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二章 後輩冒険者

勇者達の復讐

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話し合いも終えて、現在テントの中、いつもはもっとべったりしているフーロがなぜかテントの隅で体育座りしていて、代わりになぜかミロが帰らずに俺の胡座の上に座っている。

「ミロ今日は帰らないのか?それとも魔力が片道しか足りなかったのか?」 
「まぁそれもありますけど、ご主人様に渡したいものがございまして。」
俺の上から降りてこちらに向き直り魔法陣が刺繍されたワッペンを取り出す。
「こちらはレイカが作った、魔導具になります。転移の魔法陣が刻まれていて、これを使えば一瞬で指定してある、お家の前まで転移してくれます。レイカの初めての作品なのでご主人様に渡して欲しいと頼まれました。」
クリスティーナに教わって作ったのだろう。初めて作ったと思えないほど完璧にできている。
しかも魔力もフルで充電してあるのですぐ使える。

「ありがとう、レイカにもよくできていると伝えてくれ。最近そちらはどう言った感じなんだ?」
気になったので近況を聞いてみることにした。
「それはもう色々ありました。クリスティーナさんがものすごく強かったことや、ウィザ様が魔法を教えてくださったことなど。少し長くなりますが聞きますか?」少し興奮気味にミロが言う。色々世話してもらったのだろう。
ミロは最近の事を生き生きと話し始めた。




ミロ視点

それはご主人様が出発して2日目のことです。
私がレイカをクリスティーナさんのところに送って行った時に、お店の前で待ち構えている人がいました。
返り討ちにあった勇者達です。顔がわかった瞬間に引き返そうとしたんですけど後ろからも奴の仲間が来て3人の男の人に囲まれて路地に押し込まれてしまいました。

「よぉ、あの時はよくも殺してくれたなぁ?しっかりとお礼をしに来たゼェ?」
確かにこの人達はご主人様達が殺しました。
どうして生きているのかわからず私は困惑してます。
「死んだならなんでここにいるんですか!それとこの子が怖がってるのでこれ以上近づかないでください!」
 後ろにいるレイカは、勇者達を知らない。只々怯えて私のスカートにしがみついています。
この状態だと重力負荷を使っても空間跳躍を使っても妨害されたら、レイカに被害が及ぶかもしれないので私は下手に動けず様子を見ます。
「後ろの子の怯えてる姿とかめっちゃそそるんだけど。なぁやっちまっていいよな?」
勇者の1人がレイカに手を伸ばしてきます。
私は仕方なく月海神殿の重力操作で勇者達に重力をかけました。
「ぐぉ」勇者達が跪きましたが、やはり空間跳躍ほど訓練をしていないので威力不足だったらしく、徐々に立ち上がってきます。
「こんなんで俺らを止めらると思うなよ!」
こんなところで空間跳躍の練習を優先してたことが悔やまれます。
私は館に空間跳躍考えました。でもこの至近距離だとみんな連れてきちゃうかもしれないですし、もしそうなったらアリス達にも迷惑をかけてしまうかもしれないと思い止まりました。
そこでレイカが誰かにフェロモンを送っていることに気づきます。
レイカなりにこの状況を打破しようとしているようです。
レイカに意識を向けていると、うっかり勇者の接近を許してしまいました。
目の前の勇者を対応しようとして集中が途切れ他の2人の負荷も解けてしまいました。
勇者達が完璧立ち上がり、私を掴み壁に押さえつけます。
力の差がありすぎて、振りほどけません。
街の中で使用人ごときが武器を携帯すると訝しい目を向けられるので今は持ってません。

私を壁に押し付けた勇者が匂いを嗅いできます。
「やっぱ、いい匂いがするなぁ、おいこら逃げんなよ、こないだお前のご主人様がした事に責任取れってんだよ!」
「汚ないです離れてください。あとこないだのは、あなた達の自業自得ですよね?」
「は?奴隷が口答えするんじゃねえよ」
そこで勇者は私の下腹部に拳を1発も入れてきました。
「うぅ」耐えられない痛みではないのですが、生理だった事や急に殴られたことで思わず声が出てしまいます。
「ほら、いてぇよなぁ?ここは赤ちゃん作る大事な所だもんなぁ」勇者がゲスい事言ってますが私の意識は後ろでも恐怖で動けなくなったレイカに手を出そうとして近づいている勇者を捉えます。
レイカだけでも逃がそうと空間跳躍を発動しました。
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