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31話 「下水道の戦い」

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…チュンチュン

すずめの鳴き声がする。ここはエルフの村。村の門にたくさんの人がいた。お見送りをしようとしたからだ

女王。チャイニー、その他兵士たちがとある人物を見送りしようとしていた。晴れてここを卒業するためだった

…風の人、コルス

コルスは恵たちの戦いぶりを見て感動。女王とチャイニーと話し合い、やがて自分も王国に行きたいと志願した

結局、コルスは恵たちの場所へ行くことに決めて、今日の朝王国へ行こうとした。このことは国にも報告している

どこか希望を持ったコルス。その表情はとても明るい。チャイニーも女王も、その他兵士も明るく見送ろうとしていた

「…女王様。チャイニーさん。アタシ、王国へ行きまっせ」

「コルス。貴女の風の力は血漿族も倒せる。恵たちと一緒に行動して、更に磨きをかけてください」

チャイニーは笑顔で言う。その笑顔でコルスは安心して行けそうだった

「コルス。どうか気をつけて。貴女が戻ってくるまで、私たちは血漿族に負けません」

女王は真面目な顔でコルスを見ていた

コルスはいつもの服装、リュックで大切なものを入れて背負っていた

「皆さん!お見送り、ありがとうございまっせ!では、アタシはもっと強くなって帰ってきまっす!一旦のお別れですぜ!」

そう言うとコルスは手を振りながら門から道へと行った。全員手を振ってコルスの旅立ちを願った

「…行ってしまいましたね。母上」

「ええ。大丈夫です。コルスなら強くなってここへ帰ります。一旦の別れです」

姿が見えなくなるまで、全員でコルスを見送った

コルスは道なりに進む。あまり遠くはない。それに王国も許可している。そのまま城へ行けばいいだろう

「へっへっへ…アタシの力が恵さんたちの力になれること…アタシ、ウキウキしてたまりませんっす…」

独り言を言いながらコルスは王国へと歩いていく



朝の部隊部屋

ここでは7人がセントの前にいた。今日は任務がある。前に言った下水道のことだった

「…確かに、これ、血漿族の地帯ね」

カメラで写してもらったものを見ると、よく見た地帯になってるものがあった

「下水道は汚いし道も大きくない。だが地帯となると何があるかわからない。キツイだろうが、よろしく頼む」

セントは軽くお辞儀する。恵のかける言葉はひとつだ

「大丈夫よ!血漿族の地帯を浄化するのが私の目的!だからみんな行きましょう!」

7人は恵の言葉がうなずいていた。セントは思ったが、本当に心強い味方だと思った

「あと、恵に付いて行きたいという人物がいるんだ」

? 誰だろう?そう思ってるとどこか見たことある人物がセントまで来た

「あ…貴女はウェナ!」

「よう。貴様らに付いて行きたいと志願したんだ」

冒険者ギルドにいたウェナがどうしてここに?恵がそう思ってるとリリアナが補足を言う

「実はあのギルドは王国の元で経営してるギルドなのよ。だから城へ来れるの」

へぇ。じゃあギルドからここへ来る冒険者もいるというわけか

「ウェナ。彼女は俺の剣よりも違う強さなんだ。えーと…なんて言ったっけ…何家だっけ」

「燕家だ。燕家舞踏術と言う。貴様忘れるな」

相変わらずこのウェナというのは上から目線だ

「わかったわ。よろしくねウェナ」

「血漿族なぞ切り裂いておこう。全員よろしくな」

ウェナと恵が言った

「あたしとしてはその言い方が嫌なのよね…」

杏はぽつりと聞こえない程度に言った



下水道への道はそう遠くない。城から地区の場所まで行けばいい

しかし今回が東地区から発生したので東地区の地下水道から行くことになる

兵士に連れられて下水道の扉まで行く。下水道の管理は基本的には王国がやる

ウェナを含めた8人で下水道の近くまで行く。兵士は扉を開いた

「恵様。どうかご武運を」

「任せてちょうだい!」

まるでダンジョンには入るかのように8人は下水道の階段を降りて行く

下水道の道まで下る。そこには真っ暗ではない、微かな光があった。しかしこれでは足元がおぼつかない

「真っ暗じゃないけど…これじゃあ困るわね」

「大丈夫よ恵。あたしが炎を出して明るくするから」

「私も!光で照らしてあげます」

ぼっ。炎が灯り、道が明るくなる。ぴかっ。光が満ち足りる。これなら足元も大丈夫だろう

「じゃあ杏、ロザリー、貴女たちは光担当でよろしくね」

戦えないわけでは無いが、こんな暗い道だ。光が無いと始まらない。8人は行く

8人は下水道を歩く。下水道というのならあまりにも汚い、変な匂いもする場所だ

「なんだか気持ち悪いよぉ」

リミットが弱音を吐いた

「大丈夫リミット?アタイもちょっと変な感じになってきたね」

「…来た!」

前にいたウェナは言う。その先には四足歩行のクリーチャーが出てきた。やはり血漿族がいた

「私に任せろ。燕家舞踏術の力を見せよう」

ウェナは少し呼吸を整えると構えをした。この構え…両手を曲げてポーズをした

「その構え…カマキリさん?」

リミットの言葉は聞こえてなかったのか、クリーチャーが突進してくる

「ぐああああ!!」

「燕家舞踏術…極殺爪蟷螂(ごくさつつめかまきり)!!」

びゅん!ずがっ!ウェナの手がクリーチャーに刺さる。いや、えぐると言っていいかもしれない

えぐったクリーチャーはすぐに終わる。あっという間に急所をえぐられて倒した

「そ、その構え、すごい!」

恵は今まで見たことない倒し方で驚いていた

「ふん。こんなものは序の口だ。行くぞ」

構えを解除したウェナはさっさと行く。あとを追う

しばらく歩くと広い場所へと到着した。ちょうど下水道の中心と言ったところか。そこには…

「あ!あったよ!地帯が!」

そこには地帯があった。光で照らされてわかる。その地帯にいた血漿族、クリーチャーが反応する

「がああああ!!」

「来るよ!」

「杏!ロザリー!貴女たちはそのまま照らして!」

暗いままじゃ戦闘にならない。恵の言葉で杏とロザリーはそのまま光を照らす

血漿族、クリーチャーは光に弱いことは十分に承知だ。照らした光でクリーチャーは動けなかった

「ぐ、ぐあああ」

「貴様らの悪事、許さん!」

ずぼっ!燕家のウェナがクリーチャーをえぐる

「行くわよ!」

どがん!恵の拳が相変わらず強く、クリーチャーはそのまま浄化

「気持ち悪いから止めてね!」

リミットが両手で拳を振るう。その力で浄化する

「雷よ!それ!」

さっきまで喋ってなかったサンダースは手から雷を放出。クリーチャーが食らってすぐに撃破

「アタイも負けられない!」

光でともしてカロフトは矢を放つ。クリーチャーの急所に当たりあっという間に浄化

「それええ!波動砲発射あああ!」

リリアナの波動砲の力は強力だ。クリーチャーは貫通してそのまま浄化する

「さあ、あとは地帯へ行くだけだ!」

恵、ウェナは地帯へ行く。するとそこのボスなのだろうか、大きいクリーチャーが登場する

「ぐるるる…」

それはミミズだった。ミミズのクリーチャーがここへ鎮座していた。あまりにも大きいクリーチャーであった

「ぐあああ!!」

いきなり襲う!その標的はウェナだった。構えをする直前に襲いかかった

しかし恵は即座に反応してクリーチャーの攻撃を止めた。ウェナは言う

「貴様!どうしてかばった!」

「何言ってるのよ!貴女だって私の大切な仲間なんだから!」

「な、仲間…」

ウェナは仲間という単語で反応する

だが、サンダース、カロフト、リリアナが既に雑魚を蹴散らしたのかミミズに向かって攻撃する

「気持ち悪いね!消えな!」

カロフトは胴体を狙って撃った。ミミズに矢が当たる

「雷よ!ゲテモノに鉄槌を!」

ミミズに向けて雷を放ち、大ダメージを与える

「とどめは私!波動砲、撃てー!」

リリアナの波動砲でスキを狙い、頭をぶっ放す。ミミズのクリーチャーはあっけなく沈んだ

「ありがとう!みんな!」

「お姉ちゃん!地帯の浄化を!」

リミットの言葉で恵は血漿族の地帯を浄化した

「はぁ!」

当たり一帯が一瞬だけ光が満ちた。こうして下水道の地帯は無くなった

「…ふぅ。下水道っていやね」

「それが…浄化の力か…」

ウェナがぽつりというと全員が近寄った

「お疲れ様です恵!」

「今日のあたしとロザリーは補助だったわね」

「そうですね」

杏とロザリーは顔を見合わせて言った

「恵。貴様は私を仲間と言ってくれた。…嬉しい。ありがとう」

「当然じゃない」

ウェナは何か思った事を言い、そして笑顔になった

「私は、貴様らの仲間だ。だから、これからも貴様らのことを仲間と言う」

「あれー?ウェナツンツンしてたのにデレちゃった?」

「う、うるさい!」

あはは…!下水道で勝利の笑い声が聞こえた


下水道の戦い

今日も恵たちは勝利した


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