白カラスにご慈悲を!!

伊織愁

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22話 「コモン領で水害が起こったようですっ」

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 生徒会と学園の勉強、領地の勉強の3足の草鞋は、リィシャにはとても大変な事だった。 ユージーンも忙しく、リィシャとゆっくりと出来る時間も取れなくて、すれ違う事も多くなっていった。

 いつもの如く、色とりどりの制服姿の生徒会メンバーが放課後に集まり、各々が生徒会の仕事をしている。 リィシャは生徒会のメンバーの間を行き来し、皆の雑用を請け負っていた。

 色とりどりの制服の間を白銀の制服が右往左往している。

 「コモン嬢、こちらも転写をお願いします。 転写を終えたら、3枚セットにして全生徒、300名分を作って下さい」
 「はいっ、ただいま」

 アンガスに指示され、リィシャは羊皮紙を受け取った。 いつもは会議を行う丸テーブルへ移動し、羊皮紙に書かれている内容を転写する為に、羊皮紙の束を重い音をさせて乗せた。

 大きく息を吐き出した後、リィシャは気合いを入れた。

 今、生徒会は冬休み前に行われる芸術祭と終業式後のダンスパーティーが差し迫っており、準備に追われて多忙を極めていた。 リィシャの顔にも悲壮感が漂い、日に日に顔色が悪くなっていく。

 ユージーンとの繋がりは、相変わらず不安定で、繋がったり途切れたりしていた。 季節もいつの間にか、本格的な冬へと変わっていた。

 丸テーブルに広げた羊皮紙には、芸術祭のお知らせと、芸術祭への参加申請書が一枚、終業式後のダンスパーティーの開催のお知らせが書かれていた。 白紙の羊皮紙の束に手を翳して、エメラルドの瞳が獣目に変わる。 羊皮紙に魔法陣が描かれ、魔術が行使される。

 羊皮紙の束が光ると、羊皮紙の端が魔力の風圧で捲られ、はためく音を鳴らす。

 ちゃんと転写が出来ているか確認し、3枚セットにして全生徒分の300部を制作した。 3学年分を分け、明日のホームルームで生徒へ配る為、職員室へ運ぶ。 生徒会室である旧温室を飛び出し、職員室へ続く廊下を1人で歩く。 芸術祭のお知らせを眺め、リィシャの脳内でユージーンがバイオリンを弾く姿が思い出された。

 ユージーンは幼い頃から、バイオリンを習っていた。 幼い頃のリィシャはじっとしている事が苦手で、音楽センスも皆無だった。 高位貴族の子息、令嬢ほど音楽や芸術の造詣は深い。

 教養として勉強するが、リィシャは幼い頃から苦手なので、いつも寝ていた。 ユージーンの奏でるバイオリンの音はとても綺麗で、リィシャにとっては子守歌だった。 よく音楽教師に叱られた事を思い出し、小さく笑いが零れた。

 (ユージーンは芸術祭に出ないのかしら? 最近は忙しくて、音楽を楽しむ事自体もしてなかったわ……また、ユージーンのバイオリンを聴きたいわね)

 「全て片付いたら、バイオリンを聴かせてもらおう」

 生徒会は主催者側で、本番は進行など色々と忙しいので、生徒会のメンバーも皆、参加予定はないらしい。 意外だが、無表情で無骨なアダムは、ピアノの腕がプロ顔負けだと噂されている。

 リィシャは、アダムがどんな顔をしてピアノを弾くのか聴いてみたいと思ったが、アダムに一睨みされて終わった。 未来の公爵様はとても怖ったと、リィシャは震えあがったのだった。

 ◇

 隣国、狼王治めるシェラン王国と隣接した山林と深い森を挟んで、クロウ辺境伯領がある。 隣接したレイブン侯爵領と挟まれた位置に、将来リィシャが治める事になるコモン子爵領がある。

 三方を山に囲まれたクロウ領の入り口に続く道を少し道を逸れた場所にコモン領の森が拡がっている。 コモン領は自然豊かな土地で、森での狩猟と木工細工が特産だ。 クロウ領の山から流れる川が4つしかない街を分断しているが、川には多くの渡し舟があり、盛んに行き来されている。

 両側の渡し舟付近では、毎朝、朝市の屋台が出され、賑やかな朝が始まるのだが、今朝の領民たちは顔色が悪い。 川の流れがいつもよりも速いのだ。 雨季でもないのに川が増水している。

 クロウ領の山から流れている川がおかしな事になっている様だと、夫人の元へ報告が来た。

 リィシャも報告書を見て、まだ氾濫するほどではないなら、様子見だろうと思っていた。 しかし、雨季でもないのに増水しているのおかしいだろう。 クロウ領の山で何か起こっているのかもしれないと、夫人に進言した。 夫人はリィシャの話に意外そうな表情をした。

 「あら? ちゃんと考えているのね」

 夫人の言い様に、リィシャの眉間に皺が寄った。

 「お母様?! それ、どういう意味ですかっ?!」
 「ごめんなさいね。 シアが持って来るコモン領でやりたい見当はずれの企画書を見て来たものだから。 ついね」

 夫人はにっこりといい笑みを浮かべた。 生徒会の仕事や学業の間に、リィシャなりに頭を捻って考えた企画書は、全て夫人に却下されていた。 ユージーンも手伝うと言ってくれたが、コモン領の事はリィシャ自身でやらないと駄目なので、丁重に断った。

 ユージーンはとても寂しがったが、サイモンは信じられない者を見る眼つきでリィシャを見つめて来た。 とても失礼だと憤慨のしたのは、つい最近の話だ。 領地の勉強をしてく中で、リィシャはいつしか成長した姿をユージーンに見せたいと思う様になっていたのだ。

 「お母様、次の休みの日にクロウ領の山の視察に行ってもいいですか?」
 「そうね。 シアは先にコモン領へ行きなさい。 クロウ領の山へはジーンに行ってもらいます」
 「分かりました。 私は川の様子を見てくればいいですか?」
 「ええ、それと街の様子とかね」
 「はい」

 そして、リィシャとユージーンは別々の方向から、川の増水の原因を調べる事になった。

 ◇

 女生徒の話し声や男子生徒の話し声が食堂内で響く中、羊皮紙の捲られる小さい音が手元で鳴る。

 リィシャは1人、長テーブルに座り、熱心に羊皮紙に書かれている内容を読み込んでいた。 羊皮紙にはコモン領の詳細が書かれていた。 傍らにはチキンのサンドイッチが盛り付けられている皿が置かれている。 ディッフェ形式の食堂では、背後のカウンターで生徒達が各々好きな物を皿に取り分けている姿が見える。

 (う~ん……やっぱり最初に川の様子を見た方が良いわよねっ)

 いつもはユージーンとサイモンの3人で昼食を摂るのだが、今日は二人共、学園に来ていない。 ついでに言うとエドワードも来ていない。 3人は赤狐族のフォクス伯に頼まれ、今日も学園を休んで彼の手伝いをしている。

 羊皮紙を眺めていたリィシャは、今朝のユージーンを思い出していた。

 『いいかい、シア。 お昼はちゃんと摂るんだよ。 カスタードプリンばっかり食べてたらダメだからね。 後、生徒会の仕事は無理にしないでいいからね。 嫌なら断るんだよ』
 『シア様、絶対に花瓶や生徒会室に飾ってある壺やらに触らないようお願いします。 あれらはジェレミー殿下の私物ですからね。 シア様やクロウ家では弁償、出来ませんからね』

 (いやいや、私は子供じゃないからっ。 しかも、お高そうな私物を何故、生徒会室に置くのかっ。 何故、私が壊す前提なのっ。 日頃から私をどう思っているか分かるわねっ)

 大きく息を吐き出したリィシャは、ユージーンとサイモンの言い様に憤慨した。

 楽しそうに会話する女子生徒を眺め、ふと気づいた。 学園に入学してからずっとユージーンとサイモンと一緒にいるので、リィシャには女友達がいない。 なにせ、ユージーンがずっと張り付いているので、同級生も話しかけて来ないのだ。 ユージーンが1人になったとしても、1人でポツンとなる事は無い。 いつも誰かが話しかけていて、リィシャの様に1人になる事はない。

 ユージーンとの差が如実に表れていて、少しだけ泣けてくる。 寂しいならリィシャの方から話しかければいいだけだが、生まれてこの方、友達作りをした事がない。 はっきり言ってどうすればいいのか分からないのだ。 チキンのサンドイッチを1つつまんで、口に運ぶ。

 (友達がいれば、私の番の悩みも相談できたかもしれないわねっ。 お母様には言いづらいし……)

 瑞々しいシャッキとしたレタスを噛みぐ抱いた音が小さく鳴る。

 少し咀嚼した後、瞳を見開いた。 濃いソースを纏ったチキンとたまごのムースが絶妙なハーモニーを奏でていた。 流石、親子であると、リィシャの頬が緩んだ。 行儀は悪いが、手元の羊皮紙を眺めながらサンドイッチを食べ進めた。

 手元の羊皮紙に影が差して、リィシャは顔を上げた。

 顔を上げた視界に入ったのは、トレイに乗せられた大量のポテトサラダのトマトのサンドイッチの皿と、コーンスープに生クリームが乗ったゼリー、そして紅茶のいい香りがした。 瞳を瞬いたリィシャは、美味しそうだと喉が上下させた。 視界を上げると、白髪と白の制服のワンピースに、白いリボンだ。

 『ん?』と顔を傾げた。

 見覚えのない白髪のロングヘアーをセンター分けした美少女が目の前で微笑んでいる。 胸の校章を見る限り、3年生の様だ。

 「ご一緒にしてもよろしいかしら?」

 ポカンと口を開けたままのリィシャを他所に、美少女は大量のサンドイッチを乗せたトレイを音を鳴らさず、リィシャの前に置いた。 優雅に座った美少女は、リィシャの前で食事をするらしい。

 美少女と大量のサンドイッチに違和感を覚えたが、手の甲に番の刻印が刻まれているのを見て、誰か察した。

 「あ、す、すみませんっ! ローラ・ブレイク伯爵令嬢っ! ご、ごきげんようっ」
 「ふふっ、そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」
 「いえ、突然の事で……た、対応がっ」

 リィシャは子爵令嬢で、ローラは伯爵令嬢だ。 突然、格上のローラに声を掛けられ、慌てふためいた。 国王の謁見の時は、覚悟の上で挨拶が出来たが、思わぬ所で格上の人間に声を掛けられたものだから、見苦しく狼狽えた。 リィシャの脳内で、サイモンが頭を抱えて顔を左右に振っている様子が思い浮かぶ。 いつまで経ってもリィシャを子供扱いするのだ。

 小さく笑うローラの声が耳に届く。

 「同じ執行委員なのだから、気軽に話してください。 私もシアって呼んでもいいかしら? 私には愛称が無くて、ローラと呼んでください」
 「あ、はいっ、光栄です。 ローラ様」
 「ありがとうございます、シア様。 それと、お仕事をしながらのお食事は、身に付きませんわよ」
 「うっ……はいっ」
 「お食事の時は、休憩と同じです。 身体と頭を休めましょう」

 にっこりと優しく諭してくれるローマは、見た目に反してよく食べる。 黙々とサンドイッチを口に運んでいる。 リィシャも羊皮紙を置いて、サンドイッチを齧る。 背中に視線を感じて振り返ると、にこやかに笑うアンガスの姿があった。 誰が送り込んで来たか分かった気がした。

 アンガスに小さく頭を下げて、ローラに視線を戻した。 手の甲で銀色に光る番の刻印。 リィシャは今まで、誰にも相談できなかった事を訊く事にした。

 「あの、ローラ様っ」

 顔を上げたローラは、ポテトサラダのサンドイッチを両手に持った格好で、軽く首を傾げた。

 「ローラ様は……その、番の刻印に気持ちが流されているって思った事は無いですかっ?」
 「あぁ、そういう事ね」

 ローラはリィシャを見つめると、思い出したかのように笑った。

 「ローラ様?」
 「ふふっ、ごめんなさいね。 懐かしいと思って……。 でも、たった2年前の話なのだけどね。 私も思っていた事もあったわ。 私は、アンガスが番の刻印に流されているのではって思っていたわ。 私たちは本当にお互いが幼馴染にしか思ってなくて、先に彼を好きになったは私の方だから」
 「そうなんですね」
 「シア様、これも出会いですわ」
 「出会い?」
 「ええ、お見合いも政略結婚だって、出会いでしかないのです。 番も出会いです。 嫌だ嫌だって言ってるうちは、上手く行かないものですわ。 これも出会いの内の1つだと思えば、向き合えますわ」
 「でも、上手く行かなかったら……」
 「簡単です。 別れればいいのです」
 「いや、そんな簡単には……貴族ですし……」

 (ええええぇ、ローラ様ってこん方なのっ?!)

 リィシャの言葉でローラは明後日の方向を見て暫し考え込んだ。 『うん』と頷いたローラが答えを出して来た。

 「そうですわね。 簡単は言い過ぎましたわね。 簡単ではないから、お互いが歩み寄ればいいのですわ」

 いい考えだというように、両手を胸の前で合わせ、軽く肌の打ち合う音が鳴らされた。

 (う~ん、相談する人を間違えたっ?! ローラ様って、天然? でも……)

 目の前で大量のサンドイッチが瞬く間に、ローラのお腹の中に消えていく様子を眺めながら、先程ローラが言った言葉を思い出す。

 『番も出会いです。 嫌だ嫌だって言ってるうちは、上手く行かないものですわ。』

 ハッとリィシャは目を見開いた。 ユージーンの事を思い出し、彼の何処が嫌なのだと、自問自答してみた。 ユージーンは容姿端麗で、とても優秀だ。 次期辺境伯としても期待されている。

 (優しいし、浮気は絶対にしないだろうし、ちょっと?独占欲があるけど……番至上主義の国だから、許容範囲よね。 エミリーさんの時にユージーンの事を番だと認めてたのにっ。 流されてるも何も……今更、何を言ってるんだって感じよね)

 しかし、今更、番らしく振舞う事に抵抗がある。 頭を抱えて項垂れた。

 「アンガスも中々、番として認めてくれなかったわ。 私に対しても冷たかったですし」
 「あの、アンガス様が?」
 「今では考えられないでしょ?」
 「はい」
 「アンガスの態度が軟化したのは、婚約式をした後からでしたわね。 その時に覚悟を決めた様だったわ」
 「婚約式……」
 「シア様たちはまだ?」
 「……」

 (どうだったけ? 婚約式したかな? 覚えてないって事は、やってないよね?)

 「そう言えば、婚約式の話なんて、全く出てないわっ?!」

 ローラはサンドイッチを両手に持って『あらあら』と言い、齧り付いていた。 しかし、今のクロウ家の状況を考えると、婚約式など上げている場合ではない。 コモン領の川の様子も気になる。

 大きく息を吐き出したリィシャは、今はまだ無理だが機会があればユージーンに相談しようと決めた。

 ◇

 コモン子爵領へ訪れる数日前、リィシャは自室で準備をしていた。 持っていく物を選別していると、自然と楽しくなってくる。 視察なので仕事なのは分かっているのだが、旅行に行くようで胸が躍り、無意識に鼻歌を歌ってしまう。

 慌ただしい足音が廊下で響き、リィシャの部屋の扉を慌てた様なノックがされ、侍従の悲痛な声が続いた。

 「シアお嬢様、大変ですっ。 コモン領で水害が起こったようですっ!」
 「ええぇぇ、まだ川が増水しているだけって……」
 「それが……数時間前に氾濫したようです。 急いでコモン領へ一緒に来るようと、奥様が」
 「分かったわっ」

 リィシャは急いで荷造りし、コモン領へ向かう馬車に乗り込んだ。 馬車には夫人も乗っており、詳しい詳細が書かれた羊皮紙を渡された。

 「向こうへ行ったらやる事が沢山あるわよ」
 「はいっ!」

 情報を熟読する為、リィシャは羊皮紙を凝視した。
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