美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

花里 美佐

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プロローグ

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 彼の指が頬をなぞる。下がろうとすると、長い腕が身体を回ってあっという間に抱き上げられた。

 ベッドへ運ばれ、逃げる私をまずキスで陥落させ、両腕を私の顔の横に置き身体を寄せてくる。

 もはやこうなると身動きひとつとれない。上から彼が射抜くような瞳で私を見ている。

「……あ、どうして……」

「あと二週間……やっとだ……」

 彼の指がせわしなく私の全てを暴こうとする。

「ああ……」

「さくら……君を迎える準備をするとあの時も言っただろ。絶対逃がさない」

 彼はつらそうに私を見た。彼に手を向けた。こんな顔をさせたかったんじゃない。

 彼は私の手を握り、口元に持っていくとキスをする。

「あ」

「君がいない世界で僕は息ができない」

「蓮さん……ああ!」

「さくら、君だって……そうだろ?」

「あああ」

「見ろ……僕らは……もう離れられない」

 彼は鏡に映る抱き合う私たちを見せた。

 彼を待ち続けた身体は正直だった。どんな嘘もすぐに見抜かれた。

「さくら愛してるんだ……戻っておいで……そして僕の妻になるんだ」

 ずっと同じことをうわごとの様に口にしながら、何かをかなぐり捨てた彼は今までとは違って見えた。

 そして、ありったけの想いを身体で表現して、私を抱き続ける。

「ああ……!」

 あまりの激しさにすがりついた。彼の汗が身体に落ちてくる。

 仕事が約束の一年で片付かないかもしれない。迷いがあった。彼に見抜かれた。

 美しき玲瓏皇子。

 私は自分自身の花も、仕事の花も彼に咲かせてもらった。

 彼との恋は身分違い。それはわかっている。最初から彼を利用したと周りに責められた。

 それでも今、彼は全身で私に愛を伝えようとしてくれている。

 私はあなたを……。




 

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