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「よし、まずは国境を越えるぞ。二人はさっさと馬車に乗れ。早くしろ。クローディアは俺と御者台に行こう。さぁおいで」
えっ!? ちょっと待って! なぜ抱き抱えるの?
ギルは甘い声で私に話しかけると優しく微笑みかけ、そっと私を横抱きにして額に唇を落とす。
ま、まって、、お願い……は、恥ずかしい……。
恥ずかしさのあまり声が出てこない。なんかコノア達と私に対する扱いが違うような。
ギルの甘い対応に慣れず、顔が熱をもって赤くなる。
「お待ち下さい! クローディア様を御者台に乗せるなど! 私が代わります。どうかクローディア様を馬車の中に!」
「待ってくれ! ならば俺が代わります。怪我をしていても御者台にいることはできます。女性を御者台に乗せるなど……」
「馬鹿を言うな! 貴様ら、俺とクローディアを引き離すつもりか!」
「「ですが!」」
あの……えっと……。この状況で言い合いを始められても…。三人が言い合っているなか、私はずっとギルに横抱きにされている。この状況はおかしくないかしら?
この恥ずかしい状態から早く抜け出したいわ!!!
私は二人に「大丈夫だから」と目で合図して、二人は渋々納得してくれた。ギルは上機嫌で二人にフフン!と勝ち誇るように笑っている……意外に子供っぽいのかしら?
御者台に座るとギルは慣れたように馬車を動かし、私は彼の隣に……座るつもりだったのに……。
なぜか私はギルの足の間に座り、スッポリと彼の腕と翼で覆い隠されている。まるで後ろから抱きしめられているようで……あぁ恥ずかしい……もう……。
さっきから何度顔が赤くなっただろう?
「クローディア? どうした? 気分が悪いのか?」
ギルは馬車を動かしながら、ときおり私の頭に顔を擦り付けてくる。気にしたらまた顔が赤くなりそう……
……と、とりあえず、質問を!
意識を逸らす為にも、何か話をしないと!
「い、いえ、大丈夫。……えっと、あの『ジュウジン』のことを聞きたくて。東の遠国は獣と人が共存していると聞いていて。ギルもその国に住んでいるの?」
「ああ。ここから東にあるガルブレイス王国は、獣人と人間が共に暮らしている。獣人とは太古の昔に獣と人が交わり産まれた者のことだ。獣と人の両方の血を引く半獣半人だな」
「半獣半人……では、私の祖先も……」
「あぁそうだろうな。その壮麗な角は獣人の証だろう」
初代聖女も獣人だった?
でもそんな話はお父様から聞いたことがない。コノア達も知らなかったし……。
「では、ガルブレイス王国には私と同じ角が生えている獣人がいるの?」
私は期待を込めた眼差しでギルを見ると、申し訳なさそうな目をしながら、慰めるように私の頭を撫でた。
「いや……すまない。クローディアと同じ獣人は見たことがない」
「そう……。それでもギルに会えたことは嬉しいわ。獣人の事も知れたし……本当にありがとう。ギルに会えて本当に良かった」
同じ角を持つ獣人がいないのは残念だけど、ギルに会えなかったら、獣人の存在も知れなかっただろう。
私を獣人として受け入れてくれる国がある事を知れただけでも喜ばしいことだ。
「これからは俺がクローディアの傍にいる。寂しい思いは決してさせないよ。それに君は俺と同じ……いや、そうだな、詳しいことはガルブレイス王国に着いてからにしよう」
「……?」
何を言いかけたのだろう?
不思議に思い後ろを振り返ると、少し戯けたような顔をしたギルはクスッと笑う。
……? ……ふぇっ!!! 尻尾!!!
ギルの尻尾がふるりと動いて私の首筋を撫であげた。
く、くすぐったい!
思わず身を捩らせながら「もうっ!」とギルを睨むと、、、、
「ハハハ!」
私はあどけない顔で少年のように笑うギルに目を奪われた。
えっ!? ちょっと待って! なぜ抱き抱えるの?
ギルは甘い声で私に話しかけると優しく微笑みかけ、そっと私を横抱きにして額に唇を落とす。
ま、まって、、お願い……は、恥ずかしい……。
恥ずかしさのあまり声が出てこない。なんかコノア達と私に対する扱いが違うような。
ギルの甘い対応に慣れず、顔が熱をもって赤くなる。
「お待ち下さい! クローディア様を御者台に乗せるなど! 私が代わります。どうかクローディア様を馬車の中に!」
「待ってくれ! ならば俺が代わります。怪我をしていても御者台にいることはできます。女性を御者台に乗せるなど……」
「馬鹿を言うな! 貴様ら、俺とクローディアを引き離すつもりか!」
「「ですが!」」
あの……えっと……。この状況で言い合いを始められても…。三人が言い合っているなか、私はずっとギルに横抱きにされている。この状況はおかしくないかしら?
この恥ずかしい状態から早く抜け出したいわ!!!
私は二人に「大丈夫だから」と目で合図して、二人は渋々納得してくれた。ギルは上機嫌で二人にフフン!と勝ち誇るように笑っている……意外に子供っぽいのかしら?
御者台に座るとギルは慣れたように馬車を動かし、私は彼の隣に……座るつもりだったのに……。
なぜか私はギルの足の間に座り、スッポリと彼の腕と翼で覆い隠されている。まるで後ろから抱きしめられているようで……あぁ恥ずかしい……もう……。
さっきから何度顔が赤くなっただろう?
「クローディア? どうした? 気分が悪いのか?」
ギルは馬車を動かしながら、ときおり私の頭に顔を擦り付けてくる。気にしたらまた顔が赤くなりそう……
……と、とりあえず、質問を!
意識を逸らす為にも、何か話をしないと!
「い、いえ、大丈夫。……えっと、あの『ジュウジン』のことを聞きたくて。東の遠国は獣と人が共存していると聞いていて。ギルもその国に住んでいるの?」
「ああ。ここから東にあるガルブレイス王国は、獣人と人間が共に暮らしている。獣人とは太古の昔に獣と人が交わり産まれた者のことだ。獣と人の両方の血を引く半獣半人だな」
「半獣半人……では、私の祖先も……」
「あぁそうだろうな。その壮麗な角は獣人の証だろう」
初代聖女も獣人だった?
でもそんな話はお父様から聞いたことがない。コノア達も知らなかったし……。
「では、ガルブレイス王国には私と同じ角が生えている獣人がいるの?」
私は期待を込めた眼差しでギルを見ると、申し訳なさそうな目をしながら、慰めるように私の頭を撫でた。
「いや……すまない。クローディアと同じ獣人は見たことがない」
「そう……。それでもギルに会えたことは嬉しいわ。獣人の事も知れたし……本当にありがとう。ギルに会えて本当に良かった」
同じ角を持つ獣人がいないのは残念だけど、ギルに会えなかったら、獣人の存在も知れなかっただろう。
私を獣人として受け入れてくれる国がある事を知れただけでも喜ばしいことだ。
「これからは俺がクローディアの傍にいる。寂しい思いは決してさせないよ。それに君は俺と同じ……いや、そうだな、詳しいことはガルブレイス王国に着いてからにしよう」
「……?」
何を言いかけたのだろう?
不思議に思い後ろを振り返ると、少し戯けたような顔をしたギルはクスッと笑う。
……? ……ふぇっ!!! 尻尾!!!
ギルの尻尾がふるりと動いて私の首筋を撫であげた。
く、くすぐったい!
思わず身を捩らせながら「もうっ!」とギルを睨むと、、、、
「ハハハ!」
私はあどけない顔で少年のように笑うギルに目を奪われた。
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