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第十九話
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ファーグナイン家 アルシュ=ヴィラの北方守護であるラルヴァ辺境伯である。
アルシュ=ヴィラにおいて四方を守護する辺境伯家の中で、ラルヴァ辺境伯は特に重要で、帝国の侵攻をことごとく退けたという歴史がある。
前にも言いましたが、辺境とは他国と隣接している場所であり、王都から遠い場所は普通に田舎と呼ぶでしょう。
この国は四方を他国に囲まれるような立地をしており、何時他国から攻められるか分からないのですが、それを防いでいるのが四方辺境伯家なのですわ。
それ故に王家としては離反を恐れ公爵待遇にしたり、王家から姫などを臣籍降下、もしくは降嫁、所謂姫を王籍でない男性に嫁がせるという事ですね。 をして結束を高めましたわ。
今の所裏切られた歴史はなく、帝国とは長年やり合っていますが、他の3つの国とは友好的な関係を築けております。
とはいえ、それが恒久的な物であるかと言えば残念ながらそうではないでしょう。
どこにでも、戦争をしたがるおバカさんというのはいるものですからね。
と言う訳で、前置きが長くなりましたが次の日はヴェントール様でした。
ヴェントール様は、薔薇の花束を抱えていらっいましして、登場にインパクトを与えてくれました。
まあ、ハルト王子もなにも持って来ていなかった訳ではありませんが、お茶菓子と花束どちらが心に残るかと言われれば、ねえ?
では、王子と同じ歓談室へ、と言う訳にはいきませんので、今回は庭園にご招待する事に。
ちなみに、その庭園に薔薇はありません。 ウチでは薔薇は栽培してないのですが、ヴェントール様はそれを知っていて薔薇を持って来たようですね。
やはり出来る男です。 開幕皮肉が飛んでくるかと思ってましたが、TPOは弁えていらっさるようです。 さすが大人の男性ですかね。
まあ、この世界の人にTPOとか言っても通じるかどう…… いやあの王妃がやらかしている可能性がありますね。
「ほう、これは見事な物だ。 我が家の庭園に勝るとも、というヤツだな。」
どうやら気に入っていただけたようです。
なんでも、ラルヴァ辺境伯家でも大きな庭園があるそうで、その一角に色とりどりの薔薇園があるそうですわ。
「まあ、帝国の人間に、花を愛でる優美さの欠片もない野蛮人よ。 と何代か前の当主が言われたらしいからな。 それからは芸術関連なんかにはうるさくなっただけだ。」
そんな事がありましたのね。
帝国とはとことん因縁が深いですわね。
庭園を一回りして、今は東屋でお茶を頂いております。
「ほう? これは嗅いだことのない香りだな? これは?」
ヴェントール様は紅茶を一口飲まれ、その香りが鼻に抜けるのを楽しまれてからそうお聞きになりました。
「これは南方の茶葉で、アセイル産の物ですわ。」
「ほう、これがか。 しっかりとした味わいの中に微かな酸味があって、香りは独特だがスッとする感覚が面白い。」
南方の蛮族ではありませんよ? その先の海洋国家である、イシュタレア王国は茶葉の一大産地でもあります。
海洋国家と言われておりますが、その土地のほとんどは山脈や斜面が多く、人の居住可能な土地がほぼ海辺に集中しているのが実情です。
茶葉は高低差の激しい土地での栽培が適しているらしく、それゆえに良い茶葉の産地となっています。
そしてその茶葉を、何世代も先をいっていると言われる造船技術で作られた船でもって各国に輸出しています。
これは山脈が多く、陸地での移動が困難であるがゆえの事でしたが、今では陸地よりも早く物を運べるという事でこれは大成功と言えるでしょう。
その中でアセイル産の茶葉は産出量がとても少なく、あまり出回らないのですが、今回偶然手に入ったのでお出ししてみました。
しばらくは、まったりとした空気の中、話は弾んでいきました。
私はショートケーキをいただきながら、そう言えばヴェントール様の皮肉をまだ聞いてないかも? などとぼんやり考えておりました所。
「今ヴァネッサ嬢が何を考えているか当ててやろうか?」
「はい?」
そう言ったヴェントール様は、皮肉げにニヤリと笑うと。
「コイツ今日は皮肉を言わないな? とでも思っていたんだろう? 私とて、招かれた家の者に皮肉を飛ばすほど愚かではないつもりだぞ?」
と言い、その後スッと顔を近づけて私の頬に指をやり、囁くように。
「もっとも皮肉を言って欲しいとヴァネッサ嬢が言うなら、やぶさかではないが、な?」
クリームが付いてたぞ? と言いながらペロリと自分の指をなめ……
インモラル担当おおおおおおおおおおおっ!?
忘れていたっ! コヤツはゲームにおいてインモラルが売りだった!
全年齢なのに、やたらきわどいシーンが多く一人18禁とか仇名があったんだった!
私が睨み付けると、そしらぬ顔で紅茶を飲み干しニヤリと笑われるヴェントール様でありました。
アルシュ=ヴィラにおいて四方を守護する辺境伯家の中で、ラルヴァ辺境伯は特に重要で、帝国の侵攻をことごとく退けたという歴史がある。
前にも言いましたが、辺境とは他国と隣接している場所であり、王都から遠い場所は普通に田舎と呼ぶでしょう。
この国は四方を他国に囲まれるような立地をしており、何時他国から攻められるか分からないのですが、それを防いでいるのが四方辺境伯家なのですわ。
それ故に王家としては離反を恐れ公爵待遇にしたり、王家から姫などを臣籍降下、もしくは降嫁、所謂姫を王籍でない男性に嫁がせるという事ですね。 をして結束を高めましたわ。
今の所裏切られた歴史はなく、帝国とは長年やり合っていますが、他の3つの国とは友好的な関係を築けております。
とはいえ、それが恒久的な物であるかと言えば残念ながらそうではないでしょう。
どこにでも、戦争をしたがるおバカさんというのはいるものですからね。
と言う訳で、前置きが長くなりましたが次の日はヴェントール様でした。
ヴェントール様は、薔薇の花束を抱えていらっいましして、登場にインパクトを与えてくれました。
まあ、ハルト王子もなにも持って来ていなかった訳ではありませんが、お茶菓子と花束どちらが心に残るかと言われれば、ねえ?
では、王子と同じ歓談室へ、と言う訳にはいきませんので、今回は庭園にご招待する事に。
ちなみに、その庭園に薔薇はありません。 ウチでは薔薇は栽培してないのですが、ヴェントール様はそれを知っていて薔薇を持って来たようですね。
やはり出来る男です。 開幕皮肉が飛んでくるかと思ってましたが、TPOは弁えていらっさるようです。 さすが大人の男性ですかね。
まあ、この世界の人にTPOとか言っても通じるかどう…… いやあの王妃がやらかしている可能性がありますね。
「ほう、これは見事な物だ。 我が家の庭園に勝るとも、というヤツだな。」
どうやら気に入っていただけたようです。
なんでも、ラルヴァ辺境伯家でも大きな庭園があるそうで、その一角に色とりどりの薔薇園があるそうですわ。
「まあ、帝国の人間に、花を愛でる優美さの欠片もない野蛮人よ。 と何代か前の当主が言われたらしいからな。 それからは芸術関連なんかにはうるさくなっただけだ。」
そんな事がありましたのね。
帝国とはとことん因縁が深いですわね。
庭園を一回りして、今は東屋でお茶を頂いております。
「ほう? これは嗅いだことのない香りだな? これは?」
ヴェントール様は紅茶を一口飲まれ、その香りが鼻に抜けるのを楽しまれてからそうお聞きになりました。
「これは南方の茶葉で、アセイル産の物ですわ。」
「ほう、これがか。 しっかりとした味わいの中に微かな酸味があって、香りは独特だがスッとする感覚が面白い。」
南方の蛮族ではありませんよ? その先の海洋国家である、イシュタレア王国は茶葉の一大産地でもあります。
海洋国家と言われておりますが、その土地のほとんどは山脈や斜面が多く、人の居住可能な土地がほぼ海辺に集中しているのが実情です。
茶葉は高低差の激しい土地での栽培が適しているらしく、それゆえに良い茶葉の産地となっています。
そしてその茶葉を、何世代も先をいっていると言われる造船技術で作られた船でもって各国に輸出しています。
これは山脈が多く、陸地での移動が困難であるがゆえの事でしたが、今では陸地よりも早く物を運べるという事でこれは大成功と言えるでしょう。
その中でアセイル産の茶葉は産出量がとても少なく、あまり出回らないのですが、今回偶然手に入ったのでお出ししてみました。
しばらくは、まったりとした空気の中、話は弾んでいきました。
私はショートケーキをいただきながら、そう言えばヴェントール様の皮肉をまだ聞いてないかも? などとぼんやり考えておりました所。
「今ヴァネッサ嬢が何を考えているか当ててやろうか?」
「はい?」
そう言ったヴェントール様は、皮肉げにニヤリと笑うと。
「コイツ今日は皮肉を言わないな? とでも思っていたんだろう? 私とて、招かれた家の者に皮肉を飛ばすほど愚かではないつもりだぞ?」
と言い、その後スッと顔を近づけて私の頬に指をやり、囁くように。
「もっとも皮肉を言って欲しいとヴァネッサ嬢が言うなら、やぶさかではないが、な?」
クリームが付いてたぞ? と言いながらペロリと自分の指をなめ……
インモラル担当おおおおおおおおおおおっ!?
忘れていたっ! コヤツはゲームにおいてインモラルが売りだった!
全年齢なのに、やたらきわどいシーンが多く一人18禁とか仇名があったんだった!
私が睨み付けると、そしらぬ顔で紅茶を飲み干しニヤリと笑われるヴェントール様でありました。
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