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1この先、地獄行き
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バスじゃなくて、久々に電車で帰ることになった僕たち。朝の通勤ラッシュほどのぎゅうぎゅう詰めではないものの、それなりに人は多い。「俺のそばから離れるなよ」なんて言う時成にそこまで子供じゃないし! と思った矢先、大きな揺れに体が吹っ飛び気づいた時には時成は隣にいなかった。周りを僕よりも大きな大人の男の人たちに囲まれてしまっていた。仕方ない。最寄りの駅までの辛抱だ。
電車のドアから外を眺めていれば、足に違和感。なんだか熱がこもった大きな手で撫で回されてる感覚。気のせい……じゃない。尻を鷲掴みされて揉みしだかれている。痴漢だ。ひく、と喉が引き攣って声は出ない。どうしよう。時成、隣にはいない。
大きな手は前に回って来て股間を撫で回される。僕が男だってわかってて触って来ている事実に、悪寒が走る。僕、ターゲットにされてる。カバンを持つ手に力が籠る。逃げ出そうにも、周りは大きな背中で誰もこちらを見てはくれない。「あの」と声をかけても、聞こえていないようだった。
「ん……っ」
最悪だ。声が漏れた。いくら嫌でも股間を力込めて揉みしだかれたら反応してしまう。慌てて手で口を押さえ、反対の手で撫で回してる手を掴んで剥がそうとするが……ジジッとチャックを下され中に手が入り込んでしまう。うそ、やだ、やだ。
「ゃめて、くださぃ……」
真後ろにいる男にやっとの思いで伝えた言葉は蚊の鳴くような声だった。しっかりしろ。僕、男の子なのに。女の子が痴漢されてたら助けられるような男の子になりたかったのに、当事者になると、金縛りのように身動きできなくなるなんて知らなかった。耳元でクスクスと笑っている声。楽しんでいる。僕はこんなに必死なのに。どうして笑っていられるのかわからない。「やめてください」ともう一度伝え、相手の手のひらを抓る。
抓った、ことがいけなかったらしい。ズボンの中に突っ込んだ手は、そのまま下着の中に入り込み僕のモノを鷲掴んで強引に扱いて来た。「あ」「う」と声が漏れ、必死に唇を噛んでやり過ごす。いきなり扱かれて、正直痛い。性的な興奮もないところに無理やり昂められようとされる行為が苦しい。でも、男子高校生の僕の体は、だんだんと順応してしまって。ぐちぐちと先走りがだんだん溢れて来て。卑猥な水音がだんだん車内に響く。周りに聞こえてしまうのではないかとヒヤヒヤしてしまうくらい。いや、この際バレた方がいい。誰か、この行為に気づいてくれないだろうか──
と、周囲を見渡せば。先ほど壁になっていた大きな男たちは皆こちらを見ていることに気づく。声をかけても気づかなかったのではない。僕を、一箇所に閉じ込めて、始めからこんなことをするつもりで。
自覚してしまえば、ガタガタと体が震え上がる。時成、ときちゃん。声を出そうとして、バッと口を塞がれる。両手を掴まれ抵抗できないようにされ、ズボンのベルトを外されていく。なにこれ、やだ。何されるの。
少し怪しいと思った時に時成にSOSの連絡すればよかった。こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
尻の穴に冷たいとろりとした液体を塗りたくられ、そのまま、男の汚いモノが。押し入ってきた。
「んゔ───ッ!」
尻が裂けたと思った。血塗れになると思った。でも実際はそんなことはなく、僕の体は男を憂いれていた。おかしい。なんで。
「嫌々言う割に、男慣れしてる体じゃねぇか。淫乱」
「ん、ん~ッ」
違う。違うのに。初めてなのに。
でも、シコリがある部分を突かれると体は勝手に気持ち良くなって、ガクガク震えて果てる。何これ、知らない。怖い。時ちゃん。
時間は二十分程だったと思う。その間に何人もの男たちのモノが出入りして、足も制服も精液塗れになる。無理やりズボンを履き直されて、最寄りの駅に着いた時にドン、と背中を強く押されホームに飛び出すように派手に転ぶ。
制服にかけられた白濁と、キツい匂い。周りの人は顔を顰めて離れていく。僕を変のものを見る目で見てくる。僕、被害に遭ったはずなのに。どうして、こんなに追い詰められてるの。まるで、僕が迷惑な人みたいに遠巻きに見て来て──
「悠生、お前また勝手にいなくなって……」
時成が駆けつけてくれる。息を切らしているあたり、必死に探してくれたのだろう。今更にスマホを握りしめていたことを思い出す。画面には、何件も時成から通知が来ていた。
「……なんで、またこんな目に」
時成の顔がくしゃっと歪む。またってなんだろう。こんなに辛いこと、僕には初めてのはずなのに。誰も僕を助けようとしてくれない中、時成だけが歩み寄り屈み込んで手を差し出してくれる。
「……帰ろう」
帰る。おうちに帰る。
帰った、その後は? どん底の気持ちのまま、これからも生きていかなくちゃいけないの?
「……無理かも、しれない」
俯いて、断る。黙って立ち上がって。次の電車が来るアナウンスがある。
「こんな体、僕やだよ」
「……洗ったら綺麗になるから」
「僕の心は?」
「悠生、変なこと考えるな」
変なこと? 今の僕には、これしかない。
電車が来る。走り出して、線路に飛び込む。
ゆうき、と叫んで手を伸ばす時成の表情を最後に。視界がぐにゃりとブレて──
「おい、悠生。もうホームルーム終わったぞ」
目を覚ますと、仏頂面の幼馴染が仁王立ちして待っている。
電車のドアから外を眺めていれば、足に違和感。なんだか熱がこもった大きな手で撫で回されてる感覚。気のせい……じゃない。尻を鷲掴みされて揉みしだかれている。痴漢だ。ひく、と喉が引き攣って声は出ない。どうしよう。時成、隣にはいない。
大きな手は前に回って来て股間を撫で回される。僕が男だってわかってて触って来ている事実に、悪寒が走る。僕、ターゲットにされてる。カバンを持つ手に力が籠る。逃げ出そうにも、周りは大きな背中で誰もこちらを見てはくれない。「あの」と声をかけても、聞こえていないようだった。
「ん……っ」
最悪だ。声が漏れた。いくら嫌でも股間を力込めて揉みしだかれたら反応してしまう。慌てて手で口を押さえ、反対の手で撫で回してる手を掴んで剥がそうとするが……ジジッとチャックを下され中に手が入り込んでしまう。うそ、やだ、やだ。
「ゃめて、くださぃ……」
真後ろにいる男にやっとの思いで伝えた言葉は蚊の鳴くような声だった。しっかりしろ。僕、男の子なのに。女の子が痴漢されてたら助けられるような男の子になりたかったのに、当事者になると、金縛りのように身動きできなくなるなんて知らなかった。耳元でクスクスと笑っている声。楽しんでいる。僕はこんなに必死なのに。どうして笑っていられるのかわからない。「やめてください」ともう一度伝え、相手の手のひらを抓る。
抓った、ことがいけなかったらしい。ズボンの中に突っ込んだ手は、そのまま下着の中に入り込み僕のモノを鷲掴んで強引に扱いて来た。「あ」「う」と声が漏れ、必死に唇を噛んでやり過ごす。いきなり扱かれて、正直痛い。性的な興奮もないところに無理やり昂められようとされる行為が苦しい。でも、男子高校生の僕の体は、だんだんと順応してしまって。ぐちぐちと先走りがだんだん溢れて来て。卑猥な水音がだんだん車内に響く。周りに聞こえてしまうのではないかとヒヤヒヤしてしまうくらい。いや、この際バレた方がいい。誰か、この行為に気づいてくれないだろうか──
と、周囲を見渡せば。先ほど壁になっていた大きな男たちは皆こちらを見ていることに気づく。声をかけても気づかなかったのではない。僕を、一箇所に閉じ込めて、始めからこんなことをするつもりで。
自覚してしまえば、ガタガタと体が震え上がる。時成、ときちゃん。声を出そうとして、バッと口を塞がれる。両手を掴まれ抵抗できないようにされ、ズボンのベルトを外されていく。なにこれ、やだ。何されるの。
少し怪しいと思った時に時成にSOSの連絡すればよかった。こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
尻の穴に冷たいとろりとした液体を塗りたくられ、そのまま、男の汚いモノが。押し入ってきた。
「んゔ───ッ!」
尻が裂けたと思った。血塗れになると思った。でも実際はそんなことはなく、僕の体は男を憂いれていた。おかしい。なんで。
「嫌々言う割に、男慣れしてる体じゃねぇか。淫乱」
「ん、ん~ッ」
違う。違うのに。初めてなのに。
でも、シコリがある部分を突かれると体は勝手に気持ち良くなって、ガクガク震えて果てる。何これ、知らない。怖い。時ちゃん。
時間は二十分程だったと思う。その間に何人もの男たちのモノが出入りして、足も制服も精液塗れになる。無理やりズボンを履き直されて、最寄りの駅に着いた時にドン、と背中を強く押されホームに飛び出すように派手に転ぶ。
制服にかけられた白濁と、キツい匂い。周りの人は顔を顰めて離れていく。僕を変のものを見る目で見てくる。僕、被害に遭ったはずなのに。どうして、こんなに追い詰められてるの。まるで、僕が迷惑な人みたいに遠巻きに見て来て──
「悠生、お前また勝手にいなくなって……」
時成が駆けつけてくれる。息を切らしているあたり、必死に探してくれたのだろう。今更にスマホを握りしめていたことを思い出す。画面には、何件も時成から通知が来ていた。
「……なんで、またこんな目に」
時成の顔がくしゃっと歪む。またってなんだろう。こんなに辛いこと、僕には初めてのはずなのに。誰も僕を助けようとしてくれない中、時成だけが歩み寄り屈み込んで手を差し出してくれる。
「……帰ろう」
帰る。おうちに帰る。
帰った、その後は? どん底の気持ちのまま、これからも生きていかなくちゃいけないの?
「……無理かも、しれない」
俯いて、断る。黙って立ち上がって。次の電車が来るアナウンスがある。
「こんな体、僕やだよ」
「……洗ったら綺麗になるから」
「僕の心は?」
「悠生、変なこと考えるな」
変なこと? 今の僕には、これしかない。
電車が来る。走り出して、線路に飛び込む。
ゆうき、と叫んで手を伸ばす時成の表情を最後に。視界がぐにゃりとブレて──
「おい、悠生。もうホームルーム終わったぞ」
目を覚ますと、仏頂面の幼馴染が仁王立ちして待っている。
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