KIKUMA 夢を紡ぐ  〜平凡な二人の奇跡〜

青空 蒼空

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 家に帰ると 彼女がいた 

 「あれ? さっき テレビに出ていたよね?」
 「録画」
 「そうなんだ・・・」

 少し疲れた顔で彼女は言った 
 久しぶりだな 会話をするの 
 少し痩せたみたい 折角 体重戻ったのに
 
 化粧を落とした顔 
 僕はこっちの方が好きだ

 「ちょっと 話があって・・・」

 あーやっぱり 
 真剣な顔して・・・ 
 あの言葉を言われるのかな

 「何? 別れ話? ダメだよ 別れてやらないよ」
 「・・・」

 彼女は 何とも言えない顔をした 

 ちょっと 意地悪? 
 別れてやるよ 
 だけど 少しぐらい抵抗しても 神様は許してくれるよな?

 「・・・」

 彼女は 黙ったまま 僕をじっと見ている 
 何か言えよ!

 「あっ あのさー・・・すっ 少し瘦せたようだね 折角 病気の後ふっくらしてきたのに ちゃんと食べてんのかな? 睡眠もとってる? 仕事しすぎじゃない? 倒れても知らないよ!」

 矢継ぎ早に 僕は話しかける

 「・・・フフフ」

 今 笑った? 何で? 別れてほしいんでしょ?

 「なんだよ・・・」
 僕は 不満げに彼女を見る

 「やっぱり 私のマネージャーだね」
 「!」

 何言ってんの?

 「KIKUMAブランドを 立ち上げようと思って」

 KIKUMA きくま 彼女の名前・・・

 「あなたには マネージャーをしてほしいの」

 何だそれ?
 もう してますけど?

 「今の会社辞めて 付いてきてくれる?」

 突然 何を言い出すんだ

 「でっ でも 僕は 君とは釣り合わないし・・・」

 今の君は まぶしすぎる 
 僕とは・・・

 「なんで?」
 「なんでって・・・ 有名になっている君の隣にいたら・・・ 君が恥ずかしい思いをするし・・・だって僕は・・・ 背が低いし 小太りだし スペック低いし・・・」

 わかってんじゃん! 言わすなよ・・・みじめになる・・・

 「はぁ? いまさら? 背が低いのも小太りなのも知ってるし というか 最近さらに太ったんじゃない?」
 「えっ!そんなことは・・・」

 確かに最近 ストレスでバカ食いしていたけど・・・そこまでではないと・・・

 「ある!」
 「やせます・・・」

 なんで 僕の体重の話なんだよ!

 「見かけなんて どうでもいいし」
 「えっ・・・」
 「それに スペック低いって何? 自分を過小評価しすぎ 私が ここまで生きてこられたのも あなたのおかげだし 仕事に没頭できたのも あなたのおかげ 今のままで十分すぎるくらいだから」
 「・・・」

 そんな風に 思ってくれていたのか・・・知らなかった・・・
 もう少し 自分に自信を持ってもいいのかな?

 一生懸命 「KIKUMAブランド」の話をしてくれる君の姿をみて 今までの思い出が甦る

 君を養いながらでも住める 築35年の古い木造アパート
 僕の給料では このアパートで精一杯
 隣の家のテレビの音が聞こえてくる 
 しまりの悪い水道の蛇口からは 水がゆっくりと ポタッ ポタッ と落ちている
 隙間風が吹く 僕たちの小さな小さなお城・・・

 ・・・気づいたら 僕の頬には涙が一筋 伝い落ちていた

 「実は 仕事ブッキングしちゃって 先方に迷惑かけちゃったんだよね デへへ」
 と彼女のハニカム笑顔

 「はぁ⁉ 何 いい加減なことしてんの⁉ ほんとっ! 昔から そこ いい加減!」

 君は いつも 計画を立てるのが 下手で・・・

 「だから マネージメント任せるね よろしく・・・」
 「そんな・・・いきなり・・・」

 君は いつも言葉が少ない

 「ごめんね 忙しかったから ろくに会話もしなくて不安になったでしょ? だけど あなたなら 私のこと理解してくれると思ったから・・・今までも そうだったように」

 君の気持ちを 読み取るにも限界があるよ・・・

 「これからは 大事なことは 言葉にしてよ」
 「努力する」
 と 彼女はニコッと微笑んだ 

 まぁ 多分 変わらないだろう・・・
 もともと 言葉数の少ない彼女のことだから・・・ 

 テレビに映る雄弁な彼女も・・・本当の彼女なのだろう・・・
 これから 彼女の新しい姿を見ていくことになるのかな?

 結局 玄関の電球を買い忘れたなと関係のないことを頭に思い浮かべながら まずは 彼女の体重を元に戻すための計画を練る 
 出かける時は 弁当でも持たそうか? 

 そういえば 彼女の夢なら どんなことでも叶えたいと思っていたんだ
 彼女の夢は 僕の夢 これからも彼女を支えていこう




 fin
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