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メインストーリーな話
お前を倒すのは
しおりを挟む遡ること4時間───。
プロメテウスの軍勢に強襲された拠点。しかし、プロフェッサーの読み通り、怪異はすでに別の場所への輸送を完了していた。アンリードの目的は、あくまでも怪異使いの足留め。それは両者すでに、手を読み合い済みであった。
先陣を切るは、一番槍の如く水砂刻は大地を駆け人形兵と対峙する。走り薙ぎ払いながら、その数をあっという間に減らしていくが、すぐに新しい人形兵が地面から沸き上がってくる。
「くそ。これじゃあ、キリがないぞ龍ちゃん」
「分かってるよ刻ちゃん。茅野先輩、刻ちゃんにバックアップを───」
「やってるわよ。もう手いっぱいッ!!はいこれ、辰上くん。人形達くらいなら、何とかわたし達でも相手出来るから」
光線銃を手渡し、自動で水砂刻への身体強化が行き届くようにプログラムを済ませた茅野は、辰上とともに後方支援に徹した。
真正面はこれで、プロメテウスを迎え討つ。ラットは全体の状況把握と指揮系統に徹し、ここでの時間稼ぎ後の脱出経路を算出する。すると、その背後に忍び寄る影三つ。槍を静かに構え、心臓を一突きで仕留めようと腰を引く。しかし、その胸前に剣が向けられた。
「おっと。悪いな、うちのネズミさんは暗くて静かな所が好きなんだよ。だから、殺るならあたしとやろうぜ?3人ともなぁ!!!!」
愛剣から放った雷切で一掃し、上部へ逃げていったフロンティアを追うディフィート。壁を蹴って駆け上がるなか、飛び越えたディフィートを後ろから追跡するフロンティアが、槍投げでディフィートを狙う。クルッと体勢を反転させ、槍を弾いた。
しかし、正面に居たフロンティアが再びガラ空きとなった背面を目掛けて、槍を突き出した。ディフィートの指鳴らしとともに壁が崩れ、中から飛び出してきた長剣に串刺しになり壁に打ち付けられた。
「追いかけっこは、趣味じゃねぇんだ。さっさと本気で来るんだな。アブノーマルの時みたいに、さ?」
「では、遠慮なく……」
「3番、二槍の構えへ。私は素手でいきます」
「2番、了解。1番に続き、対象の怪異使いを追い詰めます」
フロンティア同士でコミュニケーションを取り、終えると同時に走り出し陣形を組んでの攻撃に転じた。無駄な動きを極力割いたディフィートの回避を見て、双槍のフロンティアが動く。ディフィートも先程、串刺しにする奇襲を見せた愛棒の【終焉を刻む指針】と、愛剣【最後の審判・真】の二刀流に持ち替え、ガードする。
槍との鍔迫り合いを利用し、向かってくる槍を持たないフロンティアに向けて、秒針、分針、時針を射出し見事に命中させる。ターンを決めた後に、一つ槍のフロンティアに向かっていき、太腿に愛剣を突き刺し地面に深く沈めた。膝着くところを背中繋いに、追ってきたフロンティアと激突する。
「やりますね……。以前は手加減だったのですか?」
「はんッ!!テメェこそ、前に合った時よりも数段腕上げてるな。学習能力までダンチなのか、アンリードってのはっっ!!!!」
空中大車輪斬りで、フロンティアが槍を交差して作った防御を破壊し霞切りを決めるディフィート。しかし、斬られても再生しながら修復しかけている槍を刺すフロンティアから、すぐさま距離を取る。素手のフロンティアは、一度全身を融解させ針をすり抜けて走り出した。
そんなことを見逃しているディフィートではない。愛剣を吸い寄せて、雷切を巻き起こして地面を斬った。同時に、ラグナブラスターも放ち飛翔する。追ってくるフロンティア達に向けて、ドゥームズデイをブーメラン代わりに投げた。多少出来た時間を使い、刀身を割って秒針と分針を装填する。
エクスティレス・エクソーシアァァ──────ッッッ!!!!
蒼白い雷撃纏った一撃が、フロンティア達を襲う。
槍を投げて、直撃を退こうとするがディフィートの斬り込みが早かった。二体を簡単に貫き、地上に降り立ち前傾姿勢で走り迫って突き立てた愛棒で真正面から穿いた。
ディフィートの強力な一撃を受けても、再生し続けるフロンティア。人型になり、顔まで修復が済んだところにすぐ回し蹴りが入り吹き飛ぶ。そして、全員が槍一本に戻ったために吹き飛んだフロンティアの両脇から、突進する二体のフロンティアと衝突する。
「流石に、あたしも絶倫だけど。無限の体力持ちが相手となると、体に応えるな。んで?それで勝つつもりか?」
「ええ。貴公の動きもすでに見切りました。これで、私たちが伝説となる計画。その邪魔立てをする者の中に、私を止めることの出来る。いいえ、私を倒すことの出来る者などおりませんね」
「助太刀致しますっ!!」
二体のフロンティアに続き、再起したフロンティアが真っ直ぐディフィートに向かってくるのを、小刀が遮り押し返した。動じたフロンティア二体も、ディフィートに斬られてキックとパンチを喰らって、同じ場所に引き下がった。
「ヒマワリちゃん。助けてくれなくても、あたしなら大丈夫だったのによ♪」
「そうでしたか?割りと、限界ギリギリって顔していらっしゃいましたよ?急いで駆け付けたのですから、早く龍生様と合流したいです……」
「へっ。もうオトシゴちゃんの心配かよ♪なんなら、先にそっち行ったっていいんだぜ?」
お互いに会話をしつつ、向かってくるフロンティアを捌く。
駆け付けた麗由は、空間から薙刀を取り出し槍と同じリーチでの戦いに持ち込んだ。すると、フロンティア達はアクロバティックな動作で距離を取りながら、フロンティア一体に重なり槍に黄昏色の力を込めて大地を蹴り上げた。
以前、ディフィートに向けた一撃をまたしても放とうとしていた。ディフィートもまた、ドゥームズデイ・リバイブで迎え討つ準備をする。しかし、フロンティアの臨界点は早かった。
闘争の果て、導く勝利の栄光ッッ!!!!
まだ、愛剣に力も込めていないディフィート。その前にメイドが立ちはだかる。そして、迫り来る黄金の巨槍に向かって薙刀の切っ先を差し向け、内に秘めたる怪異【太陽神の姫子】の力を解放した一撃を放った。
清浄の調べを持つ黒点ッッ!!
黄金の翼が漆黒の外見を纏い、槍を喰らい進む。
やがて、フロンティアの一撃を完全に相殺し、互いに砕け散った大業。麗由の肩に手をかけて飛び上がるディフィートの、剣技がフロンティアを抜き去る。傷口を閉ざしたフロンティアは後ろを振り返る。
殺気を隠す気のない眼光を向けた、ディフィートの追撃で地面に叩きつけられるフロンティアは、勢いを受け流しきれずに天に向かって足を伸ばし切った状態で地面に埋もれた。
ここまで、攻撃を立て続けに喰らってもなお、平然と起き上がり骨を鳴らすようにズレたパーツをはめ直して、槍を構えるアンリードとしての恐るべき再生力。
「2人がかりでも、私を殺しきれませんか。勿論、無理はありません。我らアンリードは死を持たぬ存在ですから────ッ!?」
「ん?」
「何か様子が?」
毅然とした態度で喋っていたフロンティアが、突然として目を見開いて固まった。一瞬であったが、すぐに動きを再開して槍構え直す。しかし、戦闘態勢を解き下を見下ろした。プロメテウスの軍勢が撤退していく様子が確認され、ここでの役目を果たしたことを察したフロンティア。
即座に立ち去ろうとすると、ディフィートが呼び止めてきた。久遠の計画を遂行し、自分達は伝説になると言っていたことに対して、否定した一言を放った。
「伝説ってのはな……、後に誰かが語り継ぐところから始まるんだ。テメェらがやろうとしていることは、彼岸叶ったって、逸話にすらならない────ただの自己満足だぜ」
返す言葉が出ないフロンティア。
それもそのはず。彼女にとって、この行動は────、《旧生態滅除新星計画》は達成されるべきタスクでしかなく、自分の意思で成しえている得ているものではないからだ。
どれだけ綺麗事に飾っても、所詮は自分を倒す事の出来ない弱者の戯言だと反論するフロンティア。その言葉への回答を用意していたかのように、声色を変えることなく言葉を紡いでいた。
「現れるぜ。お前に死ってやつをくれてやる存在は。お前を倒すのはあたしじゃない。次にお前のもとに現れるあたしらの仲間さ」
「そうですか。貴公よりも強い者は居ないと思いますが……、期待はしておきましょう」
これ以上の会話は不毛だと判断したフロンティアは、踵を返して深い闇の中へと飛び去って行った。
アンリード達の撤退を確認して、辰上達と合流する。しかし、休息の間もなくラットが叫び声を上げた。一同は急いで、ラットの居る司令室に向かうと、血相変えてモニターを指さしていた。そこには、ラットの母親である虎狼からのメッセージが映されていた。
「オカン、毎度あんさんは危機的状況持ち込むのお家芸だっちゅうにっ!!こりゃあ、洒落にならへんで?」
それは、久遠は人質を取っている可能性があるというものであった。
目的は定かではないが、怪異との接触がない。つまりは、浸食を受けていない人間ばかりが集められているというのだ。これで、下手に攻撃を仕掛けることが出来なくなったために、軍や政府の秘密組織は一切の干渉を避け、早急に噂観測課で対策チームを立てて対処に当たるよう命令が来たのであった。
元を正せば、人怪調和監査局がアンリードに素体提供したから、こんなことになったと不満を漏らすラットであったが、同時に緊急通信が届いた。暗号式のメッセージを回答すると、差出人は鳴堕 暁咲と書かれていた。
────────────────
■アンリードのベースとなった人間とその関係性■
概要:中身を要約すると、生前の記憶を思い出すとアンリードは無力化する。
────────────────
自動送信されてきた内容を見て、一同は事前に約束していた合流ポイントへと移動するのであった。
「暁咲ッ!?どうなってんだ?更に傷だらけじゃないか!?」
「完治していないのを隠していたんですよ、これ。それなのに、分裂して配置されていたフロンティアなんかと戦闘したみたいなんだな……これ」
呼吸を着けられて、血まみれの暁咲は集中治療室に運ばれた。暁咲の意識が回復するまで、全員は暁咲が命懸けで送り届けてくれた情報を確認しつつ、各々も負傷した箇所の手当てや回復に努めるのであった。
久遠の計画決行まで、───残り12日。
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