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第一章 暴虐皇子のやり直し開始
第40話 暴虐皇子は、水をくれた少女の母親に御礼する
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流血沙汰になり、このままでは収拾がつかないと判断した俺は治安局にクズ兵長の始末を任せた。
しかし、近隣の住人たちもだが、サラの母親であるメラも治安局が介入してきたことも含め、ひどく動揺している様子だった。
(やはり、軽率だったか・・・)
メラの家の軒先でペンダントを握りしめ、先ほどの自分の行動を後悔してると、
「アーサー様、ようやく落ち着きましたのでお話できるかと――」
「あぁリリス、手間をかけた」
家の中から俺を呼びに来たリリスに礼を言い、再びあばら家の中に……
外で待ってる間にメラとリリスが片付けてくれたのか、メチャメチャになってしまった家具や食器類がある程度片付き、飛び散ったクズ兵長の血も綺麗に拭き取られていた。
床には身なりを直したメラが、土下座した状態で床に頭を付けて待っていた。
(おいリリス・・・)
(私も申したのですが、本人がどうしても・・・と)
はぁ――――
溜息をつき、土下座するメラの前に用意されたみすぼらしい椅子に腰をかける
「よい、面をあげよ」
「はっ」
顔を上げたメラは確かに先ほどまでとは違い、落ち着きを取り戻しているように見えた。
「先ほどの我らに対する不敬な言動も、お忍びとは言え俺が勝手にお前の家に押し入ったのが原因だ、陳謝する必要はない」
「・・・はっ、皇太子殿下の御慈悲に感謝いたします」
再びメラは俺と隣に立つリリスに向け頭を下げる・・・
(おいおい・・・)
助けを求めリリスに視線を向けるが、リリスは苦笑し首を横に振る。
「いや、謝罪するのはむしろ俺たちだ・・・サラから聞いた、お前の旦那が戦死した際に受け取った見舞金、我が帝国内部の悪しき慣例によって天引きされていた・・・と」
「・・・・・」
メラは何も答えず頭を下げたまま僅かに両肩を震えさせている
「お前の旦那が戦死したことには同情を禁じ得ないが、そのことを皇太子として詫びる気はない」
「だが、帝国法によって徴兵されたお前の旦那が戦死したのに、その帝国法で定められた見舞金が正しく支払われていないことは我が帝国の罪だ、そのことについては謝罪させてほしい」
「本当にすまなかった!」
俺は椅子から立ち上がると、メラに向け深々と頭を下げた
「!?で、殿下おやめください、他の者もみております!」
メラの言う通りあばら家の入口や窓から大勢の野次馬の目が、一連の俺たちのやりとりを息をのんで見ていた。
「構わぬ、これはアーサー=ヴァルハラとしての正式な謝罪だ・・・おい!そこの治安局員!!」
「はっ!!」
野次馬を掻き分け、あばら家の中に入ってきた先ほどの治安局員は床に膝をつき頭を下げる
「今のメラに対する謝罪を、帝国皇太子としての正式記録として記載するように・・・史書官へ伝えておけ」
「はっ!ただちに!」
治安局員は敬礼し足早に退出していった・・・
「あと、メラ・・・これを」
俺はメラの手をとり、何かを握らせる
「?・・・・!?い、いけませんこのような!」
メラの掌の上には白金貨3枚が握られていた。
「いや、受けとってもらうぞ、これはお前の旦那の戦死に対する正当な見舞金と・・・」
「俺の乾いた喉と心を潤してくれた、お前の娘に対する謝礼だ」
「拒絶することはゆるさん」
メラもリリスも目を剥いて驚き言葉が出ないようだ・・・野次馬たちも同じく言葉を失っている――
「あと・・・お前に尋ねたいことがあってな・・・これだ」
唖然としている、メラの目の前に例の古びたコインのついたペンダントをぶら下げる
「これは・・・確か私が野菜を頂いたお礼にと・・・」
「そうだ、それが巡り巡って俺の手元に収まったのだ、メラ教えてくれ・・・このペンダントはどこで手に入れた?誰から譲られた?」
「・・・それは、数年間に夫が戦死したと聞かされ途方にくれていた時に・・・」
『あの時、この前、いやもっと以前――過去に後悔した運命の選択を、もう一度やり直したい・・・そう思った事はないか?』
「―――そんな事を見知らぬ老婆に言われ、当時、精神的に弱っていた私は藁にもすがる思いで、そのペンダントを受け取りました」
「!?そ、その老婆は!?」
メラは申し訳なさそうに首を横に振る
「申し訳ございません、当時の私どもはナニーワに住んでおりましたので・・・」
掴みかけた手掛かりが、するりと手から抜け落ちる―――
――だが一つだけハッキリした事がある
2周目となるこの世界にも、あの怪しい老婆は実在するということが・・・
しかし、近隣の住人たちもだが、サラの母親であるメラも治安局が介入してきたことも含め、ひどく動揺している様子だった。
(やはり、軽率だったか・・・)
メラの家の軒先でペンダントを握りしめ、先ほどの自分の行動を後悔してると、
「アーサー様、ようやく落ち着きましたのでお話できるかと――」
「あぁリリス、手間をかけた」
家の中から俺を呼びに来たリリスに礼を言い、再びあばら家の中に……
外で待ってる間にメラとリリスが片付けてくれたのか、メチャメチャになってしまった家具や食器類がある程度片付き、飛び散ったクズ兵長の血も綺麗に拭き取られていた。
床には身なりを直したメラが、土下座した状態で床に頭を付けて待っていた。
(おいリリス・・・)
(私も申したのですが、本人がどうしても・・・と)
はぁ――――
溜息をつき、土下座するメラの前に用意されたみすぼらしい椅子に腰をかける
「よい、面をあげよ」
「はっ」
顔を上げたメラは確かに先ほどまでとは違い、落ち着きを取り戻しているように見えた。
「先ほどの我らに対する不敬な言動も、お忍びとは言え俺が勝手にお前の家に押し入ったのが原因だ、陳謝する必要はない」
「・・・はっ、皇太子殿下の御慈悲に感謝いたします」
再びメラは俺と隣に立つリリスに向け頭を下げる・・・
(おいおい・・・)
助けを求めリリスに視線を向けるが、リリスは苦笑し首を横に振る。
「いや、謝罪するのはむしろ俺たちだ・・・サラから聞いた、お前の旦那が戦死した際に受け取った見舞金、我が帝国内部の悪しき慣例によって天引きされていた・・・と」
「・・・・・」
メラは何も答えず頭を下げたまま僅かに両肩を震えさせている
「お前の旦那が戦死したことには同情を禁じ得ないが、そのことを皇太子として詫びる気はない」
「だが、帝国法によって徴兵されたお前の旦那が戦死したのに、その帝国法で定められた見舞金が正しく支払われていないことは我が帝国の罪だ、そのことについては謝罪させてほしい」
「本当にすまなかった!」
俺は椅子から立ち上がると、メラに向け深々と頭を下げた
「!?で、殿下おやめください、他の者もみております!」
メラの言う通りあばら家の入口や窓から大勢の野次馬の目が、一連の俺たちのやりとりを息をのんで見ていた。
「構わぬ、これはアーサー=ヴァルハラとしての正式な謝罪だ・・・おい!そこの治安局員!!」
「はっ!!」
野次馬を掻き分け、あばら家の中に入ってきた先ほどの治安局員は床に膝をつき頭を下げる
「今のメラに対する謝罪を、帝国皇太子としての正式記録として記載するように・・・史書官へ伝えておけ」
「はっ!ただちに!」
治安局員は敬礼し足早に退出していった・・・
「あと、メラ・・・これを」
俺はメラの手をとり、何かを握らせる
「?・・・・!?い、いけませんこのような!」
メラの掌の上には白金貨3枚が握られていた。
「いや、受けとってもらうぞ、これはお前の旦那の戦死に対する正当な見舞金と・・・」
「俺の乾いた喉と心を潤してくれた、お前の娘に対する謝礼だ」
「拒絶することはゆるさん」
メラもリリスも目を剥いて驚き言葉が出ないようだ・・・野次馬たちも同じく言葉を失っている――
「あと・・・お前に尋ねたいことがあってな・・・これだ」
唖然としている、メラの目の前に例の古びたコインのついたペンダントをぶら下げる
「これは・・・確か私が野菜を頂いたお礼にと・・・」
「そうだ、それが巡り巡って俺の手元に収まったのだ、メラ教えてくれ・・・このペンダントはどこで手に入れた?誰から譲られた?」
「・・・それは、数年間に夫が戦死したと聞かされ途方にくれていた時に・・・」
『あの時、この前、いやもっと以前――過去に後悔した運命の選択を、もう一度やり直したい・・・そう思った事はないか?』
「―――そんな事を見知らぬ老婆に言われ、当時、精神的に弱っていた私は藁にもすがる思いで、そのペンダントを受け取りました」
「!?そ、その老婆は!?」
メラは申し訳なさそうに首を横に振る
「申し訳ございません、当時の私どもはナニーワに住んでおりましたので・・・」
掴みかけた手掛かりが、するりと手から抜け落ちる―――
――だが一つだけハッキリした事がある
2周目となるこの世界にも、あの怪しい老婆は実在するということが・・・
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