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私がコノアを慰めていると、ギルの冷静な声が響いた。
「クローディア、今すぐここを離れた方がいい。先程逃げた男が援軍を呼びかねない」
「そうだわ! そうしましょう。ギル、ありがとう」
確かに早くこの場を離れたほうがいいわ。
ギルは一緒に来てくれるのかしら?
一緒にいて欲しいと言ったら我がままと思われるかな…。
「あ、、あの、クローディア様……この方は? ……つ、翼が」
そうだった!
三人のことが気がかりでうっかり忘れていたけど、ギルも私と同じ……
「ギル、こんなことを聞くのは申し訳ないのだけど、貴方も私と同じで異形の人間なのかしら?」
もしかして異形の人間は他の国では珍しくないのだろうか?
そんな期待を込めて問いかけるが、質問の意味が理解できないのかギルは不思議そうな顔で首を傾げた。
「異形の人間? そういえばさっきも言っていたな。……この国では獣人を異形の人間と呼ぶのか?」
ジュウジン?
なんの事を言っているの?
ギルの言っている意味が分からず、思わずみんなの方を見るが、みんなも不可解な顔をしている。
「まさか……クローディア、君は獣人を知らないのか?」
「えっ!? えぇ。初めて聞いたわ」
「………そうか、やはりこの国は……。クローディア、追われていた理由を話してくれるか」
急にどうしたのだろう?
『ジュウジン』を知らないと伝えるとギルの顔は険しくなる。不思議に思いながらも、私は簡潔に今までの経緯を説明した。
「聖女……成る程な。よし、分かった。とりあえずここを離れよう。ドミニクの怪我では馬車を動かせないだろう。怪我をしているコノアとドミニクは馬車に乗れ。俺が馬車を動かす。マークは単騎で急ぎ教会に戻れ。このまま国が教会に何もしないとは思えない。急ぎ戻り避難するように伝えろ」
少しの間考え込んでいたギルは考えが纏まったのか迅速に指示を出す。
人に指示することに慣れているのだろうか。ギルが放つ言葉には淀みがなく自信にあふれている。
「お、お待ちください。それではギル様一人でクローディア様の護衛をすることになります。流石に危険すぎるのではないでしょうか」
「マーク、今は議論している暇はない。お前はすぐに教会に戻れ。それに先程の追っ手程度の力量なら何人こようと俺一人で十分だ。最悪の場合はドミニクとコノアを置き去りにしてクローディアを守る。二人ともその覚悟はあるのだろう?」
ギルは試すように二人に目を向けると、ドミニクとコノアはギルから目を逸らさず力強く答える。
「勿論でございます。このような不甲斐ない自分など、この場に捨て置いてくれて構いません」
「私もクローディア様の足手まといにはなりたくありません」
「コノア……ドミニク……」
ギルが二人を置いていくはずがない。
それでも二人の覚悟が心に響く。
ギルは満足気に頷きながら、マークの方に顔を向ける。
「マークまだ話がある。こっちへ来い。いいか、教会に着いたら……」
「はっ? それはどういう……」
何を話しているのだろう?
周りに聞かせないようにしているのか、声が小さくてよく聞こえない。
「いいな。必ず伝えろ。何が何でもだ」
「し、承知致しました。では、クローディア様……どうかご無事で」
「マーク、ありがとう。貴方もどうか無理をしないで」
「はい、クローディア様のご武運をお祈りします」
別れの挨拶を交わしマークは来た道を戻っていく。
どうかみんな無事でいて……。
私はマークの遠ざかる背を見つめながら、みんなの無事を必死に祈った。
「クローディア、今すぐここを離れた方がいい。先程逃げた男が援軍を呼びかねない」
「そうだわ! そうしましょう。ギル、ありがとう」
確かに早くこの場を離れたほうがいいわ。
ギルは一緒に来てくれるのかしら?
一緒にいて欲しいと言ったら我がままと思われるかな…。
「あ、、あの、クローディア様……この方は? ……つ、翼が」
そうだった!
三人のことが気がかりでうっかり忘れていたけど、ギルも私と同じ……
「ギル、こんなことを聞くのは申し訳ないのだけど、貴方も私と同じで異形の人間なのかしら?」
もしかして異形の人間は他の国では珍しくないのだろうか?
そんな期待を込めて問いかけるが、質問の意味が理解できないのかギルは不思議そうな顔で首を傾げた。
「異形の人間? そういえばさっきも言っていたな。……この国では獣人を異形の人間と呼ぶのか?」
ジュウジン?
なんの事を言っているの?
ギルの言っている意味が分からず、思わずみんなの方を見るが、みんなも不可解な顔をしている。
「まさか……クローディア、君は獣人を知らないのか?」
「えっ!? えぇ。初めて聞いたわ」
「………そうか、やはりこの国は……。クローディア、追われていた理由を話してくれるか」
急にどうしたのだろう?
『ジュウジン』を知らないと伝えるとギルの顔は険しくなる。不思議に思いながらも、私は簡潔に今までの経緯を説明した。
「聖女……成る程な。よし、分かった。とりあえずここを離れよう。ドミニクの怪我では馬車を動かせないだろう。怪我をしているコノアとドミニクは馬車に乗れ。俺が馬車を動かす。マークは単騎で急ぎ教会に戻れ。このまま国が教会に何もしないとは思えない。急ぎ戻り避難するように伝えろ」
少しの間考え込んでいたギルは考えが纏まったのか迅速に指示を出す。
人に指示することに慣れているのだろうか。ギルが放つ言葉には淀みがなく自信にあふれている。
「お、お待ちください。それではギル様一人でクローディア様の護衛をすることになります。流石に危険すぎるのではないでしょうか」
「マーク、今は議論している暇はない。お前はすぐに教会に戻れ。それに先程の追っ手程度の力量なら何人こようと俺一人で十分だ。最悪の場合はドミニクとコノアを置き去りにしてクローディアを守る。二人ともその覚悟はあるのだろう?」
ギルは試すように二人に目を向けると、ドミニクとコノアはギルから目を逸らさず力強く答える。
「勿論でございます。このような不甲斐ない自分など、この場に捨て置いてくれて構いません」
「私もクローディア様の足手まといにはなりたくありません」
「コノア……ドミニク……」
ギルが二人を置いていくはずがない。
それでも二人の覚悟が心に響く。
ギルは満足気に頷きながら、マークの方に顔を向ける。
「マークまだ話がある。こっちへ来い。いいか、教会に着いたら……」
「はっ? それはどういう……」
何を話しているのだろう?
周りに聞かせないようにしているのか、声が小さくてよく聞こえない。
「いいな。必ず伝えろ。何が何でもだ」
「し、承知致しました。では、クローディア様……どうかご無事で」
「マーク、ありがとう。貴方もどうか無理をしないで」
「はい、クローディア様のご武運をお祈りします」
別れの挨拶を交わしマークは来た道を戻っていく。
どうかみんな無事でいて……。
私はマークの遠ざかる背を見つめながら、みんなの無事を必死に祈った。
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