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クロスオーバーな話〜意味ない × トライワイト篇〜
ディフィート ╳ 『修羅場』
しおりを挟むボックスカルバートが置き貯められた、工場地に呼び出されたディフィート。
怪異調査であれば、どれほどよかったことだろうか。現地に到着して早々に、火花を散らして激突していた。
「アンタやるわね!」
「お前もなっ!今度はどんな飛んでも異次元人がきたのやらだぜ」
巨大バサミを動刃と静刃に分かれた状態のまま、双剣にして扱うスレンダースタイルの少女とディフィートは戦闘を繰り広げていた。
前傾姿勢になり、その身の丈では持ち上げているのがやっとであろうハサミを突き立てる。ネジが着いていない触点を重ねて、カッティングしようとする少女。ディフィートは避けることなく、愛剣ドゥームズデイで受け止めて脚で踏ん張り耐える。
数メートル後退り、少女の進撃の勢いを完全に制する。ふと、懐からタグネックレスのチェーンに繋がれた絵馬が二人の前に躍り出た。
「アキャキャキャッ♪アチシを従える資格があるかしら?」
「どうだろうな!ヒステリック、お前の全力を見せてからにしてもらおうかっ!!」
「なっ、なにそれッ!!??」
絶対強者の微笑みを向けた途端、ディフィートの足場から磁気嵐の如く紫の雷切が放たれた。その雷切は明確に少女を襲っていた。ハサミの避雷針代わり、直撃を避けてバク転で距離を取る。
立て直している少女目掛けて、追撃に向かうディフィート。その走り迫る脳天に矢先が向けられている。
新たな武装として、弓矢を携えて反撃に出る少女は絵馬に記されている名前を口にしながら一矢を射抜いた。
「アチシの名前は『修羅場』だよんッ♪ヒステリックって、アチシのこと────バカにすんなッ!!オラァァァ!!!!」
「へっ!?そうやって豹変すんだから、間違っちゃいねぇだろ?」
箒で埃を振り払うように容易く矢を斬り落とすディフィート。
電脳の衝撃を走らせて、自動装填される矢を次々と発射する『修羅場』。次第にその手に持つ武器が、ガトリング砲へと変形していった。そして、『修羅場』は文字主の供給なしに文字版の必殺技であるワードライブを解放した。
オーバーヒート寸前まで超速回転するリボルバーから、ウィィィィンと機械音を奏でながらディフィートを蜂の巣にする鉛玉とスコールを浴びせた。
━━ ワードライブ、色恋沙汰な乙女の一斉放射 ━━
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!
「よっと、……あーよっと♪」
「うっ!?嘘でしょ!?」
通常なら人間は疎か、文字版でもそう簡単に捌き切れるものではない弾丸の雨霰。
それをディフィートは、愛剣一本と纏った雷切だけですべて撃ち落としてしまったのだ。これには自信があった『修羅場』も、世界の終わりを見たような顔で驚嘆していた。
残弾すらなくなったマシンガンが、冷却に入る音が煙とともに聞こえてきたところで肩に愛剣を担いだまま、『修羅場』の前に立ちはだかるディフィート。だが、戦意を失った訳ではなかった。
ディフィートが勝ちを確信して、気が緩んだことを表情から読み取った『修羅場』は口角が張り裂けるほど突き上げて、指を鳴らして戦闘中に手放したハサミを手元へ呼び寄せた。
もちろん、その軌道上にディフィートが立っている。ブーメランのように回転して向かってくるハサミに切り刻まれれば、いくらディフィートでも命を落としかねないだろう。
もとより『修羅場』は、このWORDに参加するつもりなどなかった。ルールなら、召喚された時点で頭に入ってきている。であれば失格条件を満たして不参加となり、さっさと退去することが一番理にかなってる。
しかし、『修羅場』のそんな目論みは泡と消えることになった。
「おっ♪お前も出来るんだな、それ♪」
「う……へぇ…………」
ディフィートの背面抉る勢いで向かってきていたハサミ。
その双剣が描く軌道上に割り込んできた長剣。ラグナロッカーが地面に刺さるよう、主を狙う『修羅場』のハサミを叩きつけて杭打ったのだ。
これには、ランク特Aにもなる『修羅場』もお手上げとホールドアップして降参するしかなかった。かつてないほど、文字主側にとてつもない戦闘力が備わっていることを思い知った瞬間である。
やがて、お互いの実力を知ったことで契約を果たしWORDの概要について、次いでに今回のルールの変わりようと他の参加者とのバトルシステムをディフィートへ説明するのであった。
疑問を持つことになったのは、『修羅場』がディフィートの深層意識にも理想にもピンとこないことのようだ。眉間に皺を寄せて『修羅場』の容姿、その全容を舐め回すように見つめる。
胸をくっつけて自分の方が大きいことを確かめ、身長もこちらが上であることも確認するまでもなく歴然。いつも頭の中で考えている理想は、総司と再婚し甘々ラブラブな毎日であるディフィート。そこには二人の間に授かった子どもも、もちろん含まれている。
「いや、でもこんな見るからに地雷って感じじゃねんだよな……それにお前、そんな派手に露出して恥ずかしくないのか?」
確かに『修羅場』の格好は、部屋で過ごす最低限の服。もしくは、ジムで身体との接地面積を減らすために着る軽装程度の服しか身に着けていない。
しかしこれには、ディフィートだって人のことは言えない格好をしているだろうと睨みつけた。控えめに言って、ディフィートは『修羅場』のそれにファー付きコートを羽織らせただけでほとんど変わりはなく、むしろ肩出しスタイルでだらしなく着ていることで印象は悪い。
結局、分からずのまま一先ずは他の参加者を探すためにこの場から動く事にするディフィートと『修羅場』。ふと、此処へ呼び出されたのが匿名の依頼であったことうぃ思い返すディフィート。
「そういや、これもそいつから送られてきたんだっけか?」
「え、なになに?もしかして、アチシの本当の文字主って他にいる感じ?だったら、契約したの不味いかも?」
「今更遅せぇだろ?とにかく、あたしの別宅に行くぞ。噂観測課ってあたしの所属している職場にも参加者は居るかもしれねぇ。腹探るのに、こっちが身を隠すも何の対策もなしにって訳にはいかねぇだろ」
見かけによらず、頭が切れるとディフィートを褒める『修羅場』。
ヘルメットを着けて、ディフィートの乗るバイクの後部座席に腰掛け腕を腹部に回した。そのまま、戦地を経とうしたその時ディフィートの脚が地面に再び着いた。
そして、回収班に怪異ではなく例の次元の穴から出てきた生命体と戦闘になったが、閉じた次元の穴に対象は消えたと嘘をつき事後処理の手配を済ませてからその場を去るのであった。
やがて、別宅へ到着したディフィートはWORDというデスゲームに参加する以上は、一番になると気合を入れて作戦会議を行なう。その手には酒缶が握られていた。
そのうち一つを『修羅場』に渡し、乾杯をしながら明日からの戦術について意見を交換し合うのであった。
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