エスター公爵家の男たち~男性恐怖症の薄幸令嬢ですが、竜の父子に溺愛されて4人で幸せになります~

柴田

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38-1.新婚初夜の儀礼 4日目 ※

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 4日目。差し込む朝日の眩しさにジゼルは重い瞬きを繰り返す。柔らかくも硬い感触のベッドの上でもぞもぞと身じろぎしていると、腰のあたりを抱き寄せられた。

「……っ公爵さま!」
「おはよう、ジゼル」

 ヴィンセントの身体の上に乗ったまま眠ってしまったことを思い出し、ジゼルは慌てて降りる。全裸のまま寝ていたためジゼルはシーツを手繰り寄せた。
 ヴィンセントはもう少しの間穏やかな朝を過ごしていたかったのか、残念そうにしている。既に何度も裸を見た仲だというのに、と内心思いながらも、「朝食の席で待ってる」と言い残してヴィンセントは部屋を出て行った。
 一人残されたジゼルは、ヴィンセントの姿が消えると「ふう」と息を吐き出す。火照った頬がなかなか冷めてくれない。


 今日もジゼルはヴィンセントの執務室で、エスター公爵家の会計業務を学んでいた。アカデミーで勉強したおかげで特に躓くこともなく、前任者からもお墨付きをもらっている。前任者はしばらく外せない用事があるらしく、今週中に前年度の会計書類に目を通しておくようにとだけ言われていた。
 デスクに山積みになった書類に目を通していく。けれど内容がなかなか頭に入ってこない。――決して書いてあることが理解できない、というわけではなかった。ただ集中ができずにいる。

 静かな執務室で、領地のことで何か報告にきた家臣と、ヴィンセントの声だけが聞こえていた。ジゼルの耳には、ヴィンセントの声がやけに響く。
 疼きがいっそうひどくなっていた。
 触れられてもいないのに、あそこがずっと潤んでいる。吐く息も熱くて、座っているのが落ち着かない。ゆらゆらと無意識に身体を揺らすと、内腿の間からくちゅりと湿った音が鳴った気がした。

「……っ、……」

 頭の中を占めるのはヴィンセントのことばかりだ。ヴィンセントとした大人のキスは、とろけるように甘く気持ちがよかった。ヴィンセントの舌は普通の人より少し長くて、薄くて、肌よりも熱い。粘膜同士を絡め合わせて、少しざらついた舌の表面で撫でられると、背筋がぞくぞくと震えるほどの快感を生む。
 身体を這う手は冷たいのに優しくて、薄い肉に少し指先を沈めては、ジゼルの柔らかさを味わっているようだった。ヴィンセントの指はすらりと長いのにしっかりと男らしく骨ばっていて、ジゼルは少しだけ、彼の指を口に含んで舐めてみたいという願望があった。
 羽ペンを握り、書類を捲るヴィンセントの手元を見つめる。くるくると羽ペンを弄ぶ指の動きが淫らに思えて、ジゼルは秘所をきゅんと疼かせた。

 1日目は抱き締め合うだけ。2日目は触れるだけのキスと、身体を唇と指で軽く撫でられた程度。3日目の昨日は深いキスと、少しだけ不埒な愛撫。――4日目の今夜は、何をするんだろう?
 その先のことだって経験したことがあるのに、想像もつかない。ヴィンセントといっしょに進めていく〝新婚初夜の儀礼〟は、ジゼルの知らない甘くて優しい時間をくれる。愛し合う二人のための行為だった。
 まだ3日しか経過していないのに、ヴィンセントとの仲が深まったような気がする。あと2日、ヴィンセントはジゼルに何を教えてくれるのだろう。どんな表情を見せてくれる? ジゼルと身体を繋げたとき、ヴィンセントはどんなことを思うだろうか。

「……ジゼル?」

 ヴィンセントに呼ばれ、ハッとして我に返る。今は仕事中なのに、なんてはしたないことを考えてしまっていたのか、とジゼルはうつむいた。
 さっきよりも、もっとずっと脚の付け根の間が濡れている。ドロワーズに染みたそれが、ドレスまで汚していないかと不安だった。こんな昼間から不埒な妄想ばかりして、今なら淫乱と言われても否定できない、とジゼルは唇を噛み締める。

 ヴィンセントは報告を終えた家臣を手振りで追い出すと、ジゼルのデスクまで歩み寄ってきた。
 影ができ、ジゼルはおずおずと顔を上げる。

「集中できないか?」
「ど、して……」
「また物欲しげな目をして私を見ていただろう」

 ジゼルはびくっと肩を揺らし、仕事の邪魔をしてしまったことを申し訳なく思った。
 ヴィンセントはジゼルの肩に手を置き、背中を屈めて耳元に顔を寄せてくる。怒られるかもしれない状況なのに、ジゼルは不謹慎にも胸がドキドキと高鳴るのを抑えられなかった。

「――疼くか?」

 低い声に囁かれて、おなかの奥からとぷりと蜜が溢れた。

「……っいいえ、大丈夫です」
「隠さなくてもいい。甘い匂いで私をずっと誘っているのはわかっていた」

 ヴィンセントの視線がドレスに隠れた秘所に向かうのを見て、ジゼルはかぁっと首まで赤くした。ヴィンセントには初めから、ジゼルが身体の熱を持て余していることは愛液の匂いでバレていたのだ。恥ずかしくてたまらないジゼルはぎゅっと股を押さえるが、そんなことで匂いは誤魔化せない。
 肩に乗っていたヴィンセントの手がいたずらに首筋を撫で、頬をすりすりと指の背が撫でる。

「まだ少し早いが、もう寝室に行こうか?」
「……仕事、は」
「家臣や補佐官たちが優秀だからな。急ぎの仕事はない」
「でも、私、まだ書類に目を通せていないんです。今週中に、……全部見ないと、いけなくて」
「ゆっくり学べばいい。時間はあるのだから。前任者もおまえは覚えが早いと褒めていたぞ。あいつの外せない用事とやらは妻との結婚記念日の旅行だから、ジゼルに前年度の会計書類に目を通しておくように言ったのも、ただおまえがその間に暇を持て余さないための時間稼ぎだろう」
「そう、なのですか……?」
「それに、私がもう待ちきれないんだ」
「公爵さまが?」

 囁く声は落ち着いているが、耳に触れる吐息は確かに熱かった。

「ジゼルにあのように見つめられては、滾らずにいられない」
「…………!」

 ヴィンセントの言葉を聞いてそっと視線を下げると、ヴィンセントのトラウザーズは不自然に膨らんでいた。

「行こうか?」

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