【完結】氷の王子様は死ぬ運命?!ー異世界転生したので推しの運命変えてみせますー

久遠れん

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第17話・初めてのデート(2)

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 お互いに赤い顔で、フライドポテトを食べ終わって。
 シーフルがにやにやしているのを感じながらも、散策を再開した。

「わぁ、きれい!」

 出店の一つ、細工物を扱う店の前でわたしは足を止めた。
 ずらりと並ぶ、ネックレスやピアスに髪飾り。どれもとってもきらきらしていて美しい。

「ライラはそういったものにあまり興味がないと思っていた。こ……父君があまり贈り物を身に着けてくれないと嘆かれていたから」
「えっと……その、お父様がくれるものは、わたしにはちょっと敷居が高くて……」

 だって、だってさあ! たった五歳の子供に本物の宝石くれるんだよ、あのお父様は!

 公爵令嬢としては当たり前でも、前世一般人だったわたしはみたこともないレベルの宝石をだされるとそっと引き出しにしまってしまうのだ……!

「あ、こちらのブローチ! クーさまの目と髪の色です!」

 深緑の石は銀で縁取りされていて、どちらもクーの色だ。にこにことわたしが指をさすと、クーが興味深そうにブローチを手に取った。

 店主に一言断りを入れ、ブローチを太陽にかざしたクーはにこりと笑った。

「これは……シーフル、これを買おう」
「畏まりました」
「え! クーさま、ほしかったわけでは……!」
「いいや、これは買う。君はいい目をしているね」

 にこにこと告げられて、本当に欲しくて強請ったわけではないわたしはどうしたら、と思ってしまったけれど、その間にシーフルがお会計を済ませてしまった。

 出店から離れるように歩き出したクーを追いかけると、クーは少し行った場所で立ち止まり、振り返った。

「ライラ、これをきみに」

 差し出されたブローチに、わたしがどうすればいいのか迷っていると、クーはふんわりと微笑んだ。優しい笑みだ。

「これは、魔力がこもっている。身に着けていれば、いつかきみを助けるかもしれない。とはいっても、きみがもつにはちょっと不相応だから、ポケットに入れておいてくれればいいよ」
「え? 魔力?」
「ああ。こういう職人は貴重なんだ。作ったアクセサリーに魔力を込めることができる。シーフル、あとでこの職人についてしらべて、必要だったら兄上に取り次いでやってくれ。兄上ならうまくやってくれる」
「畏まりました」

 恭しくお辞儀をしたシーフルの前で、わたしは目を丸くするしかない。魔力のこもった石……輝石はゲーム内でもでてくるレアアイテムだ。

 ゲーム内の輝石は使用すると一時的に攻撃力や防御力にバフがかかるアイテムだった。
 ゲームでは魔物を倒した時にドロップするアイテムだけど、人の手でも作れるのか。

「でも、そんな貴重なものなら、クーさまがもっていたほうが」
「大丈夫だよ。僕はその気になれば手に入れられるから」

 それはそう! だってクーは王子様! いくら輝石がレアアイテムとはいえ、めちゃくちゃ手に入りにくかった記憶はない。
 だったら。遠慮する理由もないのだろう。

「ありがとうございます。クーさま。一生大切にします!」
「ふふ、おおげさだね。でも、うれしいよ」

 両手で包み込むようにブローチを受け取って、わたしは満面の笑みで笑った。
 クーからの初めての贈り物。きっと値段的には王子であるクーにも、公爵令嬢であるわたしにもつりあわない。

 でも、クーが初めてくれた、大切なものだ。
 本当に、一生大切にすると決めて、わたしはそっとポシェットにブローチを仕舞った。


 * * *


 そのあともあちこち見て回って、剣術の鍛錬のおかげで体力がついていたからばてることはなかったんだけど、シーフルに「そろそろ帰宅のお時間です」といわれてしまった。
 馬車を待たせている場所まで戻って、クーのエスコートで馬車に乗り込む。

「ふふ」
「どうしたの、ライラ」
「クーさまにいただいたブローチが本当にうれしくて」

 ポシェットからそっと取り出したブローチ。わたしには十分綺麗にみえるそれ。
 わたしがふわふわとした口ぶりで喜びを語ると、クーは少し照れたように笑った。

「そうだ。こんど緑の輝石が手に入ったら、僕もブローチに加工してもらおう。お揃いにするよ」
「え! いいんですか?!」
「もちろん。緑の輝石を金で縁取りをして……そしたら、ライラ。君の目と髪の色だ」
「!」

 クーの言葉に目を見開く。それは、クーがわたしの色を身に着けるということ……?!
 顔が発火したのかと思うくらい赤くなった。
 だ、だって、照れる! 嬉しいけど、照れくさい!!

「ライラ、いや?」
「いいえ、いいえ! とっても、とっても、うれしいです! ぜひ、つくってくださいね!」

 ぶんぶんと首を横に振る。それから前のめりになってそう告げると、クーは「約束だね」と笑った。
 こうやって、一つずつクーとの大切な約束が積みあがっていく。
 それが、なにより幸せだ。
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