【完結】斎国華譚 ~亡朝の皇女は帝都の闇に舞う~

多摩ゆら

文字の大きさ
62 / 166
航悠編

22、柱の帰還

しおりを挟む

「雪、か……。積もらなければいいが」

 龍昇が雪華の元に来てから、二日。動きだした禁軍は、やはり州の外に出たという航悠の足跡そくせきをさっそく割り出し、暁の鷹に報告してきた。
 その情報を受け、蒼月楼への帰路をたどりながら雪華と飛路は明日以降の計画を確認する。

「任務も一段落ついたし、明日から拠点を州外に移すんだよな? しかしなんで禁軍まで動き出したんだろうね。まぁ助かるけど」

「そうだな……。陽連こっちは松雲に任せていく。今夜には発つぞ」

 たかだか一国民である航悠の捜索に、なぜ禁軍までもが加わったのか飛路はその経緯を知らない。そこにはあえて触れずに雪華が予定を告げると、飛路は頷いたあと視線を蒼月楼に向ける。

「了解。……あれ? 梅林? なんか走って――」

「姐御! 姐御! 大変です! いま早文が来て――」

 酒楼を目前にして、梅林がそこから飛び出してきた。その剣幕に目を丸くすると、飛路が鋭く叫ぶ。

「……嘘……。――ッ! 雪華さん!!」

「え?」

「あ……!」

 扉が開き、バタバタと部下たちが外に出てくる。雪華たちが歩いてきたのとは逆の方向からのそりと現れた影に、すべての時間が静止した。

「……よう。悪ぃな、ちょっとやらかした」



「かっ……かしらぁ!!」

 最初に叫んだのは、梅林だった。彼はぶわっと涙ぐむと子犬のように男のもとへと駆け寄る。

「頭領…! よくご無事で……!」

 その次に反応したのは青竹だった。冷静な彼にしては珍しく、感極まった様子で告げる。

「頭領……ッ」

 そして隣の飛路が胸が詰まるような声でつぶやき――けれど雪華は、何か告げることも動くこともできないでいた。ただ食い入るように、現れたその男を見つめ続ける。

「…………」

 その場に立ちつくしたまま……動けない。駆け寄る部下たちに肩をすくめてみせた男が、雪華に視線を投げかける。


 一歩一歩ゆっくりと、地を踏みしめるような独特の歩き方。土埃に薄汚れてはいるが、見慣れた衣服。

 肩まであった髪はばっさりと短く刈られ、うなじが見えている。

 そして左目を覆う黒い眼帯と、片方だけになった、けれど温かい色の、雪華が求め続けた――

「……悪い。土産、買ってこれなかった」

 ゆっくりと近付いたその男――航悠は、聞き慣れた低い声で告げると薄い色の瞳にいつものあの笑みを浮かべた。


「……っ……」

「……んん? 雪華、お前痩せたか? それ以上痩せると抱きごこちが悪くなるって前にも――」

「……ッ」

 ――限界だった。唇が震え、拳が震え、喉が震えて雪華はたまらず片手を振り上げた。そのまま男の顔へと振り下ろす。
 パチンといい音が鳴り周囲の部下たちがぎょっと目を剥く。

「なっ!?」

「げっ!?」

「!! いっ……てえ! 殴るか顔を!?」

「そこは顎だ! ……っの馬鹿!! どこをほっつき歩いてた!」

 ようやく声が出た。驚愕する航悠を睨み上げ、大声でその顔に畳みかける。

「お前が勝手に出ていって捕まったおかげで、どれだけ皆が心配して――どれだけ、探し回ったと思う!! 誰にも何も言わずに、勝手に……勝手に、そんな怪我までして……ッ。そんな、傷を――。怪我、だけで、済まないかと……思っ……」

 眼帯で覆われた目の周りが、まだ赤く染まっている。
 それ以外にも細かな切り傷や、赤黒く変色した殴打の痕や、何かで縛られたような――。その顔を睨み続けていると声が詰まり、罵声ばせいも途切れ途切れになる。

「……っ、……く……、――ッ!」

 それ以上何も言えなくなり、雪華は唇を噛み締めた。みるみるうちに視界がぼやけ、滲んでくる。
 そんな雪華を見下ろし、航悠は淡々と告げる。

「あー……。お前ら、後ろ向け。今すぐに」

「え? 後ろって、なんで――」

「いいからさっさとしろ。こっち見んな。ほら!」

「は、はいっ!」

「……お前はこっち」

「…っ!」

 答えたのは、梅林だったか飛路だったか。それすらももう分からなかった。
 限界だ――そう思った瞬間、背中が強く引き寄せられた。

 抱き込まれた腕の、確かな強さに。埃っぽい中にかすかに残る、嗅ぎ慣れた匂いに。熱を帯びた体と、そして――

「……雪華」

 誰よりも聞き慣れた、自分を呼ぶその声に。雪華の涙腺は決壊した。


「……っの、馬鹿…っ! 馬鹿、お前は大馬鹿だ……! お前みたいな馬鹿、見たことがない…!!」

「……ああ」

「阿呆ッ! お前なんか……お前、なんか…!」

「ああ。……悪い」

「謝るな…っ。お前に謝られたら、私は――」

 『私』は……どうすればいい。自分のせいで取り返しのつかない傷を負ったこの男に、自分は――

「……相変わらず面倒くせー女だな。怒ってみたり、謝るなって言ったり。……ほんと、しょうがねー奴」

「……っ」

 消えた語尾を引き継ぐように小さく苦笑すると、ポンと頭を撫でられた。そのままわしゃわしゃと髪を乱され、新たな雫がこぼれる。
 部下が見ている。……そんな意識は、とうに頭から抜け落ちていた。

「……ふ……、ッ……、……の、馬鹿…! 馬鹿!」

 固くしがみついた男の胸に、いくつもの染みができていく。あとからあとから涙はあふれ、泣き顔を隠すように胸に顔をうずめると、力強い腕が頭をかき抱いた。

「馬鹿…! 馬鹿者……っ!!」

「うん。……悪い」

「う……、っ……、……ッ……」

「いやー……、マジで今回は駄目かと思ったぜ」

「……っ……」

 ――違う。聞きたいのはそんな言葉じゃない。
 言ってほしい。ちゃんとここに帰ってきたのだと。自分のもとに戻ってきたのだと。

 声なき願いが伝わったのか、雪華をもう一度強く抱きすくめると耳元で航悠がささやいた。

「……ただいま」

「遅い…! …………おかえり……」

 首に腕を回し、抱きしめ返す。そうして雪華はようやく、不器用に笑うことができた。


『つかさ……オレら、すっげえ邪魔じゃね?』

『しーっ! 言うなよ梅猿。つーか、副長ってあんな風に泣くんだな。ありゃヤバいわ。ぐっと来る』

『不謹慎だよ、あんたら。……でも良かった。本当に、良かった……!』


 一部始終を見ていた部下たちの声も今は耳に入らない。
 暁の鷹は、約半月ぶりに柱をこの手に取り戻した。





 それから雪華たちは、帰還の一部始終を見守っていたらしいがん武官から一連の話を聞いた。
 航悠もなんとかその場に同席していたが、微熱が本格的な高熱になったため自室へと下がらせた。巌武官が去り、雪華は桶を手に航悠の部屋へと上がる。


「あの巌ってオッサン、帰ったのか」

「ああ。……また寄ると言っていた」

「そうか。……さっきの話の続きだがな」

 寝台に横たわった航悠が、瞳を閉じながらぽつぽつと話す。今まで見たことがないほどに痛めつけられた相棒の姿に胸を詰まらせながら、雪華はその言葉に聞き入る。

「直轄州を出てすぐに罠にかかってな。まずいと思って引き返そうとしたんだが、思ったより相手の数が多くて逃げ切れなかった。そんでとっつかまって、ボコられて……気付いたら、禁軍の奴らに助け出されてた。熱出してたからよく覚えてねぇが……手当てされてあのオッサンに州境で引き渡された」

「そうか。私たちも、今夜にはここを離れようと思ってたんだ。すれ違いにならなくて良かった」

 包帯を換えてやりながら、雪華は切れ切れな声を聞いていた。冷たい布を額に置くと、航悠はほっとしたように吐息を漏らす。

「航悠、いいからとりあえず休め。詳しい話は明日でも――」

「いや、大丈夫だ。痛みも落ち着いてきたしな。たぶん相当寝るから、今のうちに聞いとけ」

「…………。目は……大丈夫、なのか」

「ん、まぁ、それなりに」

 一番恐れていたことを問いかけると、航悠は少し口をつぐんでから残った右目を開けた。鳶色とびいろの瞳が雪華を捉え、安心させるように少し細められる。

「勢いでくり抜いてはみたものの、相手さんもビビったのか医者呼んできて縫合までしてくれたんだよ。手当てされなかったらかなりヤバかっただろうな」

「……っ」

「あんま想像すんなよ。途中で診てもらった軍医からも大丈夫だって太鼓判押されたしな。しばらくは不便だろうが、そのうち慣れんだろ。……髪切られるだけで済むと思ったんだがなぁ」

「……ハゲて帰ってくるかと思った」

「ひでえ」

 凄惨な拷問場面の想像を頭から追い出すように、あえて憎まれ口を叩くと小さく航悠が笑う。
 胸元の汗を拭いてやりながら、雪華は先日から気になっていたことを航悠に聞くか聞くまいか迷っていた。

「禁軍がぶっつぶした奴ら……そのうち陽連に移送されるんだってな」

「あ、ああ……。私が顔を見てもいいと言っていた」

 航悠の方から別の話題を振られ、少しぎくりとしながらも頷く。航悠は片眉を上げ、淡々と問いかける。

「会うつもりか?」

「当然だ。法のもとに裁かれるのは承知しているが……個人的には、殺しても殺したりない。せめて、恨み事の一つは言ってやらないと」

「繋がれてはいるが、一応用心しろよ。ま、奴らが表に出ることは一生ないだろうが」

 ざまあみろ、という顔で航悠が鼻を鳴らす。話が一区切りついたことを悟り、雪華は覚悟を決めると口を開いた。


「……今回の、任務……。皇帝…龍昇から、直接依頼を受けたと聞いた。お前は、その――。…………」

 ……駄目だ、言えない。喉の奥で言葉が詰まり、雪華は唇を噛み締める。
 今まで隠してきたことを明かしたら――この関係が、崩れてしまうかもしれない。

「…………。知ってたよ」

「……っ」

 だが、雪華の葛藤は航悠の声によって唐突に崩された。呆然と見下ろすと、航悠は表情も変えずに静かに続ける。

「知ってた。……俺には、だからどうしたって程度のもんだが」

「…………。いつから……」

「はじめから。……あの状況で出会って、少し考えりゃすぐに分かることだ。お前が言わないままなら、それでいいと思ってた」

 航悠は至極あっさりと、雪華の恐れていた真実を明らかにした。その顔は言葉通り『だからどうした』と言わんばかりのものだ。
 航悠にとっては、それはたしかに大した事実ではなかったのだろう。けれど――

「私は……ずっと、お前や皆を……」

「別に、だましてたことにはならないんじゃねーの? 皇女…朱香紗は、あの反乱で死んだ。俺は焼け跡で孤児を拾った。それだけのことだろ」

「でも……! でも、ずっと……。…………すまない……」

「なんで謝る。別に悪いことでも何でもねぇだろ。誰にだって話したくないことぐらい山程ある」

 雪華の謝罪を航悠は静かに拒絶した。それでも苦悩と後悔が消えない雪華に、航悠は眼差しを和らげる。

「それに、今さら皇女ですとか言われてもなあ。俺には組織の副頭目で、無愛想で、強がってるくせして実は結構もろい、ただの女にしか見えねぇよ。今回も、皇女を助けようと思って依頼を受けたんじゃない。うちの部下が狙われてるって聞いたから――」

「……っ……」

「……んだよ、泣くなよ。お前、そんな殊勝な性格じゃないだろうが」

「泣いてない。……お前の馬鹿さ加減に、呆れてるだけだ」

 また潤んできた視界ですんと鼻をすすると、航悠が声もなく笑った。目を閉じ、溜息混じりでつぶやく。

「はいはい、そうかよ。……あー、さすがに喉が渇いてきた。雪華、悪いが水くれよ」

「あ……ああ。ちょっと待ってろ」

 やはり少し無理をさせてしまったかもしれない。慌てて水を汲んでくると、横たわる男に器を差し出す。

「起きられるか? つらかったら、手伝――」

「あれ? 口移しで飲ませてくれるんじゃねーの?」

「……っ。馬鹿か……」

「はいはい、その反応予想通りすぎて笑え…る……。……雪華?」

「…………」

 軽口を軽口であしらおうとして、ふと考え込み――いつものその流れにあえて逆らった。
 起き上がろうとする航悠を押しとどめ、器に満たした水をあおる。邪魔な髪を肩に流すと、熱っぽい顔の横に腕をついた。

「……マジか」

 雪華は航悠に覆いかぶさると、熱い唇に自分のそれをゆっくりと重ねた。


「…………」

 舌を尖らせ、生ぬるい水を少しずつ流し込んでいく。
 航悠がむせないようにすべてを渡し終えると、舌の先を小さく吸われた。反撃に驚き、雪華はぱっと顔を離す。

「……おかわり」

「……っ、ちょっと待ってろ」

 真顔でそんなことを言われ、器に手を伸ばす。だがその動きを制止するように、下から熱っぽい声が響いた。

「水はもういい。……こっちだ」

「……っ! ん……っ」

 髪に手を差し込まれ――ぐいと引き寄せられた。潤った唇に唇を重ねられ、濡れた音が漏れる。

「……っん、ん――。……っ……」

「……なかなか、粋なことしてくれんじゃねーの」

 重なったのは一瞬で、ぺろりと表面を舐められ、息を吹きかけられた。雪華は再び航悠の顔の横に手をつくと、真下にある目を見つめ返す。

「……しろよ。もう一度」

「…………」

 その命令を、拒む理由は何もなかった。うなじが熱くなり、雪華はそっと視線を伏せる。

 低い声に導かれ、顔をゆっくりと下げていく。唇が重なり、小さく突き出した舌を絡め取られると、胸が詰まって何かたまらない気持ちになった。

「……っ……、は……、んっ……」

 熱を持った航悠の唇が、雪華のそれをゆっくりとついばむ。舌が雪華の口腔に侵入し、表面をすり合わせると甘い怖気おぞけが首から腰に走った。

 別れの前、強引に口付けられた時とは違う。
 緩く髪をまさぐる指の動きも、ゆったりと雪華を味わうような艶めかしい舌の動きも、何もかもが――互いに求めて、こうしているのだと強く伝えていた。

「……離れるな。まだ足りねぇ」

「……っ。ちょ……、苦し――。ん、ふ……」

 性急さはない。けれど決して淡白でもない。巧みなその動きに、情けないぐらいに翻弄される。

 上顎の裏をつつかれると、むずがゆい甘さを感じる。舌を絡めると、心得たように応えてくれる。
 息継ぎで離れても、引き寄せられるようにまた唇が重なった。もう片方の手で背中を抱かれ、布越しに互いの胸が密着する。

(……やばい……)

 安堵するのに――くらくらする。航悠の熱に当てられたのか、寝台についた手が熱く汗をかいていた。


 そうして何秒、何分、互いの唇を貪っていたのか。
 チュッと音を立てて、航悠がやんわりと顔を引き離す。雪華の後ろ髪を撫でると、男はうっすらと笑った。

「……お前、顔やべえぞ。……まずいな。止まんなくなりそうだから、ここでやめとくか」

「止まらないって……」

「や、さすがに俺も、今日は寝ないとやばい。続きはまた今度」

「……っ。……馬鹿」

 額に手を当てた航悠が、実に残念そうに嘆息する。
 ……たしかに、いい加減休んだ方がいいだろう。正直こんなことをしている場合ではなかった。

 いつの間にか落ちてしまった額の布を押し付けると、雪華は足早に出口へと向かう。妙な空気に当てられて、頬の火照ほてりが収まらない。

「熱が下がるまで、大人しく寝てろ。勝手に出歩いたら承知しないからな」

「そんな元気ねーよ。……おやすみ。朝食は粥にしてくれ。お前が作った以外のやつ」

「そうかそうか、そんなに私の手料理が食べたいか。楽しみにするがいい」

「へいへい」

 憎まれ口を最後に扉を閉める。廊下で熱い頬を押さえると、聞く者もいないのに呟いた。

「私も、寝るか……」


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

処理中です...