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御曹司と上司2
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「あ、やっと来ましたね。今日はここでコーヒーが飲めるだろうと思ったから、朝一は飲まないで来たんです」
崇さんが専務に言う。
「それは、それは……香月君のコーヒーをそこまで楽しみにしていたのかい?」
「ええ、彼女のコーヒーは絶品です。コーヒーメーカーとは違う入れ方なんでしょうね」
私が二人のコーヒーを机において立ち上がったところだった。
「あ、特に違う入れ方をしているわけではないのですけど……」
「だとしたらそれはぼくへの愛だね、香月君。君の僕への愛情がこの美味しさを生んでるんだよ」
「そうかもしれませんね、専務」
私達がいつものようににっこりとふざけながら話すと、むっとした崇さんが専務に言った。
「専務は奥様命じゃないですか。あんなにお美しい奥様がいて、会社では香月にも愛情とかいけないでしょ」
「……ぷっ!」
私はついおかしくてお盆を顔に当てて笑ってしまった。冗談に決まってるじゃないの。専務と私はこうやって毎日つまらない役員フロアを楽しくするため努力しているのだ。
「崇君は可哀想だねえ。プライベートも愛する人が側にいない、会社の秘書も辰巳君だしね。しかも彼と変な噂になったりして。いやあ、気の毒だ」
「……あはは」
私はついおかしくなって笑い出してしまった。お盆で顔を隠して口を押さえていたが、崇さんがジロッと睨んでる。まずい。
「どうして辰巳とあんな噂になるのか訳がわかりません。辰巳も、僕も、女性しか好きじゃない。辰巳の好きな人は香月がよく知っているらしいですよ」
「……はあ、ま、そうですけど。大学の先輩なのでお二人とも……。でもまだお付き合いはしていないと思います」
「辰巳君も哀れだな。いい年した男二人、イケメン同士だし、ふたりで婚活でもしたら?どう思う……香月さん」
専務がコーヒーを飲みながら意地悪な瞳をきらめかせた。また冗談だ。
「辰巳さんは別としても、崇さんの縁談は星が降るほどあると聞いています。この秘書課にもお相手の噂が……」
コーヒーカップをテーブルの上においた崇さんは、ガチャンと珍しく音を立てた。
「香月。それは噂でしかない。秘書室は噂話厳禁のはずだぞ」
怖い顔をした彼に頭を下げて謝った。
「……申し訳ございません」
「彼女に八つ当たりしたら嫌われるよ。困るのは君だろ?相変わらず女性相手だと不器用だな。仕事はあんなに出来るのに、どうしてなんだろうか?僕はそっちも教えないといけないのかもしれないな」
「結構です。僕は専務の奥様から専務をよーく見張っているように言われてますからね。香月も美人ですし……一応女ですから何するかわかりません」
「……な、何をおっしゃってるんですか?専務とはそういうんじゃありません。それに私そういうことはしませんし、出来ません!」
「崇君。冗談も、ほどほどにね。香月さんをそんなに虐めて何が楽しい?小学生みたいだぞ。それに、香月さんには今お相手がいるだろ?こんなおじさんは彼女の圏外だ。崇君は……まあもしかすると年齢的には望みがあるかもしれないねえ。せいぜい頑張りたまえ」
「頑張りませんよ!」
崇さんが赤くなってわめいた。私は見ていられなくて、そっと部屋を出た。一体何をしに来てるんだろう。いつもこうやって最初はふざけてふたりで楽しそうに話している。本当に親しいんだな、気が合うんだなと見ていて思う。
でも、崇さんの専属秘書の辰巳さんが言っていたが、日傘専務と総帥は崇さんがあまりに専務に懐いているので、あまり良く思われていないかもしれないと心配していた。
総帥と崇さんは親子とはいえ、絶対君主と部下でもある。長男の彼を総帥は厳しく育ててきたということもあり、こういう専務とのやりとりのようなものは見たこともない。
だからこそ、専務に懐くんじゃないかなと個人的には見ていて思ったりもする。御曹司としての重圧や仕事の悩みを聞いてくれる父親くらいの年の信頼出来る人が彼にとってはきっと日傘専務に違いない。
廊下を歩いていたら、声をかけられた。振り向くと伸吾がいた。
「菜々。お前、今日もどうせ残業なんだろ?」
「うん……多分、八時はすぎると思う」
「お前、本当に可愛くないよな。今日は一ヶ月ぶりだぞ。もういい。俺は他の友達と飲みに行く。お前はキャンセル」
私はびっくりして彼を見た。半年位前に口説かれて付き合いはじめた。いつもなら彼は行きつけのバーで飲んで待っている。でも……。
「わかった」
すぐに通り過ぎる。すると右腕を引かれ彼にキスされた。びっくりした。こんなところでする?この人やっぱりおかしい。
「な、何するのよ!」
「じゃあな。これくらいしないと腹の虫が収まらねえよ」
きびすを返していなくなる彼の後ろ姿を睨んだ。とても口のうまい人。秘書課はそういう人が多いけれど、彼もその代表格だと付き合いだしてから気がついた。後悔しても遅い。
* * * *
とうとう崇さんが海外に行く日が近づいて来た。出発前日、彼が専務のところへお別れのご挨拶に来た。
私はいつものようにコーヒーを二つ入れて、部屋へ入った。
「専務お願いです!そんなことは言わないで下さい!辰巳を残してなんとかしますから……」
声を荒げる御曹司。私はびっくりして入り口で立ち止まった。そんな私を目の端で捕らえた日傘専務はコーヒーを運ぶよう手招きした。それに気づいた御曹司は振り向いて私を見た。
「崇君。彼女のコーヒーもしばらくおあずけだな」
「確かにそうですね。香月さん、コーヒーだけは入れるの上手ですからね」
私はむっとして彼の前に置きかけたコーヒーを持ったまま言った。
「すみません、コーヒーを入れるしかできなくて……」
崇さんは私の手からコーヒーカップを奪い取ると、こちらを見て一口飲んだ。
崇さんが専務に言う。
「それは、それは……香月君のコーヒーをそこまで楽しみにしていたのかい?」
「ええ、彼女のコーヒーは絶品です。コーヒーメーカーとは違う入れ方なんでしょうね」
私が二人のコーヒーを机において立ち上がったところだった。
「あ、特に違う入れ方をしているわけではないのですけど……」
「だとしたらそれはぼくへの愛だね、香月君。君の僕への愛情がこの美味しさを生んでるんだよ」
「そうかもしれませんね、専務」
私達がいつものようににっこりとふざけながら話すと、むっとした崇さんが専務に言った。
「専務は奥様命じゃないですか。あんなにお美しい奥様がいて、会社では香月にも愛情とかいけないでしょ」
「……ぷっ!」
私はついおかしくてお盆を顔に当てて笑ってしまった。冗談に決まってるじゃないの。専務と私はこうやって毎日つまらない役員フロアを楽しくするため努力しているのだ。
「崇君は可哀想だねえ。プライベートも愛する人が側にいない、会社の秘書も辰巳君だしね。しかも彼と変な噂になったりして。いやあ、気の毒だ」
「……あはは」
私はついおかしくなって笑い出してしまった。お盆で顔を隠して口を押さえていたが、崇さんがジロッと睨んでる。まずい。
「どうして辰巳とあんな噂になるのか訳がわかりません。辰巳も、僕も、女性しか好きじゃない。辰巳の好きな人は香月がよく知っているらしいですよ」
「……はあ、ま、そうですけど。大学の先輩なのでお二人とも……。でもまだお付き合いはしていないと思います」
「辰巳君も哀れだな。いい年した男二人、イケメン同士だし、ふたりで婚活でもしたら?どう思う……香月さん」
専務がコーヒーを飲みながら意地悪な瞳をきらめかせた。また冗談だ。
「辰巳さんは別としても、崇さんの縁談は星が降るほどあると聞いています。この秘書課にもお相手の噂が……」
コーヒーカップをテーブルの上においた崇さんは、ガチャンと珍しく音を立てた。
「香月。それは噂でしかない。秘書室は噂話厳禁のはずだぞ」
怖い顔をした彼に頭を下げて謝った。
「……申し訳ございません」
「彼女に八つ当たりしたら嫌われるよ。困るのは君だろ?相変わらず女性相手だと不器用だな。仕事はあんなに出来るのに、どうしてなんだろうか?僕はそっちも教えないといけないのかもしれないな」
「結構です。僕は専務の奥様から専務をよーく見張っているように言われてますからね。香月も美人ですし……一応女ですから何するかわかりません」
「……な、何をおっしゃってるんですか?専務とはそういうんじゃありません。それに私そういうことはしませんし、出来ません!」
「崇君。冗談も、ほどほどにね。香月さんをそんなに虐めて何が楽しい?小学生みたいだぞ。それに、香月さんには今お相手がいるだろ?こんなおじさんは彼女の圏外だ。崇君は……まあもしかすると年齢的には望みがあるかもしれないねえ。せいぜい頑張りたまえ」
「頑張りませんよ!」
崇さんが赤くなってわめいた。私は見ていられなくて、そっと部屋を出た。一体何をしに来てるんだろう。いつもこうやって最初はふざけてふたりで楽しそうに話している。本当に親しいんだな、気が合うんだなと見ていて思う。
でも、崇さんの専属秘書の辰巳さんが言っていたが、日傘専務と総帥は崇さんがあまりに専務に懐いているので、あまり良く思われていないかもしれないと心配していた。
総帥と崇さんは親子とはいえ、絶対君主と部下でもある。長男の彼を総帥は厳しく育ててきたということもあり、こういう専務とのやりとりのようなものは見たこともない。
だからこそ、専務に懐くんじゃないかなと個人的には見ていて思ったりもする。御曹司としての重圧や仕事の悩みを聞いてくれる父親くらいの年の信頼出来る人が彼にとってはきっと日傘専務に違いない。
廊下を歩いていたら、声をかけられた。振り向くと伸吾がいた。
「菜々。お前、今日もどうせ残業なんだろ?」
「うん……多分、八時はすぎると思う」
「お前、本当に可愛くないよな。今日は一ヶ月ぶりだぞ。もういい。俺は他の友達と飲みに行く。お前はキャンセル」
私はびっくりして彼を見た。半年位前に口説かれて付き合いはじめた。いつもなら彼は行きつけのバーで飲んで待っている。でも……。
「わかった」
すぐに通り過ぎる。すると右腕を引かれ彼にキスされた。びっくりした。こんなところでする?この人やっぱりおかしい。
「な、何するのよ!」
「じゃあな。これくらいしないと腹の虫が収まらねえよ」
きびすを返していなくなる彼の後ろ姿を睨んだ。とても口のうまい人。秘書課はそういう人が多いけれど、彼もその代表格だと付き合いだしてから気がついた。後悔しても遅い。
* * * *
とうとう崇さんが海外に行く日が近づいて来た。出発前日、彼が専務のところへお別れのご挨拶に来た。
私はいつものようにコーヒーを二つ入れて、部屋へ入った。
「専務お願いです!そんなことは言わないで下さい!辰巳を残してなんとかしますから……」
声を荒げる御曹司。私はびっくりして入り口で立ち止まった。そんな私を目の端で捕らえた日傘専務はコーヒーを運ぶよう手招きした。それに気づいた御曹司は振り向いて私を見た。
「崇君。彼女のコーヒーもしばらくおあずけだな」
「確かにそうですね。香月さん、コーヒーだけは入れるの上手ですからね」
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