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クロスオーバーな話〜意味ない × トライワイト篇〜
日天文 水砂刻 ╳ 『???』
しおりを挟む絵馬を拾った。
額には『小宇宙』と彫られている。
「なるほど、大体は分かった。敵には龍ちゃんや噂観測課の面々がいるってことも……しっかし、暁咲のやつはどこに行ったんだか……」
「むむっ?では貴殿の《願い事》はその愛する者との再会にするのか?」
「いや、そんな小さいものに使いたくはないんだが……」
絵馬の拾い主。すなわち、『小宇宙』の文字主となったのは日天文 水砂刻だ。彼もまたWORDの参加者に選ばれたのである。
きっかけは三日前から姿を眩している暁咲を探しに、辺りを捜索していることから始まった。探偵稼業という形で、暁咲と水砂刻はともに生活していた。
その間も暁咲は、水砂刻を通常の人間に戻すための研究を続けており、怪異と人間の関連性や発生パターンを調べることが探偵稼業として活動する方が、色々と都合がいいということで始めた生活。
ところが暁咲の研究への探究心は計り知れないものがあり、大好きな水砂刻のためとはいえ度が過ぎれていることにも手にかける節があった。水砂刻はその一線だけは越えさせないように保護対象として、近場に置いておく利にもかなっていたのだ。
そんな暁咲の行方不明の最中、舞い込んできた依頼があった。それは絵馬を探して欲しいという依頼で、尋ねてきたツインテールの奇抜なカラーリングの女の子に目を奪われながらも、依頼を断って飛び出してきた。
それなのに、その依頼の絵馬と思しきものを拾ったことで『小宇宙』を召喚してしまい現在に至る。
「おっ?見つけてくれましたか♪って、なぁ~んだ。アナタ様が今回のWORD参加者だったのですね!『十八番』ビックリですよ」
「お届け役の『十八番』ちゃんじゃないか。もう安心だ、水砂刻公はすでにルールまで理解している。後は参加者との決投を行い、雌雄を決するのみである」
「よく分からんが、暁咲を見つけるついでだ参加してやるよ」
水砂刻は絵馬を翳し、『小宇宙』を収納して腰に紐を掛ける。
この時から水砂刻は薄々予感していた。このWORD───、いや事件には暁咲が絡んでしまっているということに───。
初日から会敵した参加者同士の戦い。開幕した戦闘の様子を近くの電波塔から、道中で獲得したステルス化のアイテムを使用して観ていた水砂刻達。戦闘している相手は────、
「龍ちゃんに似てる人……あいや、あれも文字版なのか?と一緒にいるのは、龍ちゃんの彼女さん!?」
「メイドのお嬢さんが連れているのは『九頭龍』か。あれは一筋縄ではいかん相手だ。最もその相手となっているカードも同様に対策が必要そうではあるが……」
「あんな女子高生ペアが?いや、待てよ?あの覆面のギャル……、怪異の匂いがする……?それもかなり上級の……」
「女子高生に見える文字版の名は『絶好調』。ただ、テンションの高い女子高生だと思ってかかると手酷い目に遭うぞ」
そう言ってゴーグルを外す『小宇宙』。これは『小宇宙』が持つスキルの一つ【宇宙からの観測】による能力把握ができるスキルである。
しかし、これは文字版としてのランクに定義されているものに限って適応出来るスキルである。今ゴーグルで覗いた『九頭龍』はランクS+、『絶好調』はC+で確定している文字版であるため、ゴーグルである程度の強さを計測できるのだ。
「なっ!?こ、これは────」
「始まったようだな……」
起き上がったと同時に、戦闘の局面が変わった。水砂刻はこれから始める戦いが、まったくもって未知数のものであることを思い知った瞬間である。
その後も激戦化していく両者の戦い。しかし、そのすべてを観る前にステルス化の効果切れが迫ってきたため、その場から去るのであった。
そして、対戦時間の二日目。
水砂刻と『小宇宙』が向かったバザール。その近くで気配を察知した『小宇宙』、遅れて水砂刻も察知して背中合わせになる二人。これだけの人混みに紛れて戦闘を仕掛けてくるのであれば、相手は間違いなく暗殺系のスキルを持つ文字版。
少なくとも水砂刻はそう思っていた。『小宇宙』はゴーグルを着けて、サーチモードに切り替えて周囲から検知出来るトライワイトエナジーの残留粒子から、大凡のランクを割り出すために【宇宙からの観測】を発動させた。
「おいおいマジかよ」
「どうした『小宇宙』?」
「貴殿にそう言って貰えて嬉しいね。だけど、文字主……コイツはちとヤバい匂いがしてきた」
身命な声になってゴーグルを外した『小宇宙』は、後ろにいる水砂刻の方へ目をやりながら口を恐る恐る開いた。
水砂刻もその言葉を聞き戦慄していた。自身の耳すら疑った。何故なら、それは────、
「測定不能の文字版が初陣になりそうだぜ……」
ただ一言。『小宇宙』のその言葉が二人をより緊張感に包むこととなった。
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