぎていた。



でも、幸せなことだけでは生きていけない。6年が過ぎ、エディは16歳、私は14歳になった。

15歳からは貴族は皆学園に通うことになり、エディは昨年その学園に入学し今は第二学年となった。私は来年入学となる。

エディが学園に入学してからは、以前のような頻度でお茶会は開けなくなり、寂しい思いはしたけれど、月に一回は必ず会えること。2年経てば私も学園に入学するため、勉強をしなければならなくなったことにより、さほど寂しさは感じられなくなった。

「リア、ごめんね。なかなか会えなくて…」

「平気よ、エディ。エディは忙しいもの。そうだわ、エディ!私ねダンスが上達したと先生に褒められたの!」

「それはすごいな。リアはダンスが苦手だったのに。よかったら、今その成果を見せてくれないか?」

そう言って、エディは立ち上がり私の元へ来てダンスに誘った。

「今?」

「ああ!」

お茶会といっても私とエディしかいない。だから作法など気にしなくて良い。

「わかったわ!」

私はエディの手を取り立ち上がる。そして、手を組み私たちはくるくると踊り始めた。

「本当だ。前より上手くなったね。足を踏まれなくなったよ」

「そうでしょう!私頑張ったの!」

ギュムッ

「あ、踏まれた」

「ごめんなさいエディ!つい…」

「ハハッ、集中してるときに話しかけた私も悪かった。でも、笑顔で踊っているリアが私は一番好きだよ」

「もうエディったら」

側から見れば激甘な婚約者たちだろうが、私たちにとってはこれが普通。パーティーなどでこのような様子でいると、何やらどこかの国の用語を使う令嬢から『爆ぜろリア充。永遠にッ』と言われるけれど何を言ってるのかわからないのでスルーしている。

「次のパーティーが楽しみだよ」

「ふふ!私も!」

今度王家主催の大きなパーティーがある。何やら重大な発表が行われるようで…。私はそれに向けてエディの恥にならないよう必死に苦手なダンスを練習していたのだ。

今日も調子に乗って踊っていたらエディの足を踏んでしまったので、また明日から頑張らないと。

意気込む私をみて、エディはクスクスと笑っていた。





パーティー当日、私はエディにエスコートしてもらいながら会場に訪れた。ダンスがうまく踊れるかドキドキしながら入場すると、『大丈夫だよ、リラックスして』とエディが言ってくれた。ダンスの時間は陛下からの発表が終えたあとなので、私は深呼吸して、グラスを取った。

そして、王家の方々が入場し、ざわついていた会場が静かになる。

「皆、今日はよく来てくれた。今日は皆に知らせたように発表がある。エドワード・ロバーツ前へ」

エディが陛下に呼ばれた。

何故エディが呼ばれたの?

「…?はい」

エディもこれから何があるのかわからないようで少し戸惑っていた。

「少し行ってくるから。いい子にしててね」

「もう、いい子って!」

私の頭をポンポンと叩き、エディは陛下の御前へと向かった。

「うむ、エドワード・ロバーツ、其方に神託が下った。其方は我が国の神に愛されし神子ということが決まった。よって、其方を我が王家に迎え入れることにしよう」

その発言を聞き、周りの人達の歓声と拍手が巻き起こった。

私は何が起こっているのかわからなかった。

エディが…神子様…?

神子とはその名の通り神に愛されし者。その神子様に何故エディが選ばれたのか?

エディも動揺していて陛下の言ったことが飲み込めていないようだ。

「皆グラスは持ったかね?我が国に神子が誕生したことを祝って…」

「「「我が国に祝福があらんことを」」」

そう言って、パーティーは開催された。

そして、そのままエディは私の元へ帰ってこなかった。

私はこの後どうやって帰宅したか覚えていない。

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