【完結】氷の王子様は死ぬ運命?!ー異世界転生したので推しの運命変えてみせますー

久遠れん

文字の大きさ
4 / 33

第3話・予想外の展開(クーリスト視点)

しおりを挟む
「いやあ、驚いたな!」

 けらけらと笑っている兄上をじっと見つめる。

 僕はクーリスト・エイベル・アクスウィス。

 この国の第四位王位継承者。
 代々続く金髪碧眼を持って生まれなかった僕は、金髪と輝く太陽の瞳を持った妹より王位継承順が低い。

 でも、僕はそれを気にしたことはない。
 だって、兄上を中心に、みんな僕を愛してくれるから。

 王位継承権が低いのは、頭の固い昔からいる古狸たちのせいだと兄上が憤ってくれているから。

 髪の色と目の色で王位継承権が変わるなんておかしいと、物心ついた時からずっと誰より優しい兄上が僕の味方だったから。

 僕は兄上が大好きだし、兄上の言葉通りだと思う。

 いずれ髪の色や目の色で王位継承権が決まらない国にすると兄上が約束してくれているから、僕は本当に王位継承権が低いことは気にしていない。

 今日は、兄上の婚約者候補のライラ嬢が倒れたと聞いてお見舞いに兄上と一緒に行った。
 最近あまり外出ができてなかっただろう、と兄上が誘ってくれたのだ。

 ライラ嬢とは何度か面識がある。

 大人しくていつも公爵の父親の陰に隠れている気弱な女の子。

 会話をしたのも数えるほどだ。

 の、はず、だったのに。

 お見舞いで部屋に入った僕たちをみたライラ嬢は僕を見るなり顔を輝かせて、兄上を無視していきなり僕に告白してきた。

 突然のことで、なにが起こったのかよくわからなくてぽかんとした僕の横で兄上はなぜか爆笑していて、公爵は慌てていた。

 倒れた直後で混乱しているかもしれないから、といわれて公爵家を後にしたけれど、僕はいまだに事態がよく呑み込めていない。

 僕は自分の外見を嫌ってはいないけれど、王族にあるまじき銀髪と緑の瞳をもつ僕を、慕っている……? 到底、兄上の婚約者候補が口にしていい言葉じゃない。

「兄上、おこっていないのですか?」
「うん? どうしてだい?」
「ライラ嬢のこと、好きですよね?」

 僕が真っ直ぐに兄上を見上げて言い切ると、兄上はちょっとだけ目を丸くした。
 それから膝を折って僕の目線の高さに合わせて、頭を撫でてくれる。

「好きな人には幸せになってもらいたいだろう?」
「……」

 僕には、兄上の言っていることがよくわからない。
 好きだったら、婚約者にしたいんじゃないのかな。

「クーはライラ嬢のこと、好きか?」
「……よく、わかりません」

 ライラ嬢がいつか兄上と結婚したら、義姉になるのかな、と考えたことはあった。
 でも、突然のライラ嬢の告白は、僕の頭を大混乱に陥れていて、上手く感情が処理できていない。

「クーはライラ嬢との婚約は嫌かい?」
「……いいえ」

 鮮明に脳裏に焼き付いている。
 まっすぐに僕だけを見つめて「お慕いしています!!」とはっきりと言い切ったライラ嬢のきらきらと輝く瞳。

 外見のせいで、兄上や家族に愛されていても、圧倒的に悪意を向けられることの方が多い僕に、叩きつけるように告げられた愛の言葉。

 その、あまりに純粋な好意の塊は、嫌では、なかった。
 むしろ、すごく嬉しかった。心が揺らいだ。

 ああ、この子が、僕の隣に立ってくれればいいのにな、って思った。
 それが叶えばこんなに素敵なことはないんだろうなって。

 それだけ強烈にただ好きだと告げる言葉を、僕は今まで家族以外から受け取ったことがなかったから。

「その気持ちを大事にしなさい」

 そういって笑った兄上の顔は、少しだけ寂しそうで。

 僕はぐっと唇を噛みしめて、こくんと頷いた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~

翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~

高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。 先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。 先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。 普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。 「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」 たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。 そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。 はちみつ色の髪をした竜王曰く。 「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」 番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!

【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り

楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。 たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。 婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。 しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。 なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。 せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。 「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」 「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」 かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。 執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?! 見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。 *全16話+番外編の予定です *あまあです(ざまあはありません) *2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪

【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます

氷雨そら
恋愛
 本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。 「君が番だ! 間違いない」 (番とは……!)  今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。  本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...